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人生の電動ポンプを手に入れるためのリスクは、980円より高いのだろうか。

「無花果さん、私ついに灯油を入れる電動ポンプを買ったんですよ。」と、ぴーちゃんはうちにやってくるなり声を張り切らせて言った。

ぴーちゃんの話によると、

石油ストーブに灯油を入れるために今までは100円ほどの手動式のポンプを使っていたらしい。

ところがこれがなかなか面倒くさく、空っぽになった石油ストーブの灯油カンに灯油を入れに行くのが嫌で嫌で、いっそガスストーブに変えようかと思うほどだったらしい。

電動式の灯油ポンプのことも知っていたのだけど、値段が手動式のポンプの10倍もする(980円)ので購入するのを躊躇っていたという。

「たった980円なんですよ!(「たった」の基準がどこにあるかは人それぞれだけれど、ぴーちゃんにとって980円は、確かに ”たった” と思う金額だと私も思う。)たった980円なのに、980円がもったいなくて買えなかったんです!」という。

ところが、ついに、

【手動式のポンプによる灯油入れの億劫さ】と【980円】を天秤にかけ続けてきたぴーちゃんの頭の中に、

手動式のポンプによる灯油入れの億劫さ > 980円

の数式が成り立ったのだそうだ。

つまり、【手動式のポンプによる灯油入れの億劫さ】に比べたら【980円のリスク】は小さいと判断したわけだ。

電動式ポンプを手に入れたぴーちゃんは、スイッチひとつで灯油がサーと流れて自動で止まるポンプを使うのが楽で、嬉しくて仕方がないらしい。

「今までは、ストーブの灯油が空になるのが恐怖だったけど、今は、いつでも空になってくれ〜って思うのよ〜♪」って思うほど楽しいらしい。

私は、ぴーちゃんの話を聴きながら、

手動式ポンプは【自我の力】

電動式ポンプは【大いなるものの力】みたいだなあと思っていた。

「自分でやりたい、自分でやらなきゃ」と思って頑張っている間は、手動式ポンプを使って灯油を入れている感じ。

「いいようにして〜 全部お任せするわ〜」と思い始めたら電動式ポンプが作動する。スイッチひとつで必要なだけ与えられる。

私たちは本当は楽していいのになあ・・

頑張らなくていいのになあ・・

人生の電動ポンプを手に入れるためのリスクは、980円より高いのだろうか。

いや、ただのはずだ。

あ!そうか!

ただより高いものはない・・んだった。

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