予備試験後~司法試験までの困難

今回は、少なくとも僕みたいな凡人が、本試験受験までに何に苦労してどう取り組んだかを書き留めておきたいと思います。

標題と類似のテーマについては既に加藤先生のブログがあると思うので、まずこちらを読むので十分かもしれません。

https://kato.blog/7093/

今年の司法試験合格発表では、予備試験合格組の対受験者合格率は89.4%ということが判明しました。
ただ、昨年はコロナ禍での延期ということもあり、2019年以前のデータを考慮しても少し割り引いて考えるべきでしょう。

実際、司法試験は予備試験合格者でも気を緩めると簡単に受かる試験ではないなぁと感じました。
幸い1回で合格できましたが、合格発表までは自信が身が持てず不安な日々でした。
今思えば、勉強仲間に刺激を受け、かつ問題の相性にも助けられた面があったので働きながら合格できたと感じてます。

それはさておき、本題について簡単に紹介していきますね。

1.【論文】問題文が長い+要求レベルが高い

予備試験最終合格発表前から刑事系科目を解いたことがあったのですが、初めは途中答案になったり、予備試験の時よりも少ない分量しかかけませんでした。

設問を読み込んで誘導に乗るのが精一杯で、はじめは出題趣旨等の意味を汲み取ることが全然できなかったくらいです。

実践練習としては某塾の過去問答練を受けたのですが、毎回ボロボロの添削結果が返ってくる度に「これは1回で合格するのは難しいのではないか」と思い知らされたものです。

2.【論文】選択科目の分量も多い

興味というより試験政策的観点で労働法を選択しましたが、思う以上にカバーする範囲(理解+暗記すべき項目)が多い。

限られた時間内でできたのは、シケタイ労働法の読み込み+過去問10年分くらいでした。

コロナ禍での受験延期があったにも拘らず、怠惰な自分は基本科目に比べ理解が不十分なままで本番を迎えました。

3.【短答】割くべき労力

予備試験短答に合格するレベルであれば、3科目ということもあって対策しやすいのではないかと思います。

もちろん(論文対策に注力するあまり)短答を疎かにしてはならないし、かといって短答に力を入れる時間もない。

結局、本番の民法では自信をもって回答できる設問が少なすぎたこともあり、試験直後は絶望しておりました。
(結果としては予想以上の点数ではありましたが・・・)

4.どう対策したか(あくまで自分の場合)

(1)論文対策

色々な方々の話を聞いて情報収集は怠らないようにしていたのですが、本試験では、出題趣旨等で求められるレベルと実際の合格者のレベルの乖離が大きいとのことでした。

本番まで不完全燃焼でしたが、合格通知を受領して感じたのは「意外とこんなのでよかったんだ」ということでした。

少なくとも以下の点を心掛けていたことで本番は守れたのだと思います。

・繰り返し過去問を解くことで、読解力、思考力や筆力を体得する
・本試験についてはなるべく全問解いてみる(各論としては以下参照)。
→できれば直近3年間は3回くらい回せるとベター
→非常に難しい問題は解かない(何問か解き始めて諦めた問題あり)
→民法と刑法は旧試や予備の過去問に重点を置き、本試の過去問は全問解かなくてもよい(上記ブログに掲載された重要そうな問題に限定)。
・問題毎に設問と事実関係と誠実に向き合う
・拾うべき事実はなるべく拾う(時間なくても書き写しておくつもりで)。
・出題趣旨等で最低限求められる部分を遵守する
・選択科目の労働法は上記2.のとおりだが、時間をかけすぎない。
・自主ゼミ等で勉強仲間等他人の答案を参考にする
・基本書等の分厚い本を通読しない(自分が持っているのは殆ど予備校テキストだからか)。
・空き時間に過去問答練等で演習をの機会を作り小さいマイルストーンを設定していく
・TKC等の全国模試は必ず受験して自分の弱点を発見しておく。

一見すると当たり前のようですが、自分にとっては全て合格のため必須条件のように感じます。

とにかく過去問と向き合って答案作成を身体で覚えることを意識しました。

民法と刑法だけ対策を少し変えていたのは、(H15年以降くらいの)旧司や予備の過去問と問われる論点や形式は大きく変わらないという話を聞いたからです。
そのため、時間がなかったという言い訳もありますが、他の科目と比べて本試験は5、6年分くらいしか解いてません。

また、コロナで受験が延長したものの本試験までは時間は限られていました。
そのため、基本書を辞書代わりに用いるのはともかく、受験政策的に必要のない学術書の読みこみで満足するのは避けました。

限られた時間の中で自主ゼミに時間を割くべきかについては、人によって考え方は異なりますが、たまたま自分は優秀な勉強仲間に刺激を受ける機会があり、本番までモチベを維持することができました。

以上の点を実践するだけでもかなりのボリュームですが、(予備合格レベルであれば)フルタイム残業ありの社会人でもギリギリこなせる分量かと思います。

(2)短答対策

具体的な指針としては以下のとおりでしょうか。

・過去問集を8割以上取れるまで繰り返す(予備短答経験すれば2周くらいか)。
・本当に時間がない時は苦手な肢に〇をつけてそれだけやる
・肢別本は時間を浪費するので手をださない(自分は買ったことない)。

予備試験短答に合格するレベルであれば、それほど負担にならないかもしれません。
今思えば多くの時間を割く必要はなかったのではないかと感じます。

もっとも、上3法のみということでロースクール生も注力しやすく結構な点数を取ってきますので、もちろん気を抜いてはいけないと思います。

また、3科目とはいえ(特に民法は)1周するだけでもかなりの時間をとられるので、自分は早い段階で苦手な肢のみを中心に正誤判断していく手法を採ってました。

5.最後に

今年の受験生は本試験まで約3ヶ月と限られた時間ですが、(無駄に手を広げすぎなければ)予備合格者におかれては自信を持って取り組んで良いかと思います。

この記事さえ読む暇はないかもしれないですが、特にこれから受験される方々のご健闘をお祈りします。


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