見出し画像

退職日に思うこと

2月28日。今日は退職日。
会社を辞めると決めてから4ヶ月。会社に行かなくなってから1ヶ月。
きっと今思っていることは、書き留めておかないと忘れてしまうので、心の整理をするつもりで書き綴ります。

9年間の会社務めを振り返って

私は地元の高校を出てすぐに、地元の第3セクターに就職しました。
当時は全国的に赤字第3セクターの経営難のニュースが多かったため、気乗りしない部分もありましたが、地域振興を担う組織としてつくられた経緯もありましたので、本当に世間で言われているように第3セクターとは大変なものなかかどうかということを実際に自分の目で確かめてみたいと思い、就職しました。

働いてみて衝撃的だったのは、職員の方々がいかに考えないで働くかという点に重きがおかれていたことです(もちろん今は違うと思います)。当初、駅前の観光物産館のホール担当として入社しましたが、職員が作って張り出していた宴会プランのお知らせのポスターに対して、これを見てお客さんが来たら忙しくなるからと別の職員の方がいつの間にか剥がしていたのはとてもショッキングな出来事でした。もう一つショッキングだったのは、職員の方から「この会社に入るなら一度他所を経験してから来てほしかった」と言われたことです。
社員教育というのにあまり重点を置いていない会社という印象を持ち、働き始めて1年もしないうちに会社を辞めたくなりました。

転機が訪れたのは、働きはじめて2年目です。

辞めようと思っていた矢先に部署替えがありました。移動先の部署は、町の特産品を町内生産者から買い取り、加工し、販売していた部署でした。営業を経験させていただいたり、実際に地域の生産者と触れることがこんなに楽しいことなんだとその時はじめてわかりました。生産者の生の声を聞き、高く買い取り、高く売る。所得と雇用を地域に生み出す可能性に触れられたことはとても自分のやりがいに繋がりました。

ちなみに私の中学の同級生で地元に残っている人は全体のたった1割しかいません。みんな声を揃えて「西和賀には魅力的な働く場所がないから出る」「みんながいないから町から離れる」と言っていました。

周りを見渡しても若者は少ないので、何かやればとても目立ちます。

私も西和賀の特産品「西わらび」「大根の一本漬け」のPRを全力でやり、町の外に出るということは知り合いも増えてきて、その人達に「西和賀いいね!」と言ってもらうことが何より自分の原動力でした。

仕事以外の地域活動も活発化し、町外に仲間も増えてきて、充実した日々を送っていました。

組織にいて感じた疑問

私がいた第3セクターは60人規模の小さい会社であります。
しかしながら、小規模といえど、組織は組織で、組織内の立ち振舞が求められます。フットワークを軽く自分が描くように、仕事ができないことが続いたときは何度も悔しい思いをしました。

また、所得と雇用を地域に生み出し、会社が元気になれば西和賀町も元気になると言ってもらうという理念で進んできましたが、この9年間で私より下の新卒採用者はたったの1名。その1名も会社を去り、年齢で言えば最年少が結局最後まで続きました。

別にそのことが悪いとはいいません。

人を1人雇うのはそんなにも大変なことなんだと痛感しました。

会社に余裕が出たら雇うと度々幹部の方たちは言っていましたが、それよりだったら、規模の小さい3〜5名くらいの会社を立ち上げ、フットワーク軽く動いたほうが地域のためになるのではないか、という疑問を3年位前から強く持ち始めたのです。

辞めると決意してから

去年結婚をし、20代も残り3年もありません。
短い自分の人生で、やりたいことも見えてきたし、今が辞め時だと思い会社を辞めることにしました。

辞めると決めてから、とてもモヤモヤした気分が続きました。
今まで自分が信じてきたことが、急に嘘に感じられ、将来への不安が体全体を覆う。その一方、会社以外で繋がってきた方は行動力ある方が多いので、背中を押していただくことは何度もありました。その度に「よしやるぞ」と思うのですが、また会社に行くとモヤモヤします。まるでジェットコースターに乗っている気持ちでした。

しかし、不思議なもので、会社に行かなくなってからは、心にあったモヤモヤが全て吹き飛び、あれもできる、これもできるという無限の自由を感じ得ました。組織を飛び出し、責任は全て自分に降りかかってくるのでしょうが、それでもそのほうが豊かだと思えてきます。根拠は、自分の頭で考えることの大切さを最近とても感じているからです。将来のことや過去のトラウマなんか考えたくないことなのかもしれませんが、将来は来ていないし、過去は死体のようなものなので、今だけに焦点をきちんと当てていれば、死ぬまで幸せに生きられるような気がしています。もちろん、そこには、何が本質的な「いいこと」「わるいこと」なのかを見定めるセンスが必要になってきますが、それさえ、わかってしまえば、あとは目の前の現実に向き合うだけなんだと、このごろ感じています。

会社に行かなくなってから、暇な時間が増えると思っていましたが、全然そんなことありません。今までの積み重ねに感謝ですが、いろいろなところから光が差し込んできて、今はどの光をつかもうかワクワクしています。心が「いいね」と思った方向のことに行っているのが自分でもわかり、何も不安がありません。

いくつか、春からの仕事の準備にも取り掛かっており、早速そのための団体を設立しました。近日中にお知らせします。

平成最後の雪渡りの季節に



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?