畑中英二

京都市立芸術大学で工芸史、博物館学、考古学を担当しています。私の活動をお知らせしていき…

畑中英二

京都市立芸術大学で工芸史、博物館学、考古学を担当しています。私の活動をお知らせしていきます。 ホームページはこちら https://www.eiji-hatanaka.com

最近の記事

021 「考古学と美術史」を執筆しました

 4月20日に刊行された『考古学研究会70周年記念誌 考古学の輪郭』に「考古学と美術史」を執筆させていただきました。 本書は「考古学と現代社会」「日本と世界の考古学」「考古学と民族学・民俗学・地理学・神話学」「考古学と歴史学・美術史学」「考古学と理学・分析科学」「考古学と環境学・地球科学」「考古学と自然人類学」といった項目を立てて考古学の広がりを可視化する試みが展開されています。私は「考古学と歴史学・美術史学」の中の一つを担当させていただいています。 本項目は美術史の藤原

    • 020 「モノを残す営為」を執筆しました 

       京都市立芸術大学の卒業生である写真家故井上隆雄のお仕事をまとめた『写真家井上隆雄の視座を継ぐ 仏教壁画デジタルライブラリと芸術実践』が刊行されました。本プロジェクトは京都市立芸術大学芸術資源研究センター重点プロジェクト美術関連資料のアーカイブ構築と活用 井上隆雄写真資料に基づいたアーカイブの実践研究であり、本書は活動記録集という位置付けになっています。  井上隆雄さんのお仕事は多岐に渡りますが、その中でもインド・ラダックやミャンマー・バガンの壁画にフォーカスしてデジタルアー

      • 019 『荒川豊蔵大萱窯の研究』の刊行について

        2019年度からおこなっていた志野と瀬戸黒の重要無形文化財技術保持者(人間国宝)である荒川豊蔵さんの大萱窯から出土した陶片の調査を『荒川豊蔵大萱窯の研究』と題し畑中研究室調査研究報告シリーズ15として刊行しました。 ご存じのように豊蔵さんは日本を代表する陶芸作家で、長らく忘れられていた桃山陶器を復興させ独自の境地に至っています。昭和30年(1955)には、志野と瀬戸黒で重要無形文化財技術保持者(人間国宝)に認定されています。  その豊蔵さんの工房がある岐阜県可児市に所在す

        • 018 『1980年代後半に芸術大学出身者を中心に台頭してくる漆造形作品について』の刊行について

           畑中研究室に所属する倉澤佑佳さんが京都市立芸術大学に提出した博士論文『1980年代後半に芸術大学出身者を中心に台頭してくる漆造形作品について』を研究室の活動として畑中研究室調査研究報告シリーズ14として刊行しました。  倉澤さんの博士論文は、現在から35年以上前となる1980年代の漆芸にみられるムーブメントともいうべき用途やそれに付随する形態に縛られない「漆造形」と呼ばれた造形作品の在り方に着目し、それらの作り手とその背景について明らかにすることにより漆芸史の中で位置付け

        021 「考古学と美術史」を執筆しました

          017 土岐市美濃陶磁歴史館にてギャラリートーク

          20204年3月3日、岐阜県土岐市美濃陶磁歴史館にて〈桃山デザイン〉のギャラリートークをしてきました。 〈桃山デザイン〉とは、京都市立芸術大学において開講している「陶磁器工芸史」の講義の中で、あまりにも嬉しそうに桃山陶器の話をすることに端を発します。本学では、木曜の午後の時間をぶち抜きで学生たちが聞きたいレクチャーや演習などを提案して行う「テーマ演習」という科目があります。15回×2コマを桃山陶器だらけで学びたいという奇特な学生により「考古楽(桃山デザイン)」というカリキュ

