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高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)について


この事業について

文部科学省の「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」の募集が行われています。
文部科学省への提出期日が2月29日なので、教育委員会(公立)や知事部局(私立)への提出は締め切っているのではないかと思います。

交付要綱、実施要領、採択基準は公開されています。

この事業では、情報、数学等の教育を重視するカリキュラムを実施するとともに、ICTを活用した文理横断的な探究的な学びを強化する学校などに対して、必要な環境整備の経費を支援します。

補助額・採用校数

予算規模は100億円。
補助額は1校当たり1,000万円までで1,000校程度です。

昔「100校プロジェクト」というのがありましたが、1,000校ってどのくらいの割合の学校が対象になるのでしょうか?。

学校基本調査(令和5年度)によると、高等学校は本校分校合わせて4,791校あります。

また、中等教育学校が57校あります。
さらに、特別支援学校高等部も対象になります。
でも、知的障がいのみの学校は、後述のように点数で不利になるので除外して良さそうです。
特別支援学校高等部は本校953校、分校73校あります。
知的障がいのみの特別支援学校は本校517校、分校78校ありますが、高等部を開設してるかどうかの内訳がわかりません。
今は小中高等部まで設置する学校が多いかなと思うので、ここでは全部の学校で高等部を開設していると仮定し、本校418校、分校0校としてみます。
知的障がい以外の分校があると思いますが、本校で引きすぎた分を合わせればだいたい良い数値になるのではないかと思います。

また、スーパーサイエンスハイスクールの指定校(令和5年度218校)は対象外になります。

つまり、各都道府県トップクラスの進学校が対象外になるので、「そうでもない学校」でも採用になる可能性があります。

そうすると対象校数は
4,791+57+418-218=5,048校
となります。
採用校数は約1,000校なので、だいたい5校に1校採用されるという計算になります。

要件

要件としては以下の(1)又は(2)、及び(3)を満たす必要があります。
なお、特別支援学校高等部は(3)のみで良いとのことです。

(1)情報Ⅱ等を令和6年度においてすでに開設していること。
(2)情報Ⅱ等の開設に向けた具体的な検討を令和6年度中に開始すること。
(3)デジタルを活用する設備を配備したスペースを整備し、情報等の教育内容の充実、探究的な学び・STEAM教育等の文理横断的な学びの機会の確保、対話的・協働的な学びの充実を図ること。

実施要領より著者要約

つまり、「情報Ⅱ等の開設」と「デジタルスペースでの学びの充実」が必要だということです。
高等学校で情報Ⅱ等が開設できない学校は除外されます。
特別支援学校高等部については後述します。

情報Ⅱを開設している学校数

そうすると、
情報Ⅱを開設している学校は何校ぐらいあるのだろうか?
という疑問が生じます。

先日、中野先生がXで資料を投稿されていました。
令和5年度に情報Ⅱを開設している学校は557校だということです。
1,000校無いんですね。
1校も開設していない県もあります。
令和6年度からの開設を予定してる学校はあるでしょうから、ここからどのくらい増えるかということになります。

ただ、この事務連絡、検索しても見つかりません。
「高等学校情報科担当教員の専門性向上及び採用・配置状況等調査」についても、令和5年度の調査結果が文部科学省のページで見つかりません。
公表されてないのだろうか。

話題になっているかどうか

ネットでどのくらい話題になっているのかを調べれば、この事業に対する関心の高さがわかるかなと思い、Googleトレンドで調べてみました。

調べたキーワードは
・高等学校DX
・DXハイスクール
・高校DX ←Xで時々見かけた書き方

Googleトレンドでは実検索数ではなくて指数しか得られないので、比較するために
・GIGAスクール
も入れてみました。

Googleトレンドによる分析

GIGAスクールが2月13日に増えているのは、徳島県のGIGAスクール端末の故障率が5割を超え、代替機の目途が立たないという記事が出たためと思われます。

https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASS2F6GMXS2FPTLC00N.html

でも、徳島のツーウェイ製端末の不具合の多さは以前から知られていた話で、真新しさはありません。
その記事の半分くらい「DXハイスクール」で検索した人がいるということになります。
これは盛り上がっていると言えるのかどうか・・・。

地方でいえば東京と大阪からの検索が多いようです。

Xでも検索してみたのですが、高等学校DXについて話題にしている教員アカは限られている印象がありました。

特別支援学校高等部でも採用になるのか

特別支援学校高等部も対象になっていますが、採用される見込みはあるのかどうかを見てみます。
実施要領に採択方法が掲載されています。

①都道府県基礎枠
 都道府県ごとに学校数、公私比率を踏まえた公立学校分、私立学校分の基礎枠を設ける(都道府県ごとの基礎枠数は別途通知する)。文部科学省は交付申請書等を確 認の上、各都道府県の基礎枠の範囲で採択基準に基づく得点上位の学校から順に採択校として決定する。
②全国枠
 文部科学省は交付申請書等を確認の上、申請要件を満たす学校のうち都道府県基礎枠の学校数を超えて採択校として決定されなかった各都道府県の学校を集約し、採択基準に基づく得点上位の学校から順に予算の範囲内で採択校として決定する。

高等学校等デジタル人材育成支援事業費補助金 (高等学校DX加速化推進事業)実施要領

(5) 特別支援学校高等部についても、4.採択方法等に基づき採択することとする が、採択校数が一定数に満たなかった場合には、得点上位の学校から順に一定数 まで採択することとする。

高等学校等デジタル人材育成支援事業費補助金 (高等学校DX加速化推進事業)実施要領

つまり、特別支援学校高等部は情報Ⅱの開設不要で申請はできるけど、優遇はしませんよ、ということです。
採択基準によると、情報Ⅱを開設していれば評価項目1-1で15点になりますが、開設していなければその加点が無いので不利になります。
情報Ⅱを開設しない、特に知的障がいの特別支援学校が15点差を乗り越えて採用されるのは厳しいでしょう。
たぶん、万が一申請校が少なくて予算が余った時に特別支援学校へ回せるように制度設計したのかなと思います。
ただ、ネット上であまり話題になっていないとすると、「実は申請すれば全部採用だった」という可能性もあるかもしれません。

ちなみにうちの学校は令和6年度から情報Ⅱを開設することになっています。
申請すれば、高等学校と同じ基準で採択のテーブルに乗ることになります。

何を買う?

1,000万円の予算で何を買うか。
一般社団法人 デジタル人材共創連盟(デジ連)がプラン集を作成しています。

これを見ると、いろいろなものが買えることに気づきます。
3Dプリンタやレーザーカッター、高性能パソコン、IoT機器・・・。
詳しくない人でも指導可能な機器も紹介されていて、至れり尽くせりの資料になっています。

ケニスやナリカもDXハイスクール用のカタログを作っています。
理科室をデジタル化するという手もあったか。

富士通も特設ページを作っています。

まとめ

5校に1校1,000万円の補助金がもらえて、デジタル環境を整備できるというのはなかなかない機会だと思います。
校内では陰で「季和先生の1,000万円計画」と揶揄されていますが、情報科以外の教科でもDXが進むよう、様々な配慮を組み込んだ計画を作ってみました。
面白い実践ができそうです。

採用されればの話ですが・・・。




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