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はじまりはいつも雨。

昔、飛鳥さんが歌っていた「はじまりはいつも雨」を聞いてると、なんだか甘酸っぱい想いに駆られる。私の中で忘れた記憶が(淡い恋心か何かか?)がどこかに潜んでいるんだろうか。

もうカラオケには10年以上も行ってないけど、決まって私は「そして僕は途方に暮れる」(大沢誉志幸さんの歌。作詞は私の好きな銀色夏生さん。)とこの「はじまりはいつも雨」を、あの頃よく歌ってた。

長いタイトルが好きなのか?なんてことは別にどうでもいいことだけど、どれだけ古い歌なんだ?

でも今の歌は私には、どうも長く心にとどまらない。まるですぐに消えてゆく短命なサクラのようだ。輝くけれどももう次の夏に忘れてしまうような・・・。

やれやれ、私の知らないうちに、つまらない大人になってしまったか。この頃、好きなものが増えなくなった。

テレビを見ても、お笑いタレントが騒いでるだけで、ちっとも面白くない。昔はこんなでも笑ってたかな?とちょっと振り返ったりするけれど、それすらも思い出せない。思わずため息が出てしまう。

ま、そんなものだから、夫婦二人暮らしのわが家では、夜はテレビは消したまま、それぞれが、本を読んだり、何気ない会話を交わしたりして、静かな夜を過ごしている。

妻が遠く離れて暮らしている息子と電話で楽しそうに話している。その横顔を眺めながら、その会話をメロディーに、私は本を読んでいる。こんな穏やかな夜もいいかなぁと、今ではぼんやりと思っている。

この頃、詩を書くことが、また、楽しくなってきた。いろんな人の気持ちになって書くことが、今の私には少し楽しい。楽しいといっても、ほとんどがセツナイものばかりだけど。でも、小さな言葉の中に、散らないサクラを見つけられたらとこんな静かな夜に想う。

外は雨で見えなくても、今日も星たちは、音もなく夜を渡っている。それでもいつか晴れるだろう。そう思うと、私の中でゆっくりと、言葉が小さく降り積もってゆく。

私の場合、
「はじまりはいつも雨」というよりも
「はじまりはいつも小さな詩」のようだ。

最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一