石川 淳一

福岡在住のゲームデザイナー。PC-98/88の『大戦略』シリーズの時代から35年くらい…

石川 淳一

福岡在住のゲームデザイナー。PC-98/88の『大戦略』シリーズの時代から35年くらいやってます。ここでは最近注目している体験型ゲームやARG、イマーシブエンターテイメントなどについてTwitterに連続投稿した内容とかをまとめていこうかなと思います。

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    体験型エンタメについてまとめています。

最近の記事

日本語で読めるARG入門

『Project:;COLD』や『人の財布』などの登場で、日本でもARG(代替現実ゲーム)がある程度知られるようになってきましたが、このジャンルについて調べようとすると日本語の情報は少なく、その壁の高さに驚くことがあります。 そこで今回はARGについて日本語だけで学ぶのに向いていると石川が思う入門情報源や記事をまとめたいと思います。 ※【2024/04/09】書籍に『デジタルゲームの教科書』を追加しました 最初に読むにはまずは「体験型エンタメ情報局」の2つの記事がおすすめ

    • CEDEC2023『リアル世界のゲームデザイン』動画公開

      大変遅くなりましたが、CEDEC2023『リアル世界のゲームデザイン』のセッション動画を公開します。 スライドだけのデータはこちらとなります。(ドクセル) また、会員登録(無料)が必要ですが、CEDiLでは『リアル世界のゲームデザイン』をはじめとする石川の過去のスライドを含め見ることができます。 権利の関係で他は公開できない過去の体験型エンタメ関係のスライドや、CEDECの様々なゲームセッションのスライドも見ることができますので、ぜひ登録してみてください。 講演の背景

      • 『Sleep No More』で体験した日本のイマーシブシアターとの違い

        イマーシブシアターブームを生み出した大ヒット作『Sleep No More』。そのニューヨーク公演が2024年1月で終わると聞いて「いつか行こう」とのんびり構えていた石川は慌てて旅行手配を行い、4回分のチケットを買ってニューヨークに向かったのが2024年の1月17日。 実際には終了が1月→2月→3月→4月(2024/03/14現在)と、まるでどこかの閉店セールみたいに伸びていったので、落ち着いて手配すれば経費も10万円以上違ったと思うのですが、ともかく公演が見られなくなる心

        • 『THEATER 010』とイマーシブシアター

          福岡に新しくできた『THEATER 010』に2022年12月9日に行ってきました。(記事にするのが遅くなってすみません) この施設ですが、食事をしながらイマーシブシアターを楽しめる、というのがアピールポイント。 地元福岡ということで、いつも東京や関西にイマーシブシアター遠征を余儀なくされる私にとっても興味津々の施設です。 ただ、実際に行ってみて、施設側が説明している「イマーシブシアター」とややズレがあると感じたのと、レビューもあまり見かけないので、どんな内容だったかできる

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          3本

        記事

          『Star Wars: Galactic Starcruiser』製作者の講演は最高だった

          『The Immersive Industry Homecoming Summit』というイマーシブ系イベントのカンファレンスがあります。2021年8月に初開催され、今年は2022年6月26日~27日(現地時間)にラスベガスで第2回が開催されました。 イマーシブ系イベントは欧米が中心ですので、そのトップクリエイターたちのカンファレンスが、英語とはいえオンラインでも参加できる、とても有り難いイベントです。 その中でも『Star Wars: Galactic Starcruis

          『Star Wars: Galactic Starcruiser』製作者の講演は最高だった

          ARG『Perplex City』と『名探偵コナン・カード探偵団』

          さて、以前の記事「『謎の日本人サトシ』とARG『Perplex City』」で、ドキュメンタリー『謎の日本人サトシ~世界が熱狂した人探しゲーム~』に登場した三原飛雄馬さんは当時の単なる参加者ではないと書きました。 そこから話を続けたいと思います。 ちょっと長いプロローグ2020年のある日、TV番組制作会社から1通のメールが届きました。 2019年末に14年ぶりに解決したARG『Perplex City』の「サトシ」カードについてのドキュメンタリーを製作中というのです。

          ARG『Perplex City』と『名探偵コナン・カード探偵団』

          イマーシブシアター『藍色飯店』がとてもよかった(後編)

          大変お待たせしました、ようやく「後編」をお届けします。 今度こそ、これで完結です! 前編と中編はこちら↓ 人間関係が見えてくる快感『藍色飯店』の登場人物たちは、それぞれが1人ずつホテルの部屋という空間に仕切られています。そして、彼ら彼女らとの会話によって、お互いの人間関係が少しずつ見えてきます。 人間関係が最初に明示されずに、会話の中から少しずつ見えてくるというのは、一般の演劇や映画などでもよくある手法ですが、ここでイマーシブシアター的な面白さが出てきます。 例えば、Aさ

          イマーシブシアター『藍色飯店』がとてもよかった(後編)

          『謎の日本人サトシ』とARG『Perplex City』

          『謎の日本人サトシ』2/11再放送決定!先日NHKのBSプレミアムで放映されたドキュメンタリー『謎の日本人サトシ~世界が熱狂した人探しゲーム~』。 イギリスのARG(代替現実ゲーム)『Perplex City』で14年間解かれることのなかった謎「日本人サトシを探す」が2020年末に解決へ至るまでの軌跡を追ったドキュメンタリーです。 2022年2月11日(金)23:45からBSプレミアムで再放送があるので、まだ見てない方はぜひ観てもらいたい作品です。 (ちょっと前まではNHK

