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#きょすけの読書録📝 vol.1 『なぜ「戦略」で差がつくのか。』

どうも、こんにちは。きょすけです。

音部大輔さんの著書、『なぜ「戦略」で差がつくのか』を読了しましたので、学んだことを共有したいと思います。
まず前提として、なぜこの本を読もうと思ったか、目的は3つあります。

・戦略を理解し、立てれるようになりたい
・周囲を動かせるようになりたい
・実現性を高めたい

自分が信じた仮説を戦略に落とし込むことで勝ち筋が見え、周囲の共感が集まり、自分1人じゃ実現が難しいことも、実現に近づくことができると思ったからです。

以上が前提です。だから、「戦略を理解し、実際に戦略を立てるためにはどうすればいいか」を考えながら読み進めていたため、主に実務的な内容がピックアップされています。

では、早速紹介していきます。

戦略とは。

まず、戦略とは何か、です。

著者の回答は下記です。

『目的達成のための資源利用の指針』

ここで重要なキーワードは、「目的」と「資源」です。
著者も本の中でくどいように何度もおっしゃっていましたが、本質的には、戦略はこの2つの要素に集約されます。
読者の方は、あまりに簡単すぎて不安になる方もいるかもしれませんが、簡単であることが重要です。
音部さんは、この簡単さについて、こう説明しています。

簡単であることは重要なポイントなのだ。これは、戦略という概念を実際に運用し、思考ツールとして、活用するための定義だからである。戦略という概念自体が難しすぎては、戦略を組み立てるという「目的」を達成するための時間や労力といった「資源」を無駄にしてしまうかもしれない。

戦略を組み立てるための戦略をも考えていたとは。実務に生かしやすいように、ここまでシンプルにまとめてくださったことに感謝です。

なぜ戦略が必要なのか。

では続いて、なぜ戦略が必要なのでしょうか。

著者の回答は下記です。

達成すべき目的があり、かつ資源が有限であるから。目的がなければ戦略は必要ないし、資源が無限であれば戦略は必要ない。

僕らにも様々な実現したいこと、「目的」があるかと思います。「志望大学に合格したい」「志望の会社に内定をもらいたい」「プロジェクトを成功させたい」など。しかし、それには必ずといって制限があります。時間、人、予算、能力、など、資源は有限です。これから資源が増えることもあるかと思いますが、それも時間という制約の上で成り立っています。つまり、目的を達成するためには、今ある資源をどう活用していけるか、が目的達成のための鍵になってくるわけです。


戦略の構成要素❶「目的」を解釈する

いい目的を設定するための強い味方~SMACとSMART~

「戦略とは。」のセクションで、戦略は「目的」と「資源」の2つの要素に集約されると説明しました。
では、前者の「目的」ですが、周囲の共感を集め、誰もが等しく理解できる目的を設定するには、どうすればいいのでしょうか。
著者は、いい道具があると言っています。

それは、「SMAC」と「SMART」という概念です。

SMACというのは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Consistent(一貫性がある)を繋げた単語だ。一方、SMARTはSpecific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性がある)、Time-bound(期限設定)で構成されている。

一つずつ説明していきます。

Specific(具体的)ー 数値化する
Specificとは具体的ということです。具体的であれば、解釈の余地を小さくすることができます。また、著者は、具体的であるためには、数値化する方法があると言っています。
例えば、「学生向けオンラインコミュニティサービス業界における、リーダシップの確立」と言う代わりに、「10万人参加のコミュニティにする」と表現することで具体性は格段に上がります。ここに読み手の解釈の差が入り込む余地はありません。

Measurable(測定可能)ー 測定方法、単位を明らかにする
Specificに記述すると、必然的にMeasurable(測定可能)になっていきます。明示すべき測定方法のことであると考えればわかりやすいかもしれません。同時に単位を明確にしておくこともここで要求されます。10万人参加を目的に設定したところで、測定できなければ意味がありません。

Achievable(達成可能)ー 実現可能性を測る
Achievable(達成可能)とは、目的の達成が可能そうであること、あるいは達成が不可能ではないことを意味します。社外の不確実性、つまり外部環境へ働きかける資源の充足度合いという側面に対しての意識が強いです。

Consistent(一貫性がある)とRelevant(関連性がある)ー 方向性や整合性の認識
2つの単語それぞれの意味を説明していきます。まず初めにConsistent(一貫性がある)というのは、戦略の上位概念である会社のヴィジョン、理念や、上位組織の戦略、あるいは現状との一貫性を示しています。続いて、Relevant(関連性がある)というのも、同時に、会社のヴィジョンや理念、上位組織の戦略、あるいは現状との関連性を維持しているかどうかを問うています。表現こそ違いますが、方向性の確認や整合性といった、同じことを要求しています。

Time-bound(期限設定)ー 締め切りを明らかにする
最後に、Time-bound(期限設定)です。TはSMACにはありませんが、極めて重要な概念です。時間の流れを止めることはできませんが、最大限有効に使った場合とそうでない場合の差はとても大きいです。締め切りを与えられた方が勇猛果敢に責められるという人もいれば、時間的猶予として示された方が創造的になりやすいという人もいると思います。
いずれにしても、いつ目的を達成するのか、という期限設定は間違いなくするべきというのが筆者の主張です。

