アカデミックスキル(4)クリティカル・シンキング

クリティカル・シンキングは現在の日本の教育の中で抜け落ちている部分ですが、現実社会でとても有益な考え方です。
しかし、クリティカル・シンキングとはそもそも何でしょうか?

例えば、
太陽神が怒ったから今年は不作だった。」
という主張があったとします。
これに関して、太陽神が怒ったというのは、検証不可能だし、
不作だったというのは何と比較して不作だったのかが説明されていません。
したがって、この主張の信憑性は低いと判断できます。

反対に、その主張に対してしっかりと理由付けがされていたり、根拠が示されていればその主張の信憑性は高くなるということです。

それでは、アカデミックなスキルとしてのクリティカル・シンキングとは何でしょうか?

まずクリティカルシンキングの重要な概念を確認してみましょう。
・事実 vs.   意見
事実は真実だと証明されうることです。データ、観察、信頼できる証拠などによって認定されます。
その一方で意見とは、個人によって正しいと考えられていることや、他の人によって受け入れられていることを指します。事実と意見は切り離して考えることが重要です。

・アサーション(Assertion) vs. 学術的主張(Argument)
アサーションとは根拠や正当化が全くない主張のことです。時には、正しいことかもしれないが、正しいと実証できない主張です。アサーションは根拠や理由付けによって立証される必要があります。
そして、根拠や理由づけされた主張のことを学術的主張(Argument)と言います。

アクティビティA
以下の3つは、アサーション、事実、意見のどれに当てはまりますか?
(1)AさんとBさんは2013年に500万円の利益を得た。
(2)AさんとBさんの個人商店はスーパーよりもいい。
(3)AさんとBさんの昨年の営業成績の落ち込みは残念なリーダーシップの結果によるものだった。

答えは最後に載せてあります。確認してみてください。

大学レベルの論文では、根拠のないAssertionから学術的なす主張であるArgumentに進化させなくてはなりません。
つまり、

アサーション → 理由付けや根拠 → 学術的な主張

という流れになります。つまり、理由付けや根拠となりうる情報を探し出すことが重要になります。
そこで、普段から心がけるとよいことを以下にあげます。

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