矢口昍月 (Embedded engineering)

就職してからずっと組込みシステムの開発をしてきました。 電気のこと、プログラムのことを…

矢口昍月 (Embedded engineering)

就職してからずっと組込みシステムの開発をしてきました。 電気のこと、プログラムのことを誰かに引き継いで欲しくて公開します。

最近の記事

加算器

2進数の加算を行う回路です。 全加算器と半加算器があります。 どちらも1桁の加算を行う回路ですが、半加算器は、下位桁からの繰り上がりを考慮しません。全加算器は考慮します。 複数桁の加算を行う際には、最下位桁に半加算器を使用し、2桁目以上に全加算器を使用します。 半加算器 2進数の同じ桁どうしの演算をして、演算結果(S:Sum)と桁上がり(C:Carry)を出力します。 真理値表は以下の通りです。 SはAとBの値が異なる場合に1になりますから、排他的論理和、CはAとBが1

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    • デジタル回路設計

      回路は、下図のように分類されます。 アナログと聞くとノートや黒電話といった「昔ながらのモノ」、一方デジタルは機械やデータ、コンピューターといった「新しいモノ」をイメージすると思います。 本来アナログとは“連続的”“流動的”な状態のこと。アナログは常に動いている情報をそのままの状態で扱うのに対して、デジタルは“段階的”に情報を切り取り、区切った状態で扱います。 デジタル制御回路はアナログ信号を扱うアナログ回路とデジタル信号を扱うデジタル回路があります。 近年、下記の理由により

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      • 論理式の操作

        論理回路を設計する際には、要件を整理し、論理式を作成しますが、そのままでは回路が複雑になり、部品点数が多くなってしまう場合があります。 論理式を整理し、簡略化することで回路を簡単にすることができます。 ブール代数 ブール代数とは、 イギリスの数学者 ブール(George Boole) が1854年の著書「思考の法則に関する研究」で 提唱した記号論理学です。 1または0の2値のみをもつ変数を用いる論理で、2値代数、2値論理数学、デジタル代数、スイッチング代数などとも呼ばれて

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        • 論理式、真理値表、論理回路の作成手順

          論理回路を設計する際には、その回路に入力される信号を抽出し、その信号状態の組み合わせと、出力信号を状態を検討します。 出力信号は、そこから接続される次の回への入力になりますから、どのような信号を次の回路が求めているのか考えることになります。 論理式の作成方法 例えば、下のようにA、B、Cの入力があり、A、Bが1、Cが0のときにXが1になる回路を設計する場合を考えます。 このとき、出力が1になる場合のA、B、Cの状態は、A、Bは1なのでそのまま、Cは0なので否定することで1

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          論理回路

          論理回路は、論理演算を行う電気回路及び電子回路のことです。 真理値の「真」と「偽」、あるいは二進法の「0」と「1」を、電圧の正負や高低などで表現し、論理素子などで演算回路を実装します。 論理回路を設計する際には、基本的な演算を実装する論理ゲートがあり、それらを組み合わせて複雑な動作をする回路を構成します。 論理ゲートは前項の論理演算を基に構成されていますが、すべての演算パターンを使用することはなく、入力数が1の場合の否定、入力数が2の場合の論理積、論理和、排他的論理和が使用さ

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          論理演算

          論理演算は、あるものの状態が条件に対して成立するか、しないかを評価し値を求める演算です。 この時の値は、真(true)、偽(false)の状態となります。 電子工学では、真=1、偽=0に置き換えることで簡単に表現しています。 論理演算は四則演算と異なり、数値ではなく状態の演算処理を行うため、集合の考え方が基になっています。集合として特別な2つの元 0, 1 のみの2点集合 {0, 1} からなるものを考え、この集合に対して集合演算を行います。 このとき、計算の対象となる値を入

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          集合

          集合とは、「もの」の「集まり」です。集合の元(要素)として集められる対象となる「もの」は、数、文字、記号などをはじめ、どんなものでも(もちろん集合でも)構いません。 しかし、どんな「集まり」でも集合と呼んでよいわけではありません。その「集まり」が集合と呼ばれるためには、対象が「その集まりの元であるかどうかが不確定要素なしに一意に決定できる」ように定義されている必要があります。 たとえば、いちご、バナナ、みかんをまとめて「果物の集合」と言うことはできますが、ここに大根が入ると果

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          ジュールの法則

          電気回路に電源を接続すると電流が流れて、熱が発生します。この熱をジュール熱といいます。 暖房機器やはんだごてなど、熱を利用する機器以外では回路が発生させている熱は、電気エネルギーを無駄にしています。 また、熱によって回路が劣化しますし、場合によっては回路を焼損させてしまうこともあります。 回路が発生する熱エネルギーの量を計算する方法がジュールの法則です。 ジュールの法則の公式 ジュールの法則とは、ジュール熱の熱エネルギーの量が電圧と電流と時間に比例するという法則です。 ジ

