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オシャレ男子の育て方を教えてほしい

オシャレ男子の育て方がわからない。

オシャレな旦那様や息子さんがいる方、
ぜひ教えてはくれないだろうか。決して
ふざけているのではない。

こんな本があったら今すぐ買う!
というくらい切実に悩んでいる。


▶︎オシャレじゃないけど


私の夫はファッションに全く興味がない。
独身だった頃、共通の友人が夫を紹介して
くれたのだが、第一印象は「ちょっと
風変わりな格好をする人だな」
だった。


スリムなホワイトデニムにモスグリーンの
ポロシャツ。紺色とえんじ色のストライプが
5cm間隔で走っていて、胸元にはちっちゃな
刺繍が施されている。足元はヒモのついた
白い革靴。


当時の流行りからは遠くかけ離れた感じ
だったのを覚えている。20代にしては
ずいぶんと老けて見えた。


デートの時の服装はいつもそんな感じ
だったが、性格は穏やかで誠実な人。
何よりも一緒にいて落ち着くし、出会って
9ヶ月でゴールインした。


▶︎新妻のミッション


新妻の私はあるミッションを託されていた。
依頼人は、夫を紹介してくれた友人である。
内容は「アイツの服装をどうにかしろ」。


友人いわく、夫は「仕事もできるし性格も
いいやつだけど、服装がダサすぎる」のだと。


でも、別にいいんじゃない?誰かに迷惑を
かけてるわけじゃないし。そう言う私に
友人は衝撃的な事実を打ち明けた。

「なに言うてんの。あのファッション、
飲み会でイジられてるで!」


なんてこった。
本人は全く気にしていないし、むしろ
イジられて美味しいという顔をして
いるらしい(!)。


しかし。やはり。
ダーリンには素敵でいてもらいたい。
私は恐る恐る、友人の話を聞いた。


▶︎ハイジよりも、プーさんよりも


夫の職場は服装もわりと自由だ。
当時は珍しかったダウンベストをよく
着ていたらしい。色は赤。


どんな服装のときもそれを着るから、当然
チグハグな日もある。職場の人たちはそれを
「ハイジの赤いベスト」と呼んでいたらしい。





確かに、アニメ『アルプスの少女ハイジ』は
赤いベストみたいなのを着てる。
いやいや、赤いベストが最も似合うのは
「くまのプーさん」じゃないのか?
そんな話はどうでもいい…


「主任(夫の当時の役職名)、ハイジのベスト
お気に入りですね!」「おぅ!似合っとるやろ」
こんな会話が交わされているのだろうか。


新妻としては、不本意である。「主任、
結婚してからオシャレになりましたね!」
ぐらい言われてほしい。ちなみに、デートの
時にハイジのベストを「え?救命胴衣?」
と思ってしまったことはナイショだ。

※それくらい、当時ダウンベストを
着ている人は少なかったのだ。


▶︎目指したのはジャンボ尾崎


友人が言うには、夫の服は母親
(私にとっては義母)が選んでいたらしい。
義母の名誉のために断言するが、義母は
とびきりオシャレな人だ。


洋裁の達人で、スーツやコートまで作って
しまう。いつもジャストサイズのパンツを
颯爽と履きこなし、アクセントに帽子を
忘れない。ハンチング帽、ベレー帽、何でも
似合う。そんな人の選ぶ服が、なぜダサいと
言われてしまうのか。


友人は続けた。
「あの年代にとって『男性が着るカジュアル』は
おじさまのゴルフウエアなんよ」


あー、言われてみれば思い当たる。
夫の持ち込んだタンスから、ビビッドな
イエローのパンツが出てきてびっくりした。
ゴルフ界のレジェンド「ジャンボ尾崎」しか
着こなせないパンチのあるアイテムがズラリ。

組み合わせが高難度。


もし、ガッチリ体型で、個性で着こなす
センスのある人なら絶対似合うと思う。
でも、華奢で『サザエさん』に出てくる
マスオさんみたいな風貌の夫が着ると
借り物競走感がハンパないのだ。


要は、ミスマッチである。


▶︎誕生秘話


では、なぜいい歳をした息子の服を母親が
買っていたのか?義母から直接聞いた。
要約すると、面倒くさがっていつまでも
買いに行かないからとのこと。


放っておくと、穴が開いても破れても
平気で着るらしい。ついに根負けして
義母が買う。こんな負のスパイラルが
延々と続いた結果、今に至る。


▶︎新しいミッション

そこで私は「オジサンぽく見えない
カジュアル」を目指して、夫の服を少しずつ
増やした。一緒に買いに行って「こんなの
似合うんじゃない?」とコーディネートする
のは楽しかった。

夫は私の買った服を文句も言わず着てくれ、
晴れてミッションは完了した。やがて3人の
子どもに恵まれ、育児に忙しくなると、
夫の服の管理に手が回らなくなる。


うちは男女混合で3人子どもがいて
衣替えも面倒だ。そろそろ、自分で
管理してねと夫に告げた。


しかし、いっこうに買いに行く気配はない。
Tシャツはヨレヨレになり、ジーンズには
穴が開き、はたと気づいた。

この人は自分で服が買えない!
自分のサイズさえ分かっていない。
何年も前から人任せだったのだから、当然だ。


でも、本人は意に介さず。義母の嘆きが
脳裏をよぎる。これはマズいぞ。私は夫を
着せ替え人形にしていただけなのだ。


とりあえず、無難なものでいいから自分で
選べるようになってもらわなくては。
今や正真正銘のオジサンになった夫を連れ、
オバサンの私はユニクロに行く。


オールシーズン売っている定番商品から
似合いそうなものをピックアップし、
商品名のポップを写メる。


コーディネートに悩まなくていいように、
色もベーシックなものをチョイス。
組み合わせのNGやサイズ感のつかみ方、
裾上げの頼み方も教える。
ジーンズとTシャツを買うだけでどっと疲れた。

「スティーブ・ジョブズみたいに、
毎日黒Tシャツでええやん」

と思い始める。


買い物から帰宅した私は、またしても
重大なことに気付く。
我が家には息子が二人いる!


うち一人は、夫と同じ道を歩みそうな
気配が漂う。これはマズいぞ。


私自身、妹と二人姉妹なので、男の子の
成長過程がよくわからない。そして
義母と同じように、若者のファッションの
流行りがわからない。ティーンエイジャーに
ダンディなものを着せてしまうかもしれない。


どうすれば関心を持ってもらえるのだろう。
どなたか、オシャレ男子の育て方を
私に教えてください。

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