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江戸、足りてる?[烏金(西條奈加)感想]

令和に生きる皆様、江戸、足りているだろうか?

今、一時でもぼくorわたし江戸不足かしらん、、?!

頭をよぎった方には是非読んで頂きたい。この、烏金を。

この小説はジャンルで言えば時代小説に区分されるだろう。
私はあまり時代小説を好んで手に取らない。私は頭の作りが宜しくないので、当時の口上や固有名詞が出てきた途端にイメージが湧きづらくなり、ああむりむり〜むり〜になってしまう。情けない。
そんな私でも信頼する作家の西條奈加さんが書いたならばと、手に取って読んでみた。

するとどうだろう。読み進める度に鮮明に、詳細に江戸の人情溢れる青空がそこには見えてくるではないか。

この小説が読みやすい理由は情景を想起しやすい点に限らない。
烏金の登場人物は皆、幕府から搾取される側の人間であり、金に困窮し、精神衛生が逼迫され過ちを犯す。
これは現代社会でも今この瞬間正に起こっていることに照らし合わせることができるのではないだろうか。
無知から搾取するシステムは多かれ少なかれ確実に存在しているはずだ。
つまり、この小説に登場する人物の悩みや苦悩は私の様なアホでも共感しやすいのだ。

構成も読み進めやすく、最後の展開まで含め読み応えは非常によかった。

江戸不足の貴方にとって最適の処方箋になることは間違いない一冊だろう。

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