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          テブナンの定理

          キルヒホッフの法則や重ね合わせの理で回路を流れる全電流を計算することができますが、連立方程式を解く必要があります。テブナンの定理は、複雑な回路の一部を流れる電流を四則演算で計算することができます。 テブナンの定理は複雑な回路を等価回路に変換して電流を求める定理です。 上図のように複雑な回路の抵抗Rに流れる電流を求める際に、等価電源E0と等価抵抗R0の等価回路に変換します。 手順 1.電流を求めたい部分を切り離します。 2.等価電源E0を求めます。 3.等価抵抗R0を求め

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          重ね合わせの理

          キルヒホッフの法則を使用した回路計算は、複雑になってしまいます。これを簡単にする方法が重ね合わせの理です。 重ね合わせの理では、複数ある電源の内、一つの電源に着目し、他の電源を無視して計算を行います。 例えば、上の回路でE1の電源に着目した場合はE2の電源を無いものとして、回路を短絡して考えます。 このとき電圧源は、電源を外して短絡させますが、電流源は外したあとはそのまま、回路が切れた状態で考えます。 E2の電源を無いものとすると上の図のようになります。 このように、電

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          抵抗の性質

          超伝導体以外の全ての物質は電流を流した時に熱が発生し、電気エネルギーの一部が失われます。これは、非常に電気を流しやすい金属であっても例外ではありません。導線の電気抵抗は、太いほど小さくなり、長いほど大きくなります。材質の違いも電気抵抗の大きさに影響を与えます。 一般的に金属は温度が高くなると抵抗値が増えます。 これらの現象は、簡単な式で表すことができます。 ※超伝導(ちょうでんどう、英: superconductivity)とは、特定の金属や化合物などの物質を非常に低い温度へ

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          電池

          電池には乾電池、リチウムイオン電池、車載用バッテリ等があります。 一般的には、化学変化(酸化還元反応)にともなって放出される化学エネルギーを熱エネルギーや光エネルギーではなく、直接電気エネルギーに変換して取り出す装置のことを電池(化学電池)といいます。 化学変化を利用する化学電池の他に、物理現象を利用する物理電池(太陽電池や原子力電池など)もあります。 電池の原理 電池は、イタリアの物理学者、アレッサンドロ・ジュゼッペ・アントニオ・アナスタージオ・ヴォルタ伯爵(アレッサン

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          グランド

          システムを設計する場合、求められる機能、性能を実現するために、システムを構成する要素に細かく分割し、具体化していきます。 回路設計では、求められるシステムの機能からユニットに分割し、ユニットを構成する基板に細分化します。 この時、回路中の電圧を決めるための基準が必要になります。この基準点をグランドと言います。 回路記号 グランドを表す記号には、以下の3種類があります。 信号グランドは基板内のグランドを表します。板の回路図の中で、この記号は全て同じ電位になります。 システ

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          電圧源と電流源の等価交換

          電流源と電圧源が混在する回路に流れる電流を計算すのことが難しくなります。 このような場合には、電圧源と電流源を置き換えることができます。これを等価交換と言います。 電圧源と電流源が等価であるためには、電圧源と電流源それぞれに同じ負荷を接続したときに、どちらの負荷にも同じ電流が流れなければなりません。 同じ負荷に同じ電流が流れると、負荷には同じ電圧がかかることになります。なので、電流が同じなら電圧も同じになります。このことから、電圧源と電流源が等価になるための条件を求めます。

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          電圧源と電流源の等価交換

          電源

          電源とは電気エネルギーの供給源です。 身近に使用している電気には、直流と交流があります。 家庭のコンセントから取れる100Vの電源は交流です。対して、乾電池やACアダプターから得られる電源は直流です。乾電池も電源ということができます。 直流電源は、常に一定の電圧を維持している電源で、乾電池や蓄電池は使用するほど消耗し電圧が低下していきますが、短時間での変化はありません。 交流電源は、一定の周期で電圧がプラスとマイナスが変化します。 さらに細かく分類すると、プラスとマイナス

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          連立方程式

          キルヒホッフの法則自体は簡単なのでは理解できても、連立方程式で躓くと聞いたことがあります。 電気回路で、回路の各部の電圧や電流の値を求めようとすると、それらを変数とした連立方程式を立て,その解を求める計算を行うことがあります。また、電気回路に限らず連立方程式は、さまざまなところで使用されています。 複数個の未知数を含み、かつすべての方程式が未知数についての1次方程式からなっているような方程式を連立1次方程式といいます。未知数の個数が2個、3個により、2元連立1次方程式、3元

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