世界の安定につながる情報流通の安定化

情報の不完全性がある時に、神、あるいは空気を通してイメージが瞬間的に拡散し、それがそれぞれの立場の違いや考え方の違いを通じて連想の連鎖を起こすこと自体は確かに非常に興味深い現象で、持続可能ならばなんとか生かしたいものであるが、それはおそらくいわゆる普遍的価値に基づいた競争、および略奪と不可分であり、手柄の奪い合いから、結局は多様性をなくして同じ方向へ一直線ということになり、破滅へつながるのだろうと感じる。私には今のところそれが持続可能な解だとは考えられない。

それは、情報伝達の仕組みが十分に理論化されていないことから起きるのだろう。インターネットは、その情報伝達理論の具現化であるといえるが、そこにさまざまな無理が集約しているように感じられる。そこで、インターネットによる情報伝達がいかになされるべきだと個人的に考えるかをまとめてみたい。インターネットの情報伝達がIPアドレスに向けて行われるとして、その仕向け先にいかに到達するか、ということで、理論的にはIPアドレスのプールがあって、そこを検索して目的のアドレスに到達する、というのが一番手っ取り早い。そのプールがコモンズで、そしてIPアドレスが情報伝達のためのみに使われてそれによる外部からの操作ができないこと、さらに情報伝達の秘密保持がなされればこの仕組みはうまく作用するが、現状、アドレスのプールは想像のつく範囲ではインターネットサービスプロバイダーの私権の下に置かれており、さらにはそれがドメインネームと結びつきDNSで管理されることから、IPアドレスの所有権とは別にドメインネームの所有権というものが発生し、そこの結びつきにも権利関係が生じることで、情報伝達がさまざまな私権の間の権利関係を経由しないと行われないことになっている。そしてIPアドレスは機器のリモート操作のためにも使われることから、外部からのセキュリティリスクにさらされる。通信の秘密自体は暗号技術によってかなりカバーできるのだろうが、それ自体理論的に完全とは言い難い。それは、典型的には、暗号技術がどれだけ完全なものとなっても、機器のリモート操作が可能ならば、仮に通信中の読み取りリスクがなくなったとしても、機器から漏洩してしまえば意味がないということになるからだ。どこからどこまでを通信とみなすか、ということで、機器を通じて読み取りをするのに機器のセキュリティができていなければ通信の秘密は確保し得ないだろう。機器の公開IPアドレスによるリモート操作と通信の秘密は論理的に両立し得ないのではないかと感じる。

だから、持続可能な情報伝達のためには、公開IPアドレスは一人1IPにより個別に持ち、その管理を自ら行うこと、IPアドレスプールは完全にコモンズとして誰の独占的権利も及ばないようにすることがまず最低限必要になるだろう。そして機器のリモート操作は、仮にするのならば、IPアドレスではなく機器独自の番号によって行うべきだろう。しかし、それはどこかでIPアドレスと紐づかないとランダムでのハッキングが可能になってしまい、そうするとIPアドレスのセキュリティは少し怪しくなりそう。リモート操作についてはLAN内部はともかく、インターネット経由のものについてはもう少し整理する必要があるのではないかと感じる。

DNSの仕組みは、個々人が好きなドメインネームをつけ、それとIPの紐付けを自分の機器と公開アドレスプールで行い、通信にはドメインネームと公開IPが両方必要になるということにすれば良いような気もする。つまり、実質的には公開IPのみの通信で、その表現を簡略化するためにドメインネームと繋げることができるようにするというもの。ただそうすると、公開のウェブサイトなどはどうするのか、という問題が発生する。論理的に言えばドメインネームと情報の内容は一切関係がないわけで、これはすぐにということにはならないのだろうが、エッジベースで個別にIPアドレスに基づいた情報収集を行い、それが検索のベースとなれば、別にドメインネームが重複していること自体問題にはならないようにも感じる。

だから、エッジでそれぞれが公開IPサーバーを持ち、そこにそれぞれが有用だと感じたウェブの情報を蓄積してそれを検索のベースにする。通信自体もその公開サーバー向けに行われ、そこから非公開の自分の機器に落として読む、ということにすれば、そこまでの通信の秘密が確保されれば安全な通信が確立できるようになる。公開と非公開のインターフェースをどうするのか。ダウンロードは可能だが、アップロードは生体認証なりなんなりを通さないとできないようにすることが必要になりそう。それによって機器の外部からの読み取りを防ぐ、ということにしないと、セキュリティの基準が定まらない。そして、一旦公開された情報はブロックチェーン的管理が行われ、情報の改竄はできないようにする。そうすることで公開情報の安定性が確保され、流通している情報の信頼性が保てるようになる。

早い情報の伝達、共有を突き詰めたようなコネクテッドベースの現状のインターネットのあり方はもはや限界であると言えそう。それが最初に書いたイメージによる情報伝達のベースとなっているのならば、それによるセキュリティリスクを低減しないと、世界はどんどん不安定化することになるだろう。

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