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宗教と自殺

 女性アイドルが自死で亡くなった時に学生でしたが、週刊誌のグロテスクな写真をみて、大きな衝撃を受けたことをよく憶えています。その時あるクリスチャンの友人がこのようにつぶやきました。「キリスト教国は自殺が少ないんだよね」と。そこで私はカトリックとプロテスタントでの違いを確認したところ、それほど多くは変わらないが、ややカトリックが少ないとも言っていました。理由と尋ねると、カトリックは懺悔をして、罪を帳消しするからと回答しました。信憑性はともかく、キリスト教圏の自殺率は低いのはデータをみるとうなずけることころです。そこで他の宗教を調べてみると、イスラム教徒の低さが特に顕著です。ヒンドゥー教もかなり低めです。イスラム教徒が低いのはコーランに「だが、自分の手で自らを破滅に陥れてはならない。」(雌牛章第195節)と明確な記述があるからではないかと推測されます。



 聖書はどうでしょうか。コーランほど明確ではありませんが、自殺を否定する記述が多くみられます(創世記、ヨブ記、伝道者の書、列王記第一、パウロ書簡など多数)。また福音書にはユダが自殺したことが記述されており、自殺が忌むべきものという印象をあたえています。
 ヒンドゥー教はといいますと、経典を見出すことができませんでしたが、アトマトヤという魂の殺戮を犯して、解脱の妨げになると考えられているようです。ヒンドゥー教徒にとって解脱は人生の希望でもありますから、それが妨げられるとすると重大です。
 仏教は無神論者と比較すると低いですが、上記の宗教と比べると高くなっています。
 神道は経典がないため自殺に関して論ずることは難しいかと思います。日本にいながら仏教徒から自殺に関する説法をあまり聞いたことがありませんが、インドからの影響を考えると輪廻的な視点から推奨されないものと考えられます。詳しい方がいらっしゃれば教えてもらいたいと思っています。
 上記のように宗教的な道徳観が人生の厳しい状況にあって、自殺企図のブレーキとして作用していることは大いに考えられます。日本人は道徳観として自殺が罪であるという認識は低く、逆に美化される一面もあります(切腹文化など)。他国と比較して高い自殺率で推移している日本の現状としては自殺の予防を検討する上でギリギリの状態で自殺企図を回避する多くの支援が必要となると考えらえます。

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