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しっぽのないマプ

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絵本「しっぽのないマプ」をまとめ読みできるマガジンです。
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絵本「しっぽのないマプ」①

絵本「しっぽのないマプ」①



ここはマププランド。
"マプ"といういきものたちがくらしています。

マプたちは、とてもからだがかるいので、そらがとべるのです。
まず、おもいっきりおならをだしてとびあがり、あとはしっぽのプロペラでからだをうかせてじょうずにとびます。

マププランドのそらをみあげると、いろとりどりのマプたちが、たのしそうにとびまわっています。

そんなマププランドに、みんなからは"ポナシ"とよばれるマプがいま

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「しっぽのないマプ」②

「しっぽのないマプ」②



ポナシはじぶんもとびたくて、いろいろやってみます。
しっぽのかわりにはっぱをつけてみたけれど、オナラをだしたらとれてしまいました。
せんぷうきをつけたときは、コンセントがみつからなくてあきらめました。
しっぽをつかわないで、オナラだけでとんでみようともしました。たかくとびあがることはできましたが、やっぱりみんなとおなじようにはとべません。

そのかえりみち、なかまがうわさばなしをしているのがき

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「しっぽのないマプ」③

「しっぽのないマプ」③



そのよる、ポナシはねどこからこっそりとぬけだして、ルルガもりへねがいのはなをさがしにしゅっぱつしました。
ガルルはこわいけど、どうしてもしっぽがほしかったのです。

ひるまもくらいルルガもりは、よるになるとますますぶきみにみえました。
ポナシはプルプルふるえながら、もりのおくへとすすんでいきました。

と、いきなりくらやみからなにかがとびだしてきたのです!
ポナシはおもわずおおごえでさけびまし

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「しっぽのないマプ」④

「しっぽのないマプ」④



ポナシがおそるおそるめをあけると、なにかがあたまにかみついていました。
「あれ?いたくない」
ポナシがいうと、そのなにかはしょんぼりとポナシからはなれました。
そして、
「やっぱり、キバがないとダメだぁ〜!」
とさけんで、メソメソなきだしてしまいました。

よくわからないけど、なんだかかわいそう。
そうおもったポナシは、リュックからとっておきのマンプキンパイをとりだすと、なぞのいきものにあげま

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「しっぽのないマプ」⑤

「しっぽのないマプ」⑤



ふたりは、いっしょにねがいのはなをさがすことにしました。
ひとりではこわかったよるのもりも、ふたりであるくとワクワクするぼうけんになりました。

あるきながら、ポナシとカルルはたくさんはなしました。
マプたちは、からだがやぶけるとガスがぬけてしぼんでしまうこと。
ガルルたちは、じつはとってもおくびょうで、ビックリするとすぐにかみついてしまうこと。
いつまでもはがはえないカルルは、みんなにあかち

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しっぽのないマプ⑥

しっぽのないマプ⑥



「あぶない!」
カルルはとびおりて、ポナシをくちのなかにいれました。
そしてポナシがとびださないように、しっかりとくちをおさえながら、がけをころがっていったのです。

マプはけがをするとからだがしぼんでしまうときいたので、カルルはポナシをまもろうとしたのでした。
くちのなかからでてきたポナシがけがをしなかったのをみて、ボロボロになったカルルはまんぞくそうにほほえみました。

けがのてあてをすま

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しっぽのないマプ⑦

しっぽのないマプ⑦



ポナシがとりだしたのは、ふうせん。
「これでどうやってがけをのぼるの?」
カルルにはピンときていません。

ふうせんにのったポナシはカルルをおうえんしました。
「カルル、もうすこしがんばって!」
ポナシのおうえんにこたえて、カルルはひっしにふうせんにいきをふきこみました。
「もういいよ!くちをはなして」
カルルがくちをはなすと、ポナシをのせたふうせんはいきおいよくあがりました。
ところが、がけ

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しっぽのないマプ⑧

しっぽのないマプ⑧



とうとうねがいのはなをてにいれたポナシとカルル。
ねがいのはなは、ポナシのてのなかでまばゆいひかりをはなっています。
「これで、ついにねがいがかなうんだ!」
わくわくしてはなをみつめるふたりのみみに、すすりなくこえがきこえてきました。

こえのするほうをみると、ないているのはいちわのことりでした。
ことりのあしもとには、おちてめちゃくちゃになったすと、われてしまったタマゴがありました。
きから

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「しっぽのないマプ」⑨(完結)

「しっぽのないマプ」⑨(完結)



よがあけました。
「あのとりのす、もとにもどってよかったね」
「うん、よかったね」
「・・・ねがいのはなは、なくなっちゃったけどね」
「そうだね。・・・でもね」
カルルがいいました。

「ポナシをたすけるの、キバがあったらできなかった。あのとき、キバがなくてよかったって、はじめておもったんだ。」
「キバがあってもなくても、カルルはゆうきがあるし、やさしいよ」
ポナシはいいました。
「マプもしっ

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