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幻の銘茶のこと

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宇治は茶所、茶は政所 秘境に残る在来種。幻の最高級銘茶です。
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記事一覧

幻の銘茶のこと(一)出逢い

お茶の発祥地と聞いて向かった滋賀県。(諸説あるそうです) 延々続く整然と植えられた茶畑を横に見ながら期待に胸が膨らみます。 各お茶農家から茶葉を直接仕入れて商品をつくっている専門店へ足を運びました。  お茶を頂きながら国外への発送も考えたい旨をつたえると 「それは難しいですな」 聞けば、現在国内で栽培されているお茶は農薬の使用があり、 基準値を超える日本のお茶は、基本EUなどへの輸出は規制があるためできないのです、とのこと。 無知でした…。 ほうじ茶を幾つか購入してお店を

幻の銘茶のこと(二)煎茶

秘境にあるちいさな茶園 永源寺を超えてどんどん山奥を進みます。 美しい川や山の景色にうっとりしているうちに到着したのは茅葺屋根の集落でした。 笑顔で迎えてくださった川上さん。ピカピカのお肌が眩しく思いました。 早速茶畑を案内してくださいます。 山の中まで来たと思えば、更に足元の険しい崖をのぼります。 ここなんですよ。 目の前に見えている風景は想像していたそれとは違いました。 燦々と降り注ぐ太陽の光 整然とこんもり整えられたどこまでも広がる茶樹並木 ...ではなかったの

幻の銘茶のこと(三)春夏平番茶

稀少なきの花の春平番茶と夏平番茶 「これはどぅ?きれいやろ。私、これも好きやねん」と川上さん。 湧き水で程よく冷えたお番茶を出してくださいました。 美しい山吹色のお茶でした。 とても香が高く、そして優しくて ごくごく頂けて、喉の渇きを潤してくれます。 川上さんの『平番茶』はそのとおり、平の茶葉です。 他所にはない非常にめずらしいお番茶です。 軽く崩して 熱湯で気軽に淹れられること、 カフェインが少ないので、ご高齢の方や子どもにも安心です。 深夜のお伴にもいいですね。

幻の銘茶のこと(四)きの花政所紅茶

きの花政所紅茶 「これがな、自信作やねん。どやろ」と 満面の笑みで出してくださったのは、 お紅茶でした。 え、紅茶好きです。 でも、苦手です。 どうしても当たりはずれといいますか、私感なのですが 渋くて刺激的な味わいのものが多く、本当に美味しいと印象に残っている 紅茶は奈良のホテルで頂いたものでしょうか。 何度も購入していますが、 ギャンブル感強めのジャンルなのですよね。 いただくときはホッとするものの、口にするまでの緊張感が少々プレッシャーでした。なので、ハーブティ

幻の銘茶のこと(五)最高級銘茶

宇治は茶所、茶は政所 政所の茶樹は『実生・在来種』という日本古来のもので、日本茶の栽培としては約2%だそうです。 室町時代からの茶樹を今でも引きついで育てられていて、当時の味と言ってもいいのではないでしょうか。 茶葉に厚みがあり、害虫に強いため農薬を必要としません。 茶樹の植え替えが無いので、しっかりと根を張り栄養を吸い上げるのでミネラルも豊富にあります。茶樹それぞれに個性があるためお世話は大変です。 一般に約98%を占める " 日本茶 " と呼ばれている藪北茶は、外来種

幻の銘茶のこと(六)秘境政所の謎

政所の謎 永源寺の先では、日本最古級と言われている 母体 の 土偶が発見されています。 1万年ほど平和な暮らしが続いたと言われる、縄文時代草創期のものだそうです。 山の奥深い小さな集落に『政所』と名付けられた地名。 気を付けてみないと見落としてしまいそうな小さな神社に刻まれた紋。 そこにはたくさんのお能面と衣装がありました。 このあたりは惟喬親王開祖『木地師』発祥の地です。 かつて、一般に使用を許されなかった最も高貴な色とされた『紫色』 その原料となる絶滅危惧種『紫根』の栽

幻の銘茶のこと(七)政所のくらし

「お米もここ美味しいんよ」 近江米は有名ですが、山側で育つ竜王のお米は山からの水で育つので更に美味しいそうです。 「あっためたろか?」 「いえ、冷たいままで!」迷わず言いました。 美味しいお米は冷えた時にその味が出ます。 喜代美さんが朝炊いておひつに入れておいたというごはんを出してくださいました。 至福・・・ 何気なくされている政所の生活が、なんだか地に足がついていてホッとして そしてお洒落に見えます。 「金胡麻を乾かしてんねん」川上さんが栽培された無農薬の胡麻。 国産