頭の上の赤い林檎

アホが一生懸命本とか映画とかドラマの感想書いてます よかったら見てね

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最近の記事

50年前から見た50年後はこう [映画 ソイレントグリーン 感想]

 こいつはすごいものを見てしまった。  俺の好みにブッ刺さるSF。  制作はなんと1970年代。50年も前だ。そして今作の舞台設定は2022年。現代だ。    果たしてどれほど作中で描いた未来感と現実はリンクしたのだろうか。まず見てみよう。  人口増加、それによる食糧不足と激しい社会格差。程度の大きさはあれど見事的中と言えるのではないだろうか。  作中では牛肉が幻の食材とされ、りんごジャムが当時の価格で300ドル近くしていた。今の価値観だと1000ドルくらいだろうか。な

    • ヤクブーツは辞めろ[映画 フライト 感想]

       デンゼルワシントン。正直、中学生の頃はウィンディーゼルと同一人物だと思っていた。  ワイスピ見て、イコライザー見てそこで初めてあれ、なんか2人いるぞ気づいた。ついでにザロックもそこに入りそうで危なかった。そんなイケメンスキンヘッドたちだ。  もちろん御二方とも大好きなのだが、私は特にデンゼルワシントンが大好き。  割とどの役でもクールでポーカーフェイスな印象が強い。なのにも関わらず、他のどんな役者よりも、演じるキャラクターの内面を丁寧に表出するその表現力は随一。他の追

      • パストライブス/再開 感想

         私の初恋は幼稚園年長さんだ。  なぜ恋に落ちたのか、いつ恋は終わったのかすら覚えていない。  だが、数十年経った今でもその気持ちだけは鮮明に覚えているし、未だにその子と同じ苗字の人と出会うと思い出してしまう。  嫌なやつでも、あの子と同じ苗字だし…と、踏みとどまってしまう。くそ。  そんな新鮮な思いを呼び覚ましてくれる映画があるらしく、レイトショーにて鑑賞してきた。  あ  りそうでなかった。まさか、2024年公開のラブロマンスでその感情を存分に感じることができ

        • 鳥山明がいたから楽しかった

           今日、鳥山明先生が亡くなったことが発表された。  ショック。まだ68歳だそうだ。  早すぎる。  が、いずれ来る日がやってきてしまっただけなのかもしれない。  死ぬまで映画の新作は続けると仰っていたのだが、スーパーヒーローで最後になってしまったのだ。  もう、ドラゴンボールの新作が作られても、それは鳥山明の手を離れた全くの別物なのだ。   神と神の制作が発表されたとき、死ぬほど嬉しかった。繰り返し見るだけのものが、最新の作品を進行形で体験できることになるなんて夢

        50年前から見た50年後はこう [映画 ソイレントグリーン 感想]

          今日のNetflix 西部戦線異常なし 感想

           断っておくが、異常しかありません。(笑)  1914年から続いたドイツとフランスの西部戦 線僅か100mをかけ300万人以上の死者が出た第 一次世界大戦下の戦争。  その戦争をドイツ側の、19歳にしてなんの経 験もないただの学生パウロが国の軍隊に扇動され  志願兵として友達と共に軽いノリで戦地に立って しまう…という話。  内容は本当にシンプルに戦争映画。  しかし冒頭、違いを見せつけられる。  冒頭、かなりリアルで作り込まれた戦争シーンから始まる。新兵

          今日のNetflix 西部戦線異常なし 感想

          今日の映画 7番房の奇跡 感想

           想像力。  何かを作り出す創造力とは違う、空想に耽る時間の多さを指すわけでもない。  それは、思いやる力。  他人を思いやり、まだ見ぬ領域を想像する。  貴方が嫌いと思っていたあの人は、貴方が1番求めていたものを初めから持っているのかもしれない。  貴方が尊敬していたあの人も、貴方が最も嫌う方法でその地位を築いたのかもしれない。  映画や本と触れ合うことのメリットの一つとして、この想像力の助けになる点を私は大いに感じている。  そして今作では、そんな想像力を助

          今日の映画 7番房の奇跡 感想

          今日のNetflix 幸せのための初心者ガイド 感想

           本日はNetflixオリジナル、「幸せのための初心者ガイド」を鑑賞。  40を目前に夫の浮気が原因で離婚したヘレン。  幼い頃には事故で死別した弟、片親にも見捨てられ祖母の下で育った幼少期、やっとの思いで結婚し家族ができたのも束の間、流産、そして離婚とまた1人へ逆戻り。  何かを失い、それを嘆く自分自身を変えるべくヘレンはアメリカの自然を携帯など便利な道具なしに全くの赤の他人と行動を共にするサバイバルキャンプのツアーに参加する。  赤の他人しかいないはずのツアーには

          今日のNetflix 幸せのための初心者ガイド 感想

          今日の映画 カサブランカ 感想

          言わずと知れた名作。近年の作品の中でも度々タイトル名やオマージュが登場する今作を、ようやく鑑賞した。  第二次世界大戦下のフランス領モロッコ、カサブランカが舞台。  ドイツ、ナチスの圧政から逃れ、リスボン、果てはアメリカへの亡命を夢見る難民たちが行き着くカオスの地。  主人公リックもアメリカから追放され、パリで過ごしているうちにドイツから逃れるべくカサブランカの地へ踏み入れたアメリカ人。  カサブランカではある程度の地位を築き、バーを経営。  アメリカへ戻ることを心のどこか

