265.ひろしま 1
(静けさ)
(ひかり)
(祈り)
どうして、こんなに、さえざえと、かろやかに、あかるいのだろう。
平和とは。
祈りとは。
恕しとは。
(本文より)
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2022年5月1日おうし座の新月は、日食が同時に起こり、とてもパワフルだと教えていただいた。
本当に大切なことに気づくための大きな変化が起き、価値観が変わる。
人生をやりなおすようなことや、今までできなかったことが、可能になる。
だから、アクションを起こす。
日食は、太陽が影に隠れて闇になり、再び、光を取り戻す事象だ。
誕生とも、生まれ変わりとも、意味づけられている。
そのタイミングで、広島に導かれる。
広島という土地の持つ、祈りと、浄化(恕し)と、再生の力。
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◆なおみさん
広島で迎えてくれたのは、14時から行われるカープ対巨人の観戦に向けて、赤いユニフォーム・赤い帽子・赤いマスク(カープのロゴ入り)を着た、ことだま師®︎の大先輩・谷本なおみさんだ。
背番号は「25」新井貴浩選手のものだそうだ。かっこいい。
息子が体調を崩して、現地に行けない事情があったので、なおみさんは、お忙しい中、住む部屋を決めるにあたって、相談に乗ってくださり、物件が決まってからも、力になってくださった。
今回も、試合の前に、お時間を作ってくださり、新幹線の到着時間に、駅で待っていてくださった。
カープの赤いユニフォームが似合いすぎて、和服で奉納揮毫されるときの、書家としての貴賓あふれるたたずまいとは、まったく違った、チャーミングな魅力にあふれている。
広島駅に到着したのは、12時3分だったので(123!)、お昼時だったことも重なり、14時からの試合に臨む人たちで、広島駅の飲食店はどこも混雑している。
そんな中で、なおみさんが先導して、お店を探してくださったおかげで、タイミングよく入ることができ、ゆったりした座席で、海の幸を堪能できた。
夫の頼んだ定食のカキフライを分けてもらったら、あまりの大きさと、しっかりした歯ごたえとジューシーさ、濃厚な味に感動した。
広島の人は、広島県以外のカキフライを食べたら、逆に、あまりに小さくて、びっくりすると思う。
私は、新鮮な魚が食べたかったので、海鮮丼。
なおみさんとは、お話したいことが山のようにあるので、同行の夫は交えず(笑)、女子二人でマシンガントークでしゃべらせてもらった。
お会いするのは、十年ぶりくらいだ。
話をしている間にも、駅ビルには、どんどん人が集まっていて、私たちが食事を終えて外に出るころには、どの店の前も長蛇の列ができていた。
カープのユニフォームを着ている人ばかり。
私は、大阪在住なので、ふだん目にしているのは、阪神タイガースの黄色と黒のユニフォームだから、その点でも、別世界にいる気持ちになる。
別れたあとで、なおみさんが球場からの送ってくださった写真を開くと、スタンドを埋め尽くす赤のユニフォームと、天然芝の美しい球場に目を奪われた。
この日のカープ対巨人戦は、12-3でカープの圧勝だった。
◆白神社
なおみさんは、駅ビルから、路面電車の乗り場まで、一緒に来てくださった。
広島市内を走る路面電車の本数の多さとかっこよさ。
次々に乗り場に入ってきては出ていく様子は、テーマパークにいるようだ。
降車する駅の近くに「白神社(しらかみしゃ)」という、名前のことだまのひめ神とされている「くくりひめ」がお祀りされているので、お詣りすることを薦めてくださった。
調べてみると、主祭神として、ククリヒメ、イザナギ、イザナミ。
相殿には、天と地ができたときに、高天原に最初に現れた「造化三神」と呼ばれる、アメノミナカヌシ、タカミムスヒ、カムムスヒの三柱の神様と、アマテラスがお祀りされていることがわかった。
古事記に最初に登場する神様たちに、広島の地で、最初にお詣りさせていただけることに、感慨が深まる。
山下弘司先生の神話講座を受講したときに読んだ「まんが古事記」のイラストが浮かぶ。
ご挨拶できて、本当にうれしい。
そして、イザナギ、アマテラスは、ひめカードの1番と2番。
3番のイチキシマヒメは、海の守り神。
明日訪れる厳島神社にお祀りされている。
昔、白神社のあたりは海で、海難事故を防ぐための守り神として、祠が建てられたことが始まりだそうで、そのことを伝える岩礁が境内に残されている。
石垣のようだが、じっと見ていると、波の音が聞こえる気がする。
海の守り神。
白神社は、かつては、大きな境内地を有する広い神社だったそうだが、原子爆弾で一帯は焼け野原となり、現在は、幅が100メートルもある平和大通りと呼ばれる道路や、近代的なビルにはさまれた、小さな神社となっている。
参拝をさせていただくために、拝殿の前に立つと、中に人が座っていることに気がついた。神職のかたのようだ。
二礼二拍手……
拝殿の中で、人影が動く気配。
(えっ えっ えー――――――――っ!!!)
