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『12歳までに知っておきたい読解力図鑑』

書店の会計待ちのとき、レジの前の棚に読解の本があった。
開くと一番最初の題材がまど・みちおの「ぞうさん」。童謡だった。

題材の文章と、読み解くヒントとなる問いかけがある。
ページをめくると、問いかけの答えとなる解説。
「ぞうさん」への問いは、会話となっている詩の中で、話しかけられているのが誰かというものだった。

このうたは私も幼少期に歌っていた。
問いかけられて、会話だということさえ思い至ったことがなかったことに気づく。今まであまり情景を思い浮かべてこなかったみたいだ。

最初のページでハッとしたので、持ち帰ってもう少し見る。
平易な言葉で、小さな子でも分かるような内容なことがすごい。


題材の文章だけを見て、どんな質問をされるのかを予想してみた。
なにも浮かばなかったり、明後日の方向の質問を思いついたりする。
何度か繰り返すうちに、無意識に前提にしていたり目を逸らして処理しちゃっていたような事柄を明らかにする問いが多く感じ始める。

「雪」三好達治
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。

という文章に、雪は何を表すのかというような質問を想像した。

「屋根に雪ふりつむ」という言葉に俯瞰からの遠景だろうなと、距離感を最初に感じた。
その上で、同じフォーマットの文章であることと、太郎と次郎という どこにでもありそうな名前、眠る・ふりつむというどこか静けさを感じる言葉選びに、少しのあたたかさと無機質さを同時に感じて、広範囲に降る雪の平等さみたいなものを受け取った。

実際の本の質問は

太郎と次郎を眠らせたのは、誰だろう? もしくはなんだろう?

だった。

ここで気づいたのは、どうやら私は最初の段階で自分の好きに想像しすぎたらしいということと、「太郎を眠らせってなに」と思ったことに対して一瞬で目を逸らしていたこと。

なにが太郎と次郎を眠らせたんだろうと想像したときに見える情景は、最初に想像した景色よりも時間的な奥行きがあった。


情景を思い浮かべるには、何が分かって何が分かっていないのかを明らかにするのが大事なのかな。
「情景を思い浮かべる」って感性で受け取るものだと思っていたけど、むしろ理性的な営みなのかもしれない。


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