SMACとSMART

もうひとつの条件。Focus(焦点、集中)ー 焦点を絞る

ここでもうひとつ、あまりに重要な項目なので独立した項目として説明を加えます。Focus(焦点、集中)という項目です。あれもこれも達成したいというのではなく可能な限り、一点。多くても二つ、三つに目的を絞って設定するのがおすすめです。それ以上設定するのは効率的ではないです。理由は簡単で、数が増えると、そもそも覚えられなくなります。もちろん記憶はできるし、思い出すことも不可能ではないですが、常に頭の中に入れておくには、三つでも既にかなり多いです。戦略を構成する重大な要素である「目的」は、広く組織のメンバーに共有されなくてはいけません。個人の戦略であったとしても、片時も忘れるべきではありません。本来なれば覚えて置かなくてはならないのは「目的」だけではないから、それ以外の要素も含めると二倍、三倍で済まなくなります。
覚えておくことは極力少ない方がいい。というのが筆者の考えです。

いかがだったでしょうか、SMACとSMART。
いい目的はSMACあるいはSMARTという要素を満たしていて、かつなるべく単一の目的に的を絞って設定するといい、ということは理解できたかと思います。これらの道具を知らない場合に比べると、この時点で効率の良い目的を設定できるようになっているのではないでしょうか。
実は、この他にも「目的の再解釈」という考え方、そのための具体的な手法である、
・思考のスイッチを入れる二つの質問(❶何が問題か?❷ある場合とない場合は?)
・未来視点
・顧客に提供しているものを明確にする
・目的とヴィジョンや理念の関係を考える

など、より効率的な目的の設定方法が紹介されていました。本記事では基本的な概念の紹介に留め、もっと詳しく知りたいという方は著書を読んでいただきたいと思います。


戦略の構成要素❷「資源」を解釈する

ここまで戦略の構成要素の一つである、「目的」について理解を深めていきました。続いて、目的に並ぶもうひとつの戦略の重要な構成要素である「資源」について説明していきます。

そもそも資源とは何か

そもそも資源とは何なのでしょうか。それは、目的達成のために使えるすべての有形無形の資材、資産や人材などを指します。いわば使えるものはなんでも資源ということです。
重要なことは、資源には必ずしも「資源」らしい見かけでないものがあるということです。一見、無用に見えるもが燦然と光り輝くこともあるのです。

資源を考えるにあたっての4つの象限

では、戦略を立案し実行する戦略主体である私たちには、具体的にどのような資源があるのでしょうか。ざっくりとヒト・モノ・カネ・情報と言ってもいいでしょう。具体的には、今列挙したように、人員、資金、ブランド、製品技術力、製品開発力、製品の性能、生産能力、生産技術力、営業の能力、ビジネス・モデルなどがわかりやすい資源です。

資源を考えるにあたっての4つの象限

❶内部資源とは

内部資源とは社内、組織内、そして自分で保有している資源であり、随時、直接的に利用可能なものです。例として、

・人材
・製品技術、製品やサービス
・資金や予算
・営業力
・製造技術や流通技術
・ブランド
・時間
・人脈(コネクション)
・経験や知識
・過去のプラン

があります。❶内部資源に限らず、他の三つの象限にある資源の説明を知りたい方は本を読んでいただくことにします。(かなりの量になってしまう、、、笑)それぞれ詳しく書かれています。

❷外部資源とは

ビジネスで運用する戦略を考える際には、バリューチェーンを見渡すことから始めると、抜け漏れなく資源を網羅的に把握しやすいです。さらにバリューチェーンのそれぞれの段階で、資源としてアクセス可能なパートナーや要素を見直していくと、外部資源を網羅することが可能になります。外部資源の提供元例は、

・代理店
・メディア媒体
・取引先
・提携先

になります。

❸内部資源になりそうなもの

多くの企業や組織は、即座には認識しにくい資源を有していることがあります。一般的には資源と認識されなくとも、見方を変えたり、環境を整えたりすることで立派な資源となり、時には極めて強力な競争優位をもたらしてくれることもあります。いわば、資源になりそうなもの、です。

・製品の差別化
・スキル、能力
・コア・コンピタンス

❹外部資源になりそうなもの

ここまで、資源には認識しやすいものと認識しにくいものがり、認識しやすい、いわば公式の資源だけでなく、認識しにくい資源が決定的な戦力差になるかもしれないことがわかりました。認識しにくい資源は、内部だけでなく外部にも存在するし、同様に決定的な競争優位をもたらすこともあります。

・政府
・業界団体
・オピニオン・リーダー
・ユーザー(ブランドのファン)
・競合の活動

複数の資源を効率的に運用する

ここまで、戦略の構成要素のひとつである「資源」について理解を深めてきました。ではその資源を実際に運用し、目的達成に近づけるためには、どのようなアプローチをしていけば良いのでしょうか。

