思い出のアメリカン・フード (0:はじめに)
はじめに きっかけは、「大将」の質問だった。
「アメリカには、美味しいものってあるの?」
彼は母方の親族で、滋賀県で料理旅館を営んでおり、料理長として皆から「大将」と呼ばれている。有名料理学校で和洋中の技術を学び、アジア各地を食べ歩き、料理人として豊富な経験を持つ人である。わたしはアメリカ史研究者で、この旅館で行われる研究会の打ち合わせを大将と始めようとしていたところだった。
「それはもちろん、ありますよ。世界中から人が移住しているので、いろんな国の料理が食べられます」
「