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【麒麟がくる】脚本家 池端俊策氏 講演会 内容まとめ②

池端俊策氏(脚本家)講演会
脚本家の仕事~NHK大河ドラマ「麒麟がくる」を振り返って(2023年1月23日埼玉県蕨市開催)
講演内容まとめの続き

池端先生の講演会 内容まとめ  
①はこちら
③はこちら
④はこちら
⑤はこちら


大河制作の流れ


着手1年目
1年間は勉強  
室町末期はどういう時代か 
戦国時代はどのようにスタートし
どのように終息したか 

自分で用意した数十冊 NHKから送られた数十冊 
計100冊以上本を読んだ

着手2年目
だいたいこういう感じかと分かって書き出し
構成を作る。構成とは、例えば
おおまかに最初の10話でここまでいくと決める
といったこと

例)
斎藤道山が織田信長に会うのを光秀がお膳立てをする
それは何話目にくるか。だいたい16話くらいでどうか?
など、ここでプロデューサーが出てきて確認する

大河の決定の流れ
①ドラマ部長が決定
②理事にまで話を上げる
③理事会で許諾を取る
④最終的にNHK会長がハンコを押す 

池「NHKは紅白と大河はそれくらいの段階を踏むほど
非常に神経を使っている」


NHK理事「脚本誰が書くんだ?」
(?) 「池端です」
NHK理事「まあ、しょうがないな〜笑」

というやりとりがあった模様?!
先生が笑いながら話されていた


大河決定後、周囲から体力を気にされる

年齢的に大丈夫?と周りから体力を気にされた 
NHK行くと皆さんから「大丈夫ですか?」と聞かれ、
「『大丈夫!大丈夫!』と返事をした」笑

 先生軽快な感じで話されてた
  大丈夫↑大丈夫↑といったニュアンス笑



キャスティングの検討・構成作業
そして、プロデューサーが登場して
具体的にキャスティングを進める
 
斎藤道山は20話くらいで死ぬ、
といった構成をこちらで考え、
では「本能寺はどうですか?」と問われ、
最後に決まっている!」と答えた 笑

皆、《本能寺の後、光秀は秀吉と戦って死ぬ》と、
そこまで考えちゃう

死ぬとこは見たくない、それは無残だし、
実際、死骸を見た人は誰もいない
分からないわけだから本能寺で終わりとした
そこから逆算して、何話までにこうする、
ああするというのを作っていく 



最終回ギリギリまで書いていた脚本

下書きを始めたのが放送2年前 
2020年の放送の間もずっと書いていた

最終回の撮影のギリギリまで書いていた
そういう人は珍しいらしい
3〜4か月前に書き上げる人が多い
僕はとにかく時間がかかる脚本家だからしょうがない

最終回は長かったので撮影も時間がかかるところ
ギリギリまで本能寺を書いて
2020年11月に書き終わった
 ※ちなみに最終回は2021年2月7日 
 

先生ここで、原稿を急いで人に手渡すような仕草  笑 (可愛いい〜)


台本を1本書くのに、だいたい2週間もらっている
だから2年かかる計算(放送の倍かかる)
2020年11月に書き終えてNHKはやきもきしていた
ついに終わったと、、
 



原稿現物の紹介


実際の
①生原稿、②清書原稿、③清書原稿を印刷したもの、
④準備稿、⑤決定稿、の順に
スクリーンに拡大投影して見せて下さった

 

①生原稿
「下書きとはどういうものか。僕は横書きで書く
 万年筆だと汚れるから全部横書き」

※2センチくらいの厚みの紙の束を見せて下さり、
それが台本一本分とのこと

「製本されているからもういいや」と
僕は生原稿というのをみな捨ててしまうけれど、
NHKの博物館から「残して下さいよ」と言われ、残した

ここで、光秀が奥さんとお城を一緒に見よう
というシーンの原稿を紹介

生原稿
※これは講演会終了後に展示してあったもの。
見えているページは《13話 帰蝶のはかりごと》のワンシーン

講演会中に先生から紹介があった原稿は、
光秀が奥さんと坂本城を見に行くシーンのもの 
※クリックして拡大可能



②清書稿
清書したこの原稿をバイク便が先生の住む蕨市まで毎回取りに来ていたとのこと

清書稿
※これは講演会終了後に展示してあったもの。



③清書原稿をまるまる印刷したもの
この冊子で、この時代専門の
日本で1、2を争う歴史学者が4~5人集まって
検討会をする。そこに僕はいない
プロデューサーと演出家だけがそばにいて
「これはやりすぎ、ありえない」といった、
いろんなことをチェック

最初の1,2話は修正箇所が発生したが、
だいたい5,6話以降は1話につき2~3個所くらいだった

※「気を遣って脚本家にプロデューサーは
 あまり言わないが、、」ともおっしゃっていた

清書原稿を印刷したもの



④準備稿
歴史的なことをふまえた完成本
スタッフが200人くらいいて、全員がこれを読んで確認

準備稿



④決定稿
準備稿に全てOKが出ると、この俳優に渡す決定稿になるここで決定稿の中身の紹介あり

決定稿

スタッフのページにがすごい人数が列挙されていた  

俳優さんの名前のページに感動!!
足利義昭役 滝藤さん 
正親町天皇役 坂東玉三郎さん  など!!

俳優さんと同じモノを見られた幸せ





 

長谷川さんを自ら口説き落とした池端先生


大河主演が難しい状況だった長谷川さん


 大河の依頼をした際、長谷川さんは前年に、
朝ドラで日清食品の社長をモデルにした役を
やっていて、連続だと疲れるから嫌だと言われていた

「関西に住みながら撮影していて、
 帰ってきてすぐ大河となると、、
 大河は大変な仕事だから勘弁してください」と

先生自ら口説く

そのように言われているがどうします?と、
プロデューサーに言われ、
「じゃあ本人に会おうか!口説くわ!」と伝え、

僕・プロデューサー・演出家の3人のところに
長谷川さんに来てもらい、

池「やんなさいよ!」と口説いた 笑

僕が中心に話して、
長谷川サン「漱石役をやらせてもらっているのもあり、
 しょうがないかな~、、」と傾き始め、

池「あなたさ!今やらないでどうするの!
  大河なんていつまた話がくるかわかんないよ


「本を早く渡す 中身はこうだから」と畳みかけ、
 2~3時間説得

最終的に、
長谷川さんに「じゃあやります!」と言ってもらった

池「バンザーイ!!!笑 」(ハイテンション)

長谷川さんがOKを出したということを、
NHKの上に報告して許可をもらうのだが、
長谷川さんならOK!と、皆もろ手を挙げて賛成だった
 
出演依頼に対して、
脚本を読んでから決めるという人もたまにいるが、
そもそも長谷川さんに依頼した時は脚本できていない
脚本できるのは、(それから)1年後ですから笑 
   

バンザイって言う先生可愛かった〜
池端先生と長谷川さんの関係性がわかるやりとり
そして、NHKがもろ手の長谷川博己さん!!さすが

脚本はまだできてませんからネッ 
またしてもここで先生のカワイイ感が発動


つづき③はこちら


※念のためですが、記事については
 あくまで個人作成のものであり公式ではありません
※うろ覚えのところもあり
 一部正確でない部分もあるかもしれません

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