君のプライド。

ネコの手も借りたくないほど、とても忙しい一日だった。(だって実際に借りたら、余計に忙しくなると思うので。)

ま、冗談はさておいて。

お客さんを怒らせてしまったS君に、ネチネチと説教をした。自分がミスをしたのに、お客さんのせいにしていたから。おかげで私の心の中に、ネチネチが蔓延してしまった。ネチネチネチネチ…(あぁ、なんて嫌な響きなんだ。)

一体いつになったら、S君はお客さんを怒らせないで、まともな接客が出来るんだろう?どうして素直に、その自分の過ちを認めることをしないのだろう?どうして自分のすることを、いちいち正当化するのだろう?どうしてもっと客観的に、物事を見つめられないんだろう?

”ボクにもプライドはある!”

あの時、君はそう言っていたけど、それはどこか間違っている。そうならなぜ、あのとき君は私の目を見て、その言葉が言えなかったんだ?どこか自分に自信がないからだろ?ま、そう言う私も、それほど自分に自信はないが。君に何か教えるだけの経験は多少ある。

プライドという言葉を、そんな陳腐なものさしで使わないで欲しいんだ。君はただ、言葉の裏にコソコソ逃げているにすぎない。もしかしたら、君は勘違いしているのかもしれないけれど、私は君に上司として、権力を振りかざし、偉そうに説教をして、それで君に「すみません」と言わせて、自己満足に浸ろうとは思ってはいない。

私はそれほど心が小さくもないし、思ったほど大きくもない。

考えてもみなよ。もしも、気がおかしくなった人に、いきなり拳銃をつきつけられたら、君も私も、両手を上げて、泣きながら命乞いをするだろう?つまり、人はいつでも同じ立場だと言うことだ。身分は会社が勝手に作ったもので、人として、それはあまり意味はない。店長も、アルバイトも、お客さんからすれば、みんな”同じお店の人”のように…。

君はこんなひとりの夜に、何を思っているのかなぁ?「あの野郎!オレのこと、全然分かってないし、思ってもくれてないよ!」

・・・と誰かとメールで私のことを愚痴っているのかなぁ?ま、それも無理はないか。あんなふうに君のこと、冷たくあしらったからなぁ。

ま、愚痴って気が晴れるなら、それもいいだろう。暗く落ち込んでいるよりは、かなり前向きで晴れ晴れしい。ただ、ひとつだけ言っておくけど、君はやっぱり間違ってるよ。

確かに君のことは、何もわかっていない私かもしれない。けれども私はこうしてネチネチと、まるで出来の悪い教え子のように、君のこと、思っているのだから。

最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一