えこ

古賀コン年4回全応募を目指してアカウントを復帰しました→無事に4回応募しました。

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最近の記事

収集者の曖昧な記憶

「未明(みはる)くんが亡くなった」  上司の左笹山(さささやま)が言った。窓を背にしているので表情は見えない。 「未明さんとは、どなたでしょうか?」  私は哀しそうな声に聞こえるといいな、と思いながら、囁くような声で左笹山さんに言った。さが多いんだよ、マジ。 「あれ、弟では? 登録データのミスかな……」 「あ、あー。思い出しました。みはる、みーくんね、はるくんね。はいはい。そういえばそんな名前の弟がいましたっけね。そうか、あいつ死んだのか」  なにしろ、私が廃人回収車に回収さ

    • 完璧な日曜日 ハッピーなバースデーとチョコレート味

       快晴。  沸かしたてのお湯。熱々のコーヒー(あるいは紅茶)。  風になびくシーツ。ほどよい風。  散歩する犬。日向ぼっこする猫。駆け回る子どもの歓声。  のんびり散歩する老夫婦。  ベンチで昼寝するリーマン。  そう言った平和を象徴する、ありとあらゆるものが失われる前日のことである。  日曜日のカフェ。窓際の席を陣取り、モーニングを注文した後、早峰は言った。 「完璧な誕生日には、城島が不可欠だ」  城島、つまり俺は答えた。 「俺に誕生日をお祝いして欲しいって話? おっけー、

      • 飴梨果の入学史記

         梨果さんは長生きだ。人ならざる者の血を引く、と自称している。何百年も生きているから、数えきれないくらいたくさんの学校に入学したらしい。  ぼくと同じ小学校に通っていたこともあった。  もりずみ小学校は少子化の影響で、その年入学する子どもはぼくだけのはずだった。なのに、入学式の当日、梨果さんは当然のようにぼくの横のパイプ椅子に座っていた。しかも、どういうわけだか、校長先生や山科先生やぼくのお父さんやお母さんの前で、新入生代表のあいさつをした。 「桜咲き、春の息吹を感じる今日、

        • ツイッターが使えないのでここに置きます

        収集者の曖昧な記憶

          蒐集者と回収車 #古賀コン

          ご家庭のご不要なもの なんでも回収致します テレビ 洗濯機 冷蔵庫など 家電製品 鉄屑…… 「やったぁ! ゾロ目だ」 お釣りの千円札を両手でつまんで大喜びする私を見て、コンビニバイトの男の子は顔をしかめた。「商品、袋に入れますね」 ニヤニヤしている私を冷たい目で見ながら、アイスクリームを袋に入れる。 「スプーンはいくつ御入用ですか?」 貴重なゾロ目札を曲げないよう、そろそろと財布にしまいながら、私は早口に言う。 「スプーンは5個で。それと袋、小さいサイズもください」 「一つ

          蒐集者と回収車 #古賀コン