見出し画像

喜びのお菓子

目にも美しい練り切りの和菓子。
これは、当方が運営する「アンテナショップ電博堂」に出店されていた和菓子屋さんが持ってきてくれたものだ。彼が初めてうちに来たのは1年ほど前のことだった。

「アンテナショップで和菓子販売ができますか?」

30歳にもなるかならないかの彼は、となりまちで和菓子の工場をやっているようだ。店舗を持っていないため、お客様の反応が分からないという。どうぞどうぞ、と使い始めてから、1カ月に1回は必ず出店をしていた。

出店料の32,400円という価格が高いか安いかは、人それぞれ。
なんでこんなに高いの! と怒鳴られたこともあるし、「なかなかこんな安い値段では商店街で借りられないので」と言われたこともある。我々にとっては、ギリギリの数字で、この出店料があれば、家賃の光熱費がペイできる最小限の賃料を思っていただきたい。

和菓子1つ250円前後。32,400円は決して安い価格ではない。しかし、彼は1年間の出店を続けて、この4つのお菓子を持ってきてこういった。

「おかげで、商店街に店舗を持つ自信がつきました。10月に自分の店舗をオープンします」

アンテナショップにはチャレンジショップになればという思いもあった。これほどの喜びがあるだろうか。4つのお菓子は、スタッフそれぞれでいただいた。喜びのお菓子は、とても甘く、そして、ちょっと涙の塩味もした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?