Vtuberを見る楽しさって、【人間が生きている】を実感できる所にあるのかもしれない。Vtuber「ADHD先生黒井」の生放送が良かったわーって話


 Vtuber「懲役太郎」を追っているファンであれば知っている人も多いだろう。運営の俺太郎氏が手掛ける、『太郎プロジェクト』と銘打って世に送り出したVtuber。それが「黒井先生」という女性である。

『発達障害』と呼ばれる障害群に関する話を、自身も発達障害であるという事で実体験も交えて、発達障害を持つ人々の実情を発信するVtuber活動を行っている。

 ……正直、自分のスタンスとしてはチャンネル登録はしてるし外さないけど動画視聴は殆どしていない。どうしてかというと、『先生と名乗っての真面目な学ぶ系Vtuberだから』といった単純な理由ではなく、コンテンツの内容。

とにかく「発達障害がある人は○○ができない」「だから怒られたり迷惑をかけたりして双方嫌な思いをする」といったエピソードをひたすら直視させられるしサムネイルもそんな感じなので、個人差もあるだろうが『これを視聴して笑うにも笑えないし同情するのもなんか違う気がするし、どういう感情で見て帰ったらいいもんかちょっとわからない。ただ面白かったり楽しいって感情ではない事は確か』という……なんかこう……接し方がわからん!!という気持ちになってしまってハマれない所があった。
黒井先生に対しては、俺太郎が運営で、黒井さんがVtuberになる前に電話相談の模様を動画でお届けした過去がある、という関係である懲役太郎おじさんからしても活動内容の固さだったりまぁ歳も離れた異姓だし…だったり諸処の理由から"ちょっと触れない"とも言っていたし、なんとも難しいものがあったんである。


 そういった前提があった上で、こんな懲役太郎のVoicyの回があった。

前述したように黒井先生の事は懲役太郎の口からあまり話さないようにしていたのが、それを超えて"聞いてみてあげてください"と言うのは珍しい事だったので、この該当の生放送のアーカイブを見に行ったんである。


いやー。
おじさんが言うだけの事はあった。良かったよ、この生放送。

 サムネイルの通り黒井先生が「もうねー!怒ってるんですよ私はー!」と色々言われた事や自分自身とか世間のままならなさにひたすらプンスカして愚痴り倒している、そんな生放送だったわけだが。
これを見たことでなんだか、【障害を持つ人だって当たり前に怒るし当たり前に不満は抱くし当たり前に失礼な事言われたりされたら嫌だし、そういう感情って障害が無い人と何ら変わらずあるじゃんね】というのが、今までになくスッと腑に落ちた気がしたんである。
黒井先生は発達障害の症状をやわらげる薬も服用して日々を過ごしているのだが、冒頭にそれを飲んでない状態でこの生放送に臨んでいる事を明かしている。
なるほど確かに見ていて情緒や思考の手綱が取れてなくてあっちこっちいく大変さというのは配信ごしにも伝わるものがあったし、それを薬と【ADHD黒井先生】というコンテンツの型に押しこめて『きちんとしたもの』『きちんとした人』として人々に見せるのは負荷も大変だったんだろうなあ!やっぱりなあ!という苦労がしのばれる。そうだわそういやそういう「先生ってなのってちゃんと教える人って顔してコンスタントに動画を出していくって大変じゃないかな……大丈夫かな……」という伸び伸びしてなさそう感もハマれないポイントだった気がするわ。思い出したわ。

 ”こんなに毎日頑張ってるのにぃ~!お薬も飲んでさぁ~!!”と机に突っ伏してそうな声色での嘆きに、すごく【生きているなぁ】感を見たんである。
黒井さんに限らず、Vtuber・Youtuberの生配信が好まれて今のこの業界で多くのファンを得ているのはこの【生きているなぁ】感を摂取するためのものなんじゃないか?と思うのだ。
バーチャル存在もリアル人間もみんなみんな生きているから、生きる中に色々なドラマもあるしドラマにならない小粒の感情の動きとか事件とかある。実はも何も無くこんな事は当たり前の事なのだが、この当たり前の事を時に再確認し、時に自分の生きている世界・自分の視界の外の『当たり前』を発見する、【生きている営み】そのものに触れる事がもう、Youtubeなどの生配信の需要、求められてるものの1つなんじゃないかなあ?などと考えたりしたわけである。
たぶんそれを一言で端的に表したのが「生きててえらい」なんじゃないですかね。どうなんでしょうか。黒井さんは本当抱えてるもののある中で頑張ってるよ。頑張ってるしカワイイよ。


 とにかく黒井さんには頑張って欲しいし毎日幸せでいて欲しいし今回に味をしめて思うまま自由に怒り散らかして喋り倒す生放送やってくれていいんだぞ~~!!!と思いました。
そういう自由さから、先生─生徒の体で教わるのとはまた違う身につき方で『発達障害の人ってこうなんだなあ、ためになったなあ、関わる機会があったら気を付けてみよう』という学びもね、あると思います。


とりあえず黒井さんのグッズの類ってそういえば無かった気がするんですよね……運営さんなんか出したりしてくれないかな……!今後の展開に期待してまっせ……!!(チラッチラッ)

えっサポートしていただけるんですか?ほんとぉ?いいの? いただいたサポートはものを書くための燃料として何かしらの物体になります。多分。