「資源の総和」と「資源の総合的な効用」
効率的な目的達成のためには、通常、複数の資源を組み合わせて使います。そして、組み合わせることによって、ここの資源の単純な和よりも大きな効用が発揮されることが望ましいです。つまり、「1+1を3にする」ような資源の使い方をしていきたいです。

資源を整理して把握するための6項目

次のセクションに書かれている、「補完」あるいは「相乗」のいずれの方法を採用するにしても、その検討に際しては各資源の特徴をできる限り正確に理解する必要があります。ここで資源の整理の仕方を6つの項目に従って明確におきましょう。

❶資源のリスト作成
どのような資源があるのかを書き出してみます。資源リストであるから、資源となりそうなものはできる限りもれなく書き出しておくことです。これも、自分1人では抜け漏れが心配だったら、チームで書き出すと見落としを防ぎやすいです。

❷それぞれの相対的な特徴の把握
書き出した資源それぞれについて、他の資源と比較した時に、相対的にどのような特徴を持っているか考えてみます。
特徴を把握することで、

❸特徴が強みとなる状況

❹特徴が弱みとなる状況
のそれぞれの状況が見えてくるかと思います。それぞれの資源についての絶対的、あるいは他の資源に対する相対的な理解を進めていきます。

❺それぞれの資源が発揮すべき効用の確定
それぞれの資源が「目的」に対して、どのような効用を発揮できそうかが、整理できます。

❻各資源間の相互作用の確認
各資源間の相互作用を考えてみます。ここまでの資源リストに基づいて、それぞれの資源が他の資源に対してどのような影響をもたらすかを考えてみれば良いかと思います。その資源が、他の資源の効率をあげたり効果を高めたりするのであれば、相乗的であるでしょう。

資源係数を上げる方法 ー 補完と相乗

資源係数を上げることができれば、そもそも総量が2しかない資源に3の効果を発揮させられるようになります。そのために、「補完」という概念と、「相乗」という概念があります。どちらも、強みをうまく使うだけでなく、組み合わせ方を考える際に役に立ちます。

補完
補完というのは、文字通り、お互いに弱点を補い合うということです。資源Aが苦手とする分野の仕事を、資源Bを導入することで補完します。例えば、テレビ広告では接触できない消費者にメッセージを届けるために、ウェブ広告を実施するといった場合が補完にあたります。

相乗
相乗は、補完のような足し算的な統合ではなく、むしろ掛け算的な資源の組み合わせ方です。Aの強みをさらに強くするように、あるいはAの係数としてBが機能します。テレビ広告の効用を最大化するために、有名人を起用することで1接触あたりのメッセージの伝達力を上げるといった場合は相乗にあたります。

代替と相殺

代替
現時点で入手可能と規定されている資源がもし入手できなかったり機能しなかったりとなったら、どのような代替資源がありうるか考えてみます。当該する局面に対して、想定されている資源と同様の効用を持ちうる代替資源を考えてみましょう。
例えば、猪狩りを例にしてみると、「猟銃」の“代替”としては「弓」などの飛び道具が考えられ、同じような効用を少し弱めた状態で手に入れられます。しかしながら、「猪を仕留める」という局面に注目すると、猟師の代替として、「落とし穴」も考えられます。仕留められればいいのであって、弓なり矢なりが飛んでいく必要はないかもしれません。
つまり、「想定していた資源がない」といった仮定を持つことで、見出しにくい代替案を自分たちで考えつくこともできるかもしれないです。

相殺
相殺とは文字通り、資源Aに加えて資源Bを持つことで、資源Aがそもそも持っていた効用が喪失されてしまうことを指しています。
例えば、せっかく広告コミュニケーションや商品パッケージ、製品そのものの質感などで高級感を確立しようとしているのに、店頭で安売りをし、特価コーナーを独占している。などです。
きちんと戦略を定義づけ、関係者間で共有することで、こういった混乱や相殺はずいぶんと回避できます。達成すべき「目的」を明確にし、どういった「資源」を組み合わせられるか考え、明確な方針として戦略を書き表し、全関係者で共有します。これで組織全体がすべきことと、してはならないことが理解できます。

まとめ

「意外にシンプルだった」が読み終えての印象です。本自体は316ページに、文字びっしりで、かなりボリューミーでしたが、言いたいことはシンプルで、「目的」と「資源」の二つに集約されるのかと。本記事でも、その二つに焦点を絞ってできるだけシンプルにまとめていきました。というのも、実務に活用していくことが本書を読んだ目的でもありますので、覚えやすくすることを心掛けました。記事中にも述べましたが、もっと詳しく知りたい!という方は著書を読んでいただくことをオススメします。

これからも記事にまとめたことを頭に保存しておきながらも、実務の途中で悩んだり、もっと理解を深めたいと感じた際には、もう一度本書を読み直していきたいと思います。
今後は本は読んで終わりにせず、読んでからが始まりだ!という気概のもと、本から学んだことを、今回のように文字に起こしてアウトプットしていきますので、次回も読んであげるって方は、是非今後ともよろしくお願いします。

次回もお楽しみに。ではでは。

きょすけ

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