「面倒くさい」に値段を付ける
エコバッグの見えないコスト
エコバッグ使ってますか。ぼくは自炊派なので、コンビニがレジ袋を有料化する前、スーパーがレジ袋を有料化した頃から使ってます。
当時はエコバッグというジャンルはまだマイナーで、普通のトートバッグを使ったり、その後「カゴに被せるタイプの買い物バッグはスーパーのおばちゃんが詰め替えてくれるのが楽」なんて言葉を見てそういうやつを買いましたが、直後にコロナが発生して近所のスーパーが買い物バッグに移し替えるのをお断りした上に80%をセルフレジにしたのでほぼ恩恵を受けられませんでした。かなしい。
エコバッグが結局本当にエコになっているかというのは疑わしいところで、エコバッグを作るために必要なコストや材料や燃料を考えると何十回か使わないとレジ袋と比較してエコにならないし、マイクロプラスチックの原因の90%が衣服などのポリエステル由来なことが明らかになっていて、エコバッグも当然その仲間入りなわけです。
レジ袋は恐らくその性質上、廃棄がかなり少ないでしょう(正確な値などは業者じゃないとわかりませんが)。一方でエコバッグは各社がこぞって新製品を作ったりノベルティ作ったり季節柄を載せてしまっているので、恐らく大量の廃棄があります。自分も結構押し付けられたエコバッグ捨てました。下手するとこのエコバッグ商戦で廃棄されたエコバッグの方が、消費されたレジ袋よりエココスト的に高かったまであるんじゃないかなあとおもいます。
しかし、ユーザ目線からはそんなことはどうでもいいわけで、目先の問題としては1袋3~5円というそのコスト vs エコバッグでしょう。一時は余計な課金への拒否反応を利用してエコバッグが流行ったりもしましたが、今は結構な割合の人が普通にレジ袋を購入しているとおもいます。
何が起こったかというと、物事のコストには実際はいくつか種類があるんですね。
物理コスト
物理的な物の値段や原価。100円のエコバッグを20回使えば5円のレジ袋を使うより安い。
時間コスト
時間を人件費に換算したときの価格。時給1000円の男が袋詰に3分以上掛けると、5円のレジ袋をもらっておばちゃんに詰めてもらったほうが安くなる。
希少コスト
やる人が少なかったり、需要が供給を上回ったときに上乗せされるプレミアムコスト。
面倒くささコスト
人間の心理的ストレスを費用?に換算したときの見えないコスト。稀に特殊清掃や士業全般などで希少コストに組み込まれる。
恐らく、3~5円という値段設定は物理コストしか考えてなかったのでしょう。お役人仕事によくあることです。しかし、ことレジ袋問題に関しては三つ目の面倒くささコストが遥かにレジ袋の値段を上回ります。
エコバッグを常に持ち運ぶ必要がある。エコバッグを使う予定があるだけで、その前座の外食やショッピングにもエコバッグが随伴する。
エコバッグを置いておく場所の確保。
エコバッグを清潔にしておく必要がある。たまに洗うことが望ましい。
エコバッグを清潔に保つため、肉や魚は神経質にミニ袋に包まないといけない。
レジ袋をゴミ袋にできないので、別途ゴミ袋を購入する必要がある。
店員はエコバッグには詰めてくれないので、自分で詰める必要がある。
(↑これがでかすぎる……)
この面倒くささコストは普段あまり意識されることはないんですが、日常的に直面し選択を迫られるレジ袋問題においては顕著になっているわけですね。
* 海外みたいにレジ袋が20円とか50円とかするならまた躊躇するかもしれませんが、それをやられると単純にストレスが溜まっていくだけなので3~5円のレジ袋コストを海洋汚染除去プロジェクトへの寄付かなんかに使ってくださいという感じです。
めんどくさいにコストをつけろ!
で、何を言いたいかというと現代人、特に日本人って「面倒くさい」にコスト付けるの苦手なんですよね。
時間給は簡単です。月にいくら収入が欲しいかを設定し、それを月あたりの活動日数で日割りして、活動時間で割れば時給いくらで働けばいいか出ます。5時間でできそうな作業なら5時間分。3日でできそうな作業なら8時間×3日分。作業に単価を付けられるわけです。
が、世の中には「できるけど、やりたくない」仕事があります。情報がほとんどなく英語のドキュメントを読んで理解する必要があったり、外に買い出しに出て必要な画材や資料を買う必要があったり。たとえば1時間あれば支度して家を出て電車に乗って資料を買って帰宅する、までできるかもしれませんが、それを1時間の時給でやりたくはないですよね。ましてや夜22時とかならどうでしょう。
「やりたくなさすぎて誰もやらない」仕事であれば、いずれ希少コストとして報酬に盛り込まれます。例に挙げた特殊清掃とかはそうですね。しかし、面倒くささコストはもっと手前にあっていいのです。己のメンタルを守るためにです。
給料は迷惑料
給料ってなんだとおもいますか? 昔、上司が「給料は迷惑料も兼ねている」という言葉を教えてくれました。フリーランスの人なら概ね同意してくれるとおもいますが、給料というのは素晴らしいものです。毎月もらえることが保証されている上に、休んでももらえる。税金も天引き済みだし、社会保険や厚生年金は国民○○よりかなりお得。なんて素晴らしいシステムでしょう。
しかし、そんな給料をもらうには、人付き合いや上司・他部署との折衝など、組織の一員としてこなさなければならない「面倒くさいこと」が盛りだくさんです。トレードオフというわけですね。給料にはそういう迷惑料が含まれているのです。
あなたのストレスを解消してくれるのはお金です。やはりお金。お金は全てを解決する……!
「めんどくさい」の値段
では、給料ではなく報酬でもらっているあなたなら、その迷惑料は自分で計算しなければなりません。「めんどくさい」に値段を付けることは指標がなくて難しいですが、「何をご褒美にするか」がヒントになるかもしれません。例えば、3万円あればそこそこの宿に一泊して帰って来れますし、4万円あれば地方または東京の即売会に行って帰ってくることができるかもしれません。絶対やりたくないけど10万円加算してくれるなら食洗機やルンバを買って、家庭のめんどくさいを減らす資金にする、もありでしょう。
日本人が「面倒くさい」に値段を付けることが下手なのと、お金をもらうことが下手なのは通じている気がします。いいんです、もらいましょう。めんどくさいんですから。
まとめ
めんどくささコストを意識しよう
めんどくさいに値段を付けてストレスに対抗しよう
……まあ、ゲーム制作ってどれだけめんどくさくても避けては通れないしお金ももらえないんですけどね……
番外編:「めんどくさい」で稼ぐ方法
ここから先は
¥ 500
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?