短編小説『もし金メダルが獲れるなら』

 中学生の男子が2人、下校している。

「自分で言うのも変だけどさ、俺らって若いよな」

「まぁ比較的若いかな。今年14歳だし」

「これから無限の可能性が広がってるってことだよなー」

「じゃあさ、お前は金メダル獲れる?」

「ん? 競技によるだろうけど、獲れるでしょ」

「なんだったら獲れると思ってんの?」

「うーんアーチェリーとかならいけると思う」

「これから遊ぶ時間削って毎日何時間もアーチェリーに時間使えるか?」

「それは……っていうか何が言いたいんだよ」

「俺ら、もう金メダル獲れないんだよ」

「……あ」

「確かに俺らの年齢ならできることの方が多いよ。でも、それでもできないことがあるんだよ。これからどんどんできないことが増えてく。俺らはできることが少しでも増えるように勉強ってやつを頑張るしかない。でも、それが本当かどうかも実はあやしい」

「おれはお前の将来が楽しみだよ」


おわり

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