短編小説『もし明日昼から草むしりだったら』
中学生の男子が2人、下校している。
「明日さ、昼から草むしりじゃなかったっけ?」
「そうだった」
「うわー、めんどくさー。サボる?」
「いや」
「なんで? めんどいじゃん」
「いや、全然」
「ちょい待って。(浮く板よりも)めんどいでしょ?」
「いや」
「なんで?」
「いろんな友達や先生との出会いがあって、しかも、俺らはたまたまあの学校の生徒と先生になったわけじゃん。みんな狙ってあの中学来たわけじゃないじゃん?
ってことは、すべての出会いが運命的に思えてこない? まだ話したことないやつにも、普段目立たないやつにも、出会いがあって成長してるんだよ。一期一会ってやつ。
まぁ確かに一期一会の一言じゃ片付かないような、辛いこともあるけど、でもそれをバネにしていけばいい。
そういう素敵な出会いや考え方を一番教えてくれたのって、誰でもない、あの学校なんだよ。
草むしってもむしっても、感謝し足りないよ」
「……お前、
同じ授業出てるよな?」
「そりゃ同じ授業だし。え? なんで泣いてんの?」
「俺さ……草むしりまくるよ」
おわり
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