          今日の映画 カサブランカ 感想

          10月に読んだ本ベスト3

           この間街を歩いていると美容院が現れた  中を覗くと、毛根の奥深くまで隙間なく、綺麗に、金色に染め上げた髪を靡かせた美女が、手際良く、また別の金髪を生み出そうかというところであった。  ふと入り口に目をやると家族連れがご入店するところだ  8、9歳だろうか。  いいなあ。私がそのぐらいの時なんて親に力尽くで庭に首根っこ掴まれ、バリカンと共に御臨終。エンタメの少ない学校内での貴重なエンタメとして重宝され拝まれていたぞおい。  そんな自身の過去をブツクサ呪っていたの

          10月に読んだ本ベスト3

          ザ・クリエイター 感想

           我々の住む世界とは違うパラレルワールドのような世界。  時を早くして人類はAIを生成する事に成功。AIが生活の一部して溶け込んでいた。  数年後、アメリカにて大規模な爆破が起きた。人類はこの原因をAIと断定。アメリカを中心とした人類の舞台はAIを殲滅する道を採択。ここからAI対人類の戦争が始まり、人類は苦悩の末自動追尾性の衛生型ミサイルを開発。AIを蹂躙していきもう間も無く人類側に戦況が傾きかけていた。  2069年、主人公ジョシュアはアメリカ部隊の精鋭。AI陣営の、

          ザ・クリエイター 感想

          歌という芸術への讃美歌[映画 キリエのうた 感想]

           主人公キリエは売れない路上ミュージシャン。  過去のトラウマから声がうまく出せない。だが、歌を歌う時だけは違った。  ある日運命の再会を果たす。高校時代の友人真緒里。今はイツコと名乗っているらしい。金持ちの男と関係を持ち、その家を転々とするイツコと行動を共にすることにしたキリエ。  イツコはキリエのマネージャーとして彼女を売り出すことを宣言する。  イツコのアドバイスに従い、徐々に路上から人気を獲得していくキリエ。  だが、イツコとキリエには失われた、引き剥がされ

          歌という芸術への讃美歌[映画 キリエのうた 感想]

          読書感想文 [帰宅部ボーイズ 感想]

           パワハラ気質で陰湿な顧問のいる野球部に辟易し、帰宅部となった中学1年生の主人公直樹。同じく外れものとして帰宅部になったカナブン、テツガク、ウメ。  なんてことないどこにでもある、だが彼らにとっては何にも変え難い唯一無二の経験を、大人の直樹が回想する形式で振り返るストーリー。  帰り道にある米軍基地に侵入して射撃練習に使用された実弾を拾ったり、ジジイの庭で育ていてる柿を盗んで全力で逃げたり、無意味な事に全身全霊をかけるくだらない臨場感。男子の多くが思わず共感してニヤニヤし

          読書感想文 [帰宅部ボーイズ 感想]

          読書感想文 [正欲 読書感想文]

           凄まじい作品を読んだ。否、読んでしまった。  何が凄まじいのか。  帯に記されていた言葉を引用する。  「読む前の自分には戻れない」  決して大袈裟ではない。この表現は確実に的を得ている。  豪華な一戸建て、仲の良い妻。だがしかし不登校の、"YouTube革命家"に憧れる小学5年生の子を持つという悩みを抱える40代の検事、寺井啓喜。異性との関わりにコンプレックスを持つ女子大学生、八重子。33歳、誰にも心を許せないまま田舎のショッピングモールの羽毛店で実家に暮らしな

          読書感想文 [正欲 読書感想文]

          優しさに包まれる人の闇[映画 アンダーカレント 感想]

          真木よう子演じる主人公かなえは両親が営んだ千葉の銭湯を継ぎ、夫(瑛太)と2人で営んでいた。  ある日突然夫が失踪する。  夫の行方が全く判明しないまま半年。  夫の代わりとして知り合いのツテで寡黙な男堀(井浦新)を住み込みで雇うことに。  そんな中かなえの友人ようこの紹介で怪しげな探偵ヤマサキ(リリーフランキー)に夫の調査を依頼することに。  夫は何故失踪したのか。堀が抱える闇とは。  誰もが抱える闇を夫の失踪をきっかけとして、今泉監督独特のリアリティある淡々とし

          優しさに包まれる人の闇[映画 アンダーカレント 感想]

          読書感想文 [汝、星のごとく 感想]

           浮気が錯綜する、ありがちでなかった、愛の形から人間の本質を解放していく。  舞台が瀬戸内海、愛媛。今治の隣にある田舎も田舎の島。  男に依存するシングルマザーと男を変えると同じく住まいも変えながら暮らし、親からの愛に飢えた、どこか大人びた奈良からの転校生であり主人公櫂。  同じ島内で父が堂々浮気。その浮気に何も言えず与えられた日々を粛々と過ごすのみの母。そんな家庭で育った暁美。  2人は生まれながらにして家庭環境という足枷を引きずりながら生きてきた。  そんな2人が

          読書感想文 [汝、星のごとく 感想]

          [エクス・マキナ 感想]

          79点 アートや神話を絡めた、美しく、少しの狂気を孕んだ神秘的な作品  Googleのオマージュであろう大企業で働く主人公ケイレブ。  ある日社内の抽選の一等に当選。普段社員の前に姿を現さないCEOネイサンの別荘に一週間滞在する権利を得る。  別荘は凄まじい敷地。ジュラシックパークの様な壮観。  そんなネイサンの別荘の中には彼が作り上げた高精度のAI、エヴァがいた。  彼女の初めての人体接触の被験者として協力する様要請されたケイレブ。しかし、エヴァと接触するうちに怪

          [エクス・マキナ 感想]