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日本に移住すべきかどうかについて

日本語の学習者に勉強の動機を尋ねれば、その多くは「将来的に日本に移住したい」と答え、その大半は日本で就職しようと思っているだろう。当然ながら、まだ学生の身でない限り「日本移住」というと日本で働くことになる。
では、日本就職に見合う代価はあるだろうか。私から見れば、他の先進諸国という選択肢が残っている限り、20〜30代のうちに日本就職の甲斐はないと考える。

日本移住のメリット

日本語の学習者にとって、日本への移住はたいてい長年の夢であり、日本自体は楽園そのものである。どの方向に目を向けても、親しんできた日本語の文字に、日本文化を体験する機会ずくめだ。また、日本では治安がよく、欧米に比べれば物価も多少低い。
確かに日本では長時間労働に残業、そしてブラック企業も蔓延っているが、20代なら些末事だ。残業代も支払われる。

そして、そのデメリット

これこそ「日本移住の夢」という幻:大好きな日本ならなんでも許し、あくまで日本のいいところに集中する。さらに、「ブラック企業」や「過労死」の存在を認めつつも、「自分なら大丈夫」といった安易な考え方を持つ。
だが、「自分の夢を追う」以外の選択肢はたくさんある。例えば、夢とやるべきことを区別し、合理的に考えること。
私は日本企業に勤めることに対してよく不安を覚える。なぜなら、長時間労働と残業に引き換え、なんの利益がないと考えるからだ。まず、先進諸国の中で給料は圧倒的に安いということ。オランダに比べれば、約半分、アメリカに比べれば時に三分の1にすら満たない。もちろん、その分生活費も安くなるが、生活費や保険料を引けば、以前のまま三分の一くらいだ。しかも、昇進すればするほどこの差は大きくなる。
どうせ長時間働くものなら、それに見合う代価を貰いたい。ましてや、将来は不確実でインフレに勝てそうにない日本に財金を託す場合ではない。

馴染みの少子高齢化

すでに「物価が上がるのに、給料は上がらない」と言われる中で少子高齢化を考慮すると状況が悪化する一方なのではないだろうか。人口推移の未来予測によれば、少なくとも2060年まで高齢者の割合が上昇していくそうだ。こうして、若者や若いカップルへの負担が高まり、経済圧力により出産数も抑えられ続ける。

疑問

ここまでご覧になれば、なぜお金の話ばかりしているのか疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれない。「これでは人生をとうてい楽しめないぞ」と思われるかもしれない。ごもっとも。
楽しい人生を送り、楽しい思い出を作るのは確か大事だろう。ひたすら個人金融にこだわって一生を過ごせば、新しい体験が限定される。だが、若いうちできるだけたくさんの体験をしない、歳をとってそのような体験ができなくなってから後悔してしまうのは間違いない。
たとえば、海外に在住したあまり、日本で職業が見つからないほど日本語能力が鈍ってしまう可能性は無視できない。
しかし、これなら対策は簡単:今まで通り勉強を続け、定期的に弁論大会に参加することで自分の表現力を保てばいい。私は日本から帰国する直前に受けた日本語能力試験N1でギリギリ合格した。それから4年後、つまり昨年で再びN1を受けたところ満点で合格した。要は、在日していないからといって、日本語能力が必ずしも低下するわけではない。

結論:夢かお金か

とはいえ、どうしても日本に移住すべきではないとは言わない。私は今でも毎日欠かさず日本語を勉強しており、日本のYouTube動画を拝見するたびに日本の魅力を感じる。そして、いずれか日本で就職しようと思う。
ただ、資産を確保してから日本に移住すべきだと考える。適度に投資し、経験年数を貯めれば、日本で生き続けられる。もっとも、念の為リモートで他国企業に就いた方がいいと思いますが。

一番プレッシャーに耐えられる若い自分にかけ、20年代や30年代を犠牲にすれば、将来の見通しが咄嗟に晴れるかもしれない。それなら、今度日本に移住すべきかどうかご自分で答えを見出してください。


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