見出し画像

地面

初めての海外旅行でいちばん感動したことは、自分はいま海の向こうの大陸に立っている、という実感そのものでした。

飛行機で数時間、雪がちらつく日本から真夏の暑さの異国に降り立った時、どうがんばっても、ここから陸続きに歩いて帰ることはできないのだとあらためて思いました。
生まれ育った土地の「地面」を離れることへの、ちょっとした不安は、わたしにとって新鮮なものでした。

帰国した翌日はまだ寒く、自宅のストーブをつけていたと記憶しています。

突然の激しい揺れが、キッチンのガラスの容器を落として割り、隣家につながる電線を切りました。
余震を恐れながら家族と連絡をとり、次第に、東北地方が大変なことになっているらしいと知り、そして。。。

わたしはあの時、地面を離れる不安に対して、揺らぐ地面から離れられない不安を味わったように思います。
いずれの感情も少なからず、その後の日々に影響を与えました。
きっとそれぞれの人が、それぞれの心の中に、あの日の記憶を持っているの
でしょう。

今年もまた、3月11日がやってきます。

画材費、展示運営費、また様々な企画に役立てられたらと思っています。ご協力いただける方、ぜひサポートをお願いいたします。