          『謎の日本人サトシ』とARG『Perplex City』

          音声AR『博多流』は残念まち歩きコンテンツだった

          今日、前から気になっていた音声AR街歩きコンテンツ『博多流~はかたながれ~』を遊んできたのですが、音声ドラマ部分の内容以前に問題点が多々あり、思わず以下のようにTwitterでつぶやいてしまいました。 このままだと単なる悪口になってしまうので、『博多流』の何が良くないのかの話をしたいと思います。 『博多流』だけの問題と考えず、周遊にエンタメ要素を入れたコンテンツで同じようなミスを起こさないための参考になればと思います。 企画意図は良いと思う『博多流』は一言でいうと、スマホ

          音声AR『博多流』は残念まち歩きコンテンツだった

          イマーシブシアター『藍色飯店』がとてもよかった(中編)

          おまたせしました。「イマーシブシアター『藍色飯店』がとてもよかった(中編)」です。 ……はい、すみません、「後編」ではありません。書きたいことがまだまだあって、今回も完結しませんでした💦 自分でもよくまあここまで書くことが出てくるなと呆れるばかりですが、とにかくここまでで書けた内容をアップします。次回こそは! (「後編その1」とかになりませんように…) 「前編」はこちら 演劇としてのイマーシブシアタータイトルを見て「イマーシブ『シアター』なのだから、演劇であるのは当然では

          イマーシブシアター『藍色飯店』がとてもよかった(中編)

          イマーシブシアター『藍色飯店』がとてもよかった(前編)

          2021年11月11日~12月8日に大阪で開催されたイマーシブシアター『藍色飯店』がとても良かったので、自分なりにどのあたりが良かったかちょっとまとめてみようと思います。 ちょっと書きたいことが多すぎて、終演から1ヵ月以上経った今も十分に整理できなかったので、とにかく思いついたことから書いていこうと決めました!なので、今回は前編ということで。 将来再演される事があるかもしれませんので、物語そのものには(公式で書かれているものを除いて)触れない書き方をしますが、自分が感心した

          イマーシブシアター『藍色飯店』がとてもよかった(前編)

          演劇指向のイマーシブシアター『パンドオラ ー秘密のショウタイー』

          2021年10月2日に山口市で見た劇団シバイヌさん の「参加型」演劇『パンドオラ -秘密のショウタイ-』がとてもイマーシブシアターで良かったので、その感想を。参加感を損なうような直接のネタバレは書きませんが、周辺的な部分には触れるので、もし今後再演などあったときに真っ白で参加したいという方はご注意ください。 『パンドオラ』がどういうお芝居かチラシに書かれている範囲で話しますと、“パンドオラ商隊”と呼ばれる商隊が、会場となる菜香亭に立ち寄って数日間お店を広げるという招待状が参

          演劇指向のイマーシブシアター『パンドオラ ー秘密のショウタイー』

          イマーシブシアターの祖『タマラ』のシナリオ

          イマーシブシアターの祖とも言われる1981年初演の演劇『タマラ(Tamara)』の脚本を書籍にしたものが届いたので、さっそくスキャナーでOCRして、機械翻訳でつらつら読んでいます。 ちなみに、米AmazonではKindle版が出ているのですが、日本からは買えないようです。Kindle版があれば、いちいちOCRにかけるために、書籍を断裁しなくてもすんだのに(ブツブツ) この書籍は『タマラ』初演40周年を記念して出版されたものですが、昔同じような書籍が出ていたらしいので、正確

          イマーシブシアターの祖『タマラ』のシナリオ

          イマーシブ系のドキュメンタリー番組『IMMERSIVE.WORLD』

          アメリカのPBSで配信されている『Immersive.World』という番組があります。 これは「イマーシブ」(没入型)と呼ばれるさまざまなジャンルのコンテンツを各回のテーマに沿って、作品紹介を中心に映像と関係者のインタビューで紹介するもので、イマーシブ系の最近の潮流を映像で知ることができる、非常にワクワクする番組です。(しかも無料!) 英語の壁はありますが、やっぱり動画というのはイマーシブ系のイベントを紹介する上では見ているだけでも雰囲気が分かるので強いなと思います。

          イマーシブ系のドキュメンタリー番組『IMMERSIVE.WORLD』

          イマーシブ・ストーリーテリングを考えるための情報源

          Facebookグループ『Everything Immersive』で 「イマーシブ・ストーリーテリングをデザインするのに何かいい情報はありますか?」という2020年10月10日の投稿に対して、Kathryn Yuさんが提示した情報がとても有用だったのでいくつかメモ代わりに上げておきます。すべて英語ですが、機械翻訳とかを使うだけでも概要は掴めるかと思います。 Worldbuilding in Immersive Theatre, and the Punchdrunk sty

          イマーシブ・ストーリーテリングを考えるための情報源

          日系アメリカ人の強制収容問題を音楽と共に考えるイマーシブイベント『Swingposium』

          2020年8月は、現地時間で毎週末にイマーシブ関係のオンラインカンファレンス『This Immersive Globe』が行われていました。日本時間では月曜日の早朝4時からという過酷な時間ゆえ、なかなか起きることができないのですが、それでもまったく知らないイマーシブイベントの話とかが飛び出してくるので、毎週眠い目をこすりながら翻訳ソフト片手に視聴していました(けっこう寝坊もしたけど) その中でも一番インパクトあったのは第二次世界大戦での日系アメリカ人の強制収容問題を音楽と共に

          日系アメリカ人の強制収容問題を音楽と共に考えるイマーシブイベント『Swingposium』