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恋する惑星 天使の涙|感情と色気

ウォン・カーウァイ(王家衛)の【恋する惑星】と【天使の涙】という香港映画を、京都みなみ会館で特集上映していたので観てきました。
たしか、この二つ映画をあなたは観たことあるんじゃないかな。
でも、そんなに好きではないと言っていたように思います。
私自身、当時、この映画に惹かれたものの、面白いかというと….面白くはないけどカッコいいから好きみたいな感じでした。
気障で感情的な、アジアの都市のクラシック映画風味な恋愛映画であり、犯罪映画。

恋する惑星

■アジア映画の衝撃と影響力
90年代、ウォン・カーウァイ映画に、すごく影響された映画監督志望の若者がたくさんいたように思います。
アジア映画なのに、カッコよく撮れるんだと、カーウァイ風な映画やフォトグラフィーが増えたように思います。
あと、度々、音楽で感情にブーストかけてきます。

恋する惑星

■監督が意図していた画面サイズ
今回は監督による本来の画面比率でのリマスター版というので、楽しみでしたし、それをスクリーンで確認できたことは、よかったです。
ちなみに、リマスターされたのは全5タイトルです。
『恋する惑星 4K』
『天使の涙 4K』
『ブエノスアイレス 4K』
『花様年華 4K』
『2046 4K』

天使の涙

■気持ちのいい記憶だけが残る
【恋する惑星】と【天使の涙】は、面白いところもあるけれど、全然面白くないところもけっこうある、ナンセンスというかコメディっぽいところとかちょっと苦手だったりします。
でも記憶に残るのは、面白いところやカッコいいイメージだけが強く残る、そんな特徴がある映画でもあります。
時々観たくなってしまうのだけど、実際に観ると、記憶ほど面白くなかったりも度々ある。
ノレる時と、ノレない時の差があります。
感情的な映画だからかな。

天使の涙

■テーマは色気といっても過言ではない
ウォン・カーウァイの映画では、女優が、そして俳優が、都市が、とても色っぽいんです。
純粋ではなくて、濁っている。
それなのに、恋と混沌の透明さがある。
その色気が、リピートの原因な気がしています。

天使の涙

■フェイ・ウォンとミッシェル・リー
【天使の涙】のミッシェル・リーは、とても好きです。
むしろ、これはミッシェル・リーを観るための映画だと思ってます。
【恋する惑星】のフェイ・ウォンの天真爛漫さは、90年代を思い出します。
クランベリーズの『ドリームス』をカバーした『夢中人』はかつてヘビロテしてました。

恋する惑星 フェイ・ウォン
天使の涙 ミッシェル・リー

■レコードを聴きながら見る写真集
まるでレコードに針を落として、スナップ写真集を見るような、見直すような、そういう映画として、僕の中にはあります。
好きな写真はじっくり見て、そうでもないものはさっさと飛ばすような。
そして、感情に胸がしめつけられる。
切ないポップソングを聞いて、胸の奥がキュッとなるよう気持ちになります。

恋する惑星

■ウォン・カーウァイのフォロワー
そうそう、コロナ禍に入った頃に、同じみなみ会館でみたビー・ガンの『ロング・デイズ・ジャーニー』には、カーウァイ映画のフォロワーだとはっきり分かるような作品でした。
中国の若手の映画監督にとって、ウォン・カーウァイは影響力の強い特別な存在のようです。

■ウォン・カーウァイ映画:個人的ベスト5
1位 花様年華
2位 ブエノスアイレス
3位 欲望の翼
4位 天使の涙
5位 恋する惑星

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