人影が、すぐ前に来て、頭上で、しゃらしゃらとお祓いをしてくださっている!
(見、見たいー――っ!)
(でも、顔をあげられないー――っ!)
紙垂が頭上で祓われている気配を感じながら、感無量。
なんて、ありがたいのだろう。
まとっていた邪気を、すっかり祓っていただけたことを、感じて、肩や背中が、すっかり軽くなる。
◆平和大通り~平和記念公園~原爆ドーム
平和大通りは、道路幅が100メートル、長さは約4キロとのことで、本当に広くて、緑が多くて、空が青くて、立っているだけで、胸がすくような思いがする。
(さえぎるものがなく、ひらけている感じ)
(足がどんどん前に出る感じ)
(空も。風も。木々も。花も)
(澄み切って、軽やかで、すべてに応援されている感じ)
例年、この時期は、フラワーフェスティバルで賑わうと教えていただいた。
今は、感染予防により、平和大通りのパレードや、さまざまなブースなど、ほとんどのイベントが中止となっていて、ところどころに名残はあるものの、人も少なく、静かで、それでいて、きらきらしている。
平和大橋を渡ると、異様なくらい混雑した、ものすごく長い行列が見える。
並んでいる先をたどると、どうやら、広島平和記念資料館の入館のために並ぶ人たちのようだ。
その姿に胸を打たれた。
公園内は、フラワーフェスティバルの催しなのか、たくさんのフラワーポットが並び、折り鶴のオブジェが設置されている。
原爆死没者慰霊碑の前で黙とうをささげ、公園内を進む。
原爆の子の像は有名だが、ほかにも、たくさんの像が林立している。
川の向こうに見えるのは、原爆ドーム。
あまりにもくっきりと、青い空に、そのシルエットが姿を現していて、驚いた。
タイムスリップしたように。
時空の切れ目があるように。
蜃気楼のように。
(昭和20年8月6日8時16分が、出現している)
令和4年5月3日の午後に
雲ひとつない、5月の澄んだ青空の中に。
川を往くのは、原爆ドームと宮島を結ぶ高速船「ひろしま世界遺産航路」だ。
夫は、小学校の教師で、修学旅行で何度も広島を訪れ、資料館にも入館している。
私も、原爆学習に力を入れている市で育ったので、子供のころから、さまざまな書物や映像で学ぶ機会を得た。
高校の修学旅行は長崎だった。
だから、広島も訪れているつもりになっていた。
ちがっていた。
(初めてだ!)
ということに、ふいに気がついたのだ。
初めて、原爆ドームを肉眼で見ている。
(初めてだった!)
こんなに川のそばだったのだ。
テレビでは映らない後ろ側は、このようになっていたのだ。
(静けさ)
(ひかり)
(祈り)
どうして、こんなに、さえざえと、かろやかに、あかるいのだろう。
平和とは。
祈りとは。
恕しとは。
公園を出て、気持ちよく歩いているうちに、気温がぐんぐんあがってきた。
ソフトクリームが食べたくなり、きょろきょろしていると、そごう百貨店の垂れ幕が目に入った。
「初夏の大北海道展」
広島に来て、北海道展に立ちよるなんて! と、ツッコミを入れつつ、
(きっと、おいしい、牧場のソフトクリームがあるはず!)
と、いそいそと会場へ。
新鮮な牧場のミルクソフトクリームや、ベリーのスムージーなど、おいしそうなものがたくさんある中で、ルタオのピスタチオクリームとイチゴのチーズケーキのパフェに魅かれて、食券売り場へ。
ピスタチオクリームは香ばしく、イチゴのチーズケーキは甘酸っぱく、その下に隠れているソフトクリームは、冷たく濃厚で、とてもリッチな味わいで、満足感たっぷり。
エネルギーを補給して、歩きはじめると、道路の向こうに、なつかしい本の表紙が。
(こぐまちゃんだ!!)
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こぐまちゃんとの出会いは、すでに投稿済み。
ひろしまの旅、つづきます。
浜田えみな
こぐまちゃん
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