＜２分半ルール　開店1年目＞
クリムトは順調に売上を伸ばし、予想を遥かに超え、１年目に最高来客数700人を記録しました。
サイフォンコーヒーは1人分1杯だてで約3分掛かります。最大のサイフォンは4人分で5連のサイフォンがフル回転の状態でした。
１日１５回転以上の超繁盛店として、コーヒー専門店業界では度々話題となっていました。

美味しいコーヒーの店クリムトとの評判が定着してきたのがこの頃で、コーヒーは開店前に必ずテイスティングし、コーヒーに合うミルクも研究し、サイフォンの技術向上に務めました。また接客については、大きな声でハキハキと挨拶することを徹底しました。
従業員の中心であった白武光法氏（後の統括マネージャー）は、ストレートコーヒーの味に拘り、特にサイフォンのコーヒーの蒸らし時間やフラスコの火力の調整を毎日続けていました。

コーヒーのテイスティングを続けた結果、サイフォンのコーヒーの味が安定したのは、ロートでコーヒーを２分～２分半蒸らし、途中竹べらでコーヒーを２回軽く押し回す時間調整が一番美味しい事を発見しました。ストレートコーヒーは種類や季節によって味にばらつきがあり安定した味の提供が課題でした。
逆にブレンドコーヒーは、年間を通して安定した味になるように数種のコーヒーをブレンドする為、この仕方がより美味しいコーヒーの抽出に役立ち、後にサイフォンの２分半ルールとしてクリムトの味の基本となって行きました。

昭和51年～52年頃にコーヒー専門店ブームが巻き起こり、サイフォンコーヒーの味が一段と評価されました。このコーヒー専門店ブームは、IDP計画の紅茶専門店開業へと繋がって行くことになります。