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NewsPicks的なものへの違和感 ー『モチベーション革命』を読んで

Newspicks関連の書籍は本書『モチベーション革命』および『THE TEAM 5つの法則』の2冊のみ読んだことがある。本書も含めNewspicksの本には多くの読者がいて、そして高評価が多くついている(本書はAmazonでは星4つ以上の評価である)。事実、自分の知人にもNewsPicksのサイト・書籍に対する熱狂的なファンがいる。一方で自分はこの2冊に対する評価が低い。彼らと自分の感想の違いはどこに起因しているのだろうか。

恐らくこの評価の違いの前提になっているのは、”NewsPicksなるもの”に対する抵抗感の違いがあるのかもしれない。自分は同メディアにしても、本書にしても、その一部からじわりと感じる自己顕示欲やそれをベースにした極端な前向きさ(いわゆるエモさとも言うかもしれない)が正直苦手である。情熱を炎で例えるなら、自分にとってそれは心の内側で青く燃やしておくものであって、他人に見せつけるように外側で赤く燃やしているのは端から見れば火事であり、あまり近づきたくない

そもそもNewsPicksは自己顕示欲の高さがドライバーとなって盛り上がっているサイトだと自分は思っている。そこから生まれる書籍は当然ながら話題性重視で最先端な印象を受けるタイトル・売り文句を使い、熱しやすく冷めやすいソーシャルネットワークを活用したPRが行われることになる。また、WEB上で少ないエッセンスを惜しみなく出してから出版する手法も特徴と言えるだろう。

これらの手法の良いところは出版元・著者・読者のいずれもが経済的にも工数的にもローコストで済むということにある。”メディアの革命”というミッションに向けて先進性をどんどん打ち出していきたいNewsPicks、ライトな検討量・文章量で発行を重ねることでメディア露出を増やしたい著者、自分が”特別”で””最先端”なビジネスの知見を得ているという”実感”をライトに得たいいわゆる”意識高い系”、彼らにとってまさにWin-Win-Winの手法である。

しかしその一時的な合理性を突き詰めた、敷居を下げることに注力したビジネスにおいて、この先に有意義なコンテンツは生まれていくのだろうか。音楽業界やテレビ業界に起こるコンテンツの画一化ではないが、現在は高評価をつけている読者も、だんだんとそのセンセーショナルなPRの裏側にある本質的な浅さに気付き始め、はっきり言えばこの”流行”に飽きてしまう可能性もあるのではないか。

もちろんNewsPicks Booksはこの2冊だけではないし、ものによるのかもしれない。しかしどうも当該サイト・出版元の話題性に対して、心理的な遠い距離を感じてしまう次第である。

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