哀しいこと言わないで。
冗談とも取れるような、ちょっとした話の流れの中、あるちょっとした仕事の中で、しなくてもいいことを結果として私はしていたというわけで・・・それが随分と無駄な時間と労力を使っていたという事実。
そのとき、少しだけ何かをあきらめたのかもしれない。
それがわかった時にはもう、すべてはあとの祭りでしかなくて、それをはじめて気づいたとき、なんだか私はどうでもいいような気分になって、少し”ハハハ”と乾いたような空気の中、諦めがちにいい加減に笑いながらも、こんな軽くどうでもいいような言葉を選んでいた。
「そうだよなぁ。いつだって僕の人生は、無駄ばかりで意味なんてないんだよなぁ・・」
近くにいた彼女に、笑ってもらうはずだったのに、明るい冗談のつもりだったのに、いつもは笑う彼女だったはずなのに。
少し黙ったまま彼女は、ポツリと小さくつぶやいた。
「そんな哀しいこと言わないで・・・」
結構、くるものがあった。
最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一