          017 土岐市美濃陶磁歴史館にてギャラリートーク

          016 銅鐸博物館にて「古代の土器から見た西河原遺跡群」を講演

          2024年3月2日、銅鐸博物館(野洲市立歴史民俗博物館)にて歴史講座「古代の土器から見た西河原遺跡群」と題してお話しさせていただきました。 私が滋賀県文化座保護協会に所属していた2007年に古代の野洲郡衙に関わる西河原宮ノ内遺跡の発掘調査を担当し、事前に調査歴を調べていく中で古代の木簡が出土しそうだと感じました。そこで滋賀県立安土城考古博物館の大橋信弥学芸課長に出土した際の対応を相談したところ、碩学山尾幸久先生(当時:立命館大学教授)を座長とし、奈良文化財研究所の渡辺晃宏さ

          016 銅鐸博物館にて「古代の土器から見た西河原遺跡群」を講演

          015 論文「汽車土瓶の考古学ー福祉・芸術にかかわる地域実践ー」の掲載

          2023年に立命館大学史学会にてお話しさせていただいた「汽車土瓶の考古学ー福祉・芸術にかかわる地域実践ー」を『立命館史学』43号に掲載していただきました。 言ってしまえばいつもの話、ではあるのですが時折こうした機会をいただいて自分のやってきたことを振り返り整理することは(自分にとっては)とても必要なことです。 この時には、歴史学を研究する方々に向けた話だったので、非常に失われやすい近現代の史料の特質について、また学術研究を福祉や芸術とかかわらせながら広げていく試みの事例にフォ

          015 論文「汽車土瓶の考古学ー福祉・芸術にかかわる地域実践ー」の掲載

          014 〈アーティストトーク 金サジ「はたむんとからだはいま」〉を開催しました

          2024年1月20日(土)14:30-16:00、〈アーティストトーク 金サジ「はたむんとからだはいま」〉を開催しました。 2023年秋、「芭蕉布の里」として知られる大宜味村・喜如嘉に長期間滞在しながら作品を撮影した写真家・金サジさんを中心に据えてのトークイベント。東アジアの現代美術や工芸を含む文化的エコシステムにおける協働、プロデュース、キュレーションの実践的研究をおこなう金島隆弘さん(金沢美術工芸大学 准教授)と私が登壇しました。 過去から現在へ、芭蕉布を通じた人と人と

          014 〈アーティストトーク 金サジ「はたむんとからだはいま」〉を開催しました

          013 『考現学@京芸沓掛キャンパス』の刊行について

          1月のニクの日である1月29日、京都市立芸術大学美術学部総合芸術学科畑中研究室調査研究報告13『考現学@京芸沓掛キャンパス』を刊行しました。 2021年から総合基礎実技、考古学、テーマ演習など機会を見つけて話をしてきた考現学の講義ノートおよび学生たちの課題の一部を掲載しています。私の講義ノートは誰得やねんと思うことはあるのですが、私の覚えと受講した学生たちの思い出にはなるのかと思っています。大学に職を得たことにより、発掘調査の現場から離れてしまったことから、近頃は考古学の方

          013 『考現学@京芸沓掛キャンパス』の刊行について

          012 〈八重山之嘉例 喜宝院蒐集館のクガニ〉の開催について

          1月20日から沖縄県大宜味村を中心とした地域で開催されている〈やんばるアートフェスティバル〉に展示参加しています。 タイトルは〈八重山之嘉例 喜宝院蒐集館のクガニ〉。もちろん私が単独で参加しているわけではなく、総合ディレクターの仲程長治さん、エキジビションディレクターの金島隆弘さん、沖縄を中心にさまざまなプロジェクトを仕掛ける松島由布子さんとともに〈五風十雨〉というユニットを組み、豊かな自然と文化をもつ八重山地域における創作や美術工芸を紐解くことを目的としています。 今回

