ベルリンの壁と私たちの世界

57年前の今日(正確には1961年8月12日夜から13日にかけて)、ベルリンの壁が作られた…ということを、私は今朝、初めて知った。

壁の存在は当然知っていたけど、それが8月13日だったことは、今まで全然知らなかった。

たまたま開いたツィッターにこの記事が流れてきたのだ。そのツィッターによると、深夜のうちに土嚢が詰まれ、鉄条網が敷かれ、朝起きたら43キロにわたって大きな壁が出来上がっていたそうだ。

私が子供時代は東西冷戦時代で、その象徴が「ベルリンの壁」だった。

何と恐ろしいことだろう。

突如、目の前に聳え立った大きな壁によって、多くの人々が大切な家族や親しい友人知人と引き裂かれ、ひと目会うことも叶わなかったのだ。この壁を越えようとしたものは容赦なく射殺され、多くの悲劇が生まれた。

そんな壁が、それが今から57年前の今日(今朝)、作られた。

まさか、この大きな壁が、その後、自分たちの身にどのような事態を引き起こし、どんな悲劇が自分たちに降りかかるのか…。きっと当時の人々は予想もできなかっただろう。

歴史の悲劇は、人々の意識を越えたところで、「突然」かつ「静か」に起きる。

この静かにスッと忍び寄ってくる悲劇ほど、恐ろしいものは無い。この悲劇につかまったら最後、死ぬまで圧し掛かられてしまうのだ。

私が子供だった頃、このベルリンの壁は「絶対に崩壊することは無い」…と信じられていた。

ところが、今から29年前の1989年11月9日の夜。ベルリンの壁は崩壊した。その時のシーンを私はテレビのニュース番組で見た。冷戦時代の幕開けの真夏の夜、多くの人々の手によって突貫工事で作られた巨大な壁は、それから28年後の晩秋の夜、自由を求める多くの民衆の手によって打ち砕かれた。

その後、ドイツを旅した知人から、ドイツ土産にと「ベルリンの壁」の欠片をいただいたことがある。人々を強力に分断し続けてきた恐ろしい壁が小さく砕かれて欠片となり、壁崩壊の時の記録写真と共にパッキングされて世界の旅行者に売り飛ばされている。

なんとまぁ、滑稽なことだろう…。

人々の暮らしと未来を分断し、イデオロギーの檻の中に人々を閉じ込め続け、そこから出ることを許さず、人々に多大な恐怖を与えた「巨大な壁」は、今は、何の威力も持たない小さな石の欠片となったのだ。

◇◇◇

そして現在。

冷戦時代と比べたら、世界は大きく変化した。

良くなった部分もある反面、今も「過去の価値観の刷り込み」から逃れられず、精神的に抑圧され苦しんでいる人々がいる。

国によっては、国難を乗り越えることで大きく成長したところもあるが、21世紀になった今も、前時代的な古い感覚で人々を弾圧し、いまだに列強主義的な価値観で世界を制覇しようとしている国も多々ある。

人々の意識は個々に変容して大きく成長していても、「国家」という大きな枠組みになると、国際的にはまだまだ弱肉強食の世界であり、食うか食われるかのギリギリの闘争が国境線で繰り広げられている。また、自国内で覇権を狙い権力闘争に明け暮れている国もある。

21世紀という新しい時代に居ながら、まだ頭の中がアップデートできていなくて、20世紀…いやいや19世紀の感覚のまま、脳内がストップしている人がいる…。新しい世界へ一気に突き抜けたい反面、昔の価値観に引っ張り込もうとする力も存在する…そんな混沌とした状態。これが今の世界の姿だと思う。そう考えると、21世紀がスタートして18年。今はまだ新旧いろいろな価値観が混ざり合い、混迷している時なのかもしれない。

しかし今後、時が進むに従い、「古臭くてもう機能しない価値観」や「前時代的で柔軟性のない感覚」は徐々に淘汰され、宇宙の藻屑となって消えていくだろう。

もうしばらくの辛抱…。

そう割り切って、今を生きる私たちは、自分の心の中に巣食っている「昭和チックな古い価値観」を順番に片づけ、断捨離して手放していくしかない。

世の中を変えたいのなら、まずは自分の心の中から改革していかなくてはいけない。

それを、最近強く感じる。

◇◇◇

ベルリンの壁が、小さな石の欠片となって何の価値もないただの石コロになったように、もしかしたら、私たちが理不尽に感じている「見えない壁」も、いつか崩落して消えていくかもしれない。

女性に対する差別。

少数派・若者・弱者に対する偏見。

心の中にある「古い価値観」が邪魔をして、自分の自由を削いでいく現状。

それぞれの人の心の中にある「エゴ」と「コンプレックス」が作動するからこそ起きる、目に見えない「差別」「偏見」。それらが積み重なって起きる、目に見える形の「悲劇」「苦難」。

もう、こんな理不尽なことから、私たち人類は早く卒業しなくてはいけない。

時代は変化しているのだ。

◇◇◇

ベルリンの壁なんて、遠い世界の話だった。

でも、もしかしたら、私たちの心の中に、今も「大きな壁」があるのかもしれない。

もう壁はいらない。

イデオロギーによって世界を分断し、集団意識で人々を抑圧し支配してきた魚座の時代は終わったのだ。

時代の変化とともに、私たちの意識の中にある壁も早々に取っ払わなくてはいけない。

未来のために、新しく生まれ変わる魂のために、私たちは今この瞬間を「自由」と「愛」と「平等」で塗り替えていく必要がある。

昔の古い体制のなかでは、その体制を維持するための単なる駒の1つでしかなかった私達だったけど、その駒である一人一人にも意思があり、心があり、未来があり、希望があり、魂がある尊い存在だということを思い出さなくてはいけない。

長いこと忘れてしまっていた個の尊厳。
集団のなかで置き去りにされていった一人一人の人生。
心。
気持ち。
未来への希望。

今こそ取り戻さなくてはいけない。
自分を取り戻すのだ。
バラバラに分断された自分の心を、一つに統一することで、本当の自分が見えてくる。

時代が大きく変わるとき。
みえない壁を取り払う瞬間である。

自由な世界へと移行するために…。

大きな壁を無くした向こう側の世界が、明るく幸福に満ちていることを願いつつ…。

よろしければサポートお願いします!いただいたサポートは旅の資金にさせていただきます✨