          012 〈八重山之嘉例 喜宝院蒐集館のクガニ〉の開催について

          011 「しまをまとう 石垣昭子が紡ぐ黒のスディナ」の刊行について

          すっかりお知らせするのを失念していたのですが… 昨年度の〈やんばるアートフェスティバル〉にて展示をした西表在住の染織家石垣昭子さんの活動及びその際に開催したトークショーの内容(〈しまをまとう〉石垣昭子×仲程長治×金島隆弘)及び今回の企画の意義についての対談(〈新・琉球の富〉金島隆弘×畑中英二)のアーカイヴを京都市立芸術大学美術学部畑中研究室調査研究報告のシリーズ12として刊行しました。 西表島を起点に多くの方々と関わりながら活動を展開される昭子さんが近年手がけているのが「節祭

          011 「しまをまとう 石垣昭子が紡ぐ黒のスディナ」の刊行について

          010 高取焼研究会オンラインシンポジウム

          2023年12月17日、オンラインで高取焼研究会シンポジウムを開催し、消費地での動向を発表し、生産地からのコメントをふまえ、現状での知見をまとめた。 高取焼は、黒田家の関与の下、17世紀初頭に開窯したもので、茶陶の存在が知られている。消費遺跡からは高取焼かと考えられるものは出土するものの、まとまった量はなく、実態が明らかではないところが多い。また、近隣の唐津窯との親縁性もあり、そもそも高取焼とは何を指すのかという点も十分な議論ができているわけではない。つまり、高取焼の名は知ら

          010 高取焼研究会オンラインシンポジウム

          009 美濃陶磁歴史館で〈桃山デザイン〉コラボ

          少し先のことになるが、岐阜県土岐市美濃歴史陶磁館にて2024年1月7日から3月31日まで開催される〈挑戦!重要文化財2000点並べてみる〉展において、私たちが展開している〈桃山デザイン〉とコラボしてくださることになった。 〈桃山デザイン〉とは、2020年から京都市立芸術大学において桃山陶器をじっくり見て話を散々聞いた上で、それらから着想を得た作品を作るという少し変わった授業(テーマ演習・考古楽)から生まれた企画で、2021年度には京都市考古資料館、2022年度には福井県陶芸館

          009 美濃陶磁歴史館で〈桃山デザイン〉コラボ

          008 京都市立芸術大学交換留学生展

          2023年12月11〜15日(11〜17時)まで京都市立芸術大学C地区B棟1階交流室2にて第35回交換留学生展が行われる。フランス国立高等装飾美術学校からやってきたIsabel StubとZoénine Laurent-Perroto、フィンランドアールト大学からやってきたMirei Katoの3名による展覧会。それぞれ自身の考えや感性、バックグランドを基盤にした作品が並ぶ。いつもとは違うものを見ることができるのは間違いない。 しばし、世界の広さを感じていただきたい。 なお、

          008 京都市立芸術大学交換留学生展

          007 福井県陶芸館ワークショップ

          2023年12月4日、3月から6月まで開催される新幹線開業記念特別展IIの関連ワークショップを行った。地元の児童館にて「新幹線に乗っていってみたいところを描いてみよう」ということで、車窓をかたどった画用紙に描いてもらうというもの。 少し驚いたのは海に近い街ではあるけれど、南国っぽい海を描いた作品が多かったところ(冬の日本海は苦手なのかな?)。ちなみに私は切り絵で沖縄の海を作ったのだが、極めて現実的な願望を反映したということになる。 ワークショップにあたっては、担当学芸員の倉澤

          007 福井県陶芸館ワークショップ

          006 〈あっちこっちのモクモクさん〉会期延長

          京都市立芸術大学美術研究科にて木工を学ぶ山本悠葵さんの個展。2023年11月11日〜同年12月9日まで開催中。ということだったが、あまりにも好評であることと、小学生の来館が予定されており「できればみたい!」というリクエストをいただいたとのことで会期が延長された。 なんと2024年2月12日までとのこと。 行きそびれたという方は是非、一度は行ったよという方はもう一度。 子どもは心の赴くままに、大人は童心に帰って山本の作品と共にひとときを過ごしてほしい。 本企画は伊吹山文化資料

          006 〈あっちこっちのモクモクさん〉会期延長