最近の円安について―お金とは何ぞや?―

いきなりですが、「お金、マネー」って一体なんなのでしょうか?

筆者は商業系の高校出身なので簿記会計について学び、(当然な話ですが)全商レベルの簿記資格もとりました。とりあえず、バランスシートについては最低限どんなものなのか説明できます(負債と資産の名目はほぼ忘れちゃったけど・・・)。

意外なことに実は基本情報処理技術者の試験にも会計分野の問題が出題されるので「もう簿記とかやらねーよ」と思っていたのですが結局また勉強しなおしました(出題内容は主に損益計算とか減価償却についてなので日商1~2級の範囲)。

まあ、そんなわけで商業学校生徒だったこともあって何かの授業だったか忘れましたが「お金とは何ぞや」という内容があったわけです。

「そりゃあ、物の売買に使うでしょ(笑)」

まず普通の人はこんな認識でしょうし、私も学生時代それが当たり前だと思ってました。

・・・本当でしょうか?

ここで1つ簡単な質問を。

【皆さんの手元にある一万円札、原価はいくらでしょう?】

「もちろん一万円に決まってるじゃん、馬鹿なの?」

・・・という答えがいわゆる悪い模範解答なのですが、どうでしょうか?皆さんも模範解答できましたか?(笑)

実際には一万円もかからないでしょうが、印刷費とか紙代を考えれば結構いい値段になりそうですね。

じゃあ今度は硬貨にいきましょう。

【1円玉、5円玉、10円玉、50円玉、100円玉、500円玉・・・(古銭はご容赦)これらの原価はいくらでしょう?】

これ、答えるのは相当難しいと思います。なぜかというと、硬貨に使っている貴金属の値段が常に変動しているからです(勿論鋳造コストもかかります)。

2023年だったかと思いますが「金がグラム一万円」ということでニュースになったかと思います(2024年5月現在は12000~13000円レンジ)。

金の他にも銀、銅、ニッケル、プラチナ、パラジウム・・・いわゆる非鉄貴金属=レアメタルの価格は毎日変動しています。従って、日本で使われている硬貨の原価をその場で正確に答えられる方は造幣局の職員でもないと無理ではないかと思います。

でも皆さんの認識はこんな話じゃないですよね?

「いや、1円は1円だし、100円は100円でしょ。頭おかしいのかお前?」

こうなりますよね?

筆者が思うに、この悪い模範解答が多くの国民から出てくる事態が今の物価高騰や円安。もっと言うと財政政策や金融政策、税のありかた等を招いたのだと思います。



今日の記事で言いたいことはかなり広い領域になるのですが、そもそも筆者はなんらかの専門家ではありませんし、先生でもありません。ただの民間人です。

が、あえて言うなら「社会から梯子を外された日陰者」「世捨て人」みたいなものですから、輝く太陽の下で日夜生きている人間様とは違う視点で【お金】について語りたいと思います。

筆者は非正規労働者から社会人ライフを始め、一時期だけ正社員でしたが悪意をもって精神と健康を破壊されてリタイアし、その後再び非正規労働者ライフを送っています。

日本において、真っ先にお金を得る方法って労働なんですよね。『働かざるもの食うべからず』って昔の人はよく言ったもんだなぁ、と思いつつ筆者がモダン風にアレンジすると『金と権威と地位がないクズは食いたきゃ働け』って感じですね。

労働最高!
納税最高!
ディストピア日本最高!

まあ、こんな感じの我が国ですが、全ての人間が労働できるのは理論上において共産主義国家のみです。

資本主義は競争で敗者が生まれる以上失業者の存在は必然ですし、社会主義においては公共エネミーになったが最後すべてを奪われた後粛清されて終わりです。

これは筆者の偏見だと思いますが、日本において労働者という地位は特権なんです。なにせ労働者になる事が許されない身分が公然と存在していた時代もありましたし、近年においても「不景気だから」という理由で全く採用されずお祈りばかりされて社会から透明人間にされた方々もいるわけですからね。

確か日本国憲法には国民の三大義務として「勤労」「納税」「教育」が定められていたかと存じていますが、果たして日本で憲法は守られていらっしゃるのでしょうか?

まあ、最近は犯罪行為を闇バイトと呼ぶようになりましたから筆者の知らない内に勤労スタイルがアップデートされたのかもしれませんね(笑)。

そんなわけで、健全に労働者としてお金を手にすることができている方は幸せですね、という筆者の偏見かもしれない意見を述べつつ要約すると

・大多数の国民がお金を得るには労働するしかない
・しかし誰でも労働できるわけではない

ところで前置きの段階で「お金」とは何ぞやとお話ししましたが、模範解答は「物の売買に使う」でした。確かに、労働者が居酒屋でビールを飲んだり焼き鳥を食べられるのは給料があってこそです。

他にも、自動車を買ったり、家を買ったり・・・至る所で「お金」が使われています。



「お金」が物の売買に使われているのは間違いないようです。でも、ここで賢い方は疑問に思いませんか?

「物を売買する時に支払うお金の量=金額は誰が決めているのか?」

居酒屋メニューのビールや焼き鳥の値段は誰が決めるのでしょうか?一般常識で考えれば居酒屋を経営している店主ですよね?じゃあ居酒屋の店主はどうやって値段を決めているのでしょうか?

ビールならビール屋=酒屋(大手酒造店、仲卸業者等)、焼き鳥なら鳥屋=肉屋(仲卸業者とか契約畜産家等)ですかね?

じゃあ更にそれら業者は・・・と延々と続いて飽きたのでもうやめますが、必ず誰かが値段を決めているわけで、最終的な消費者が最後にお金を支払って終わり・・・とはならないのが経済ですね。

ここも要点にまとめると
・モノの値段は誰が決めているのか?
・最終消費者から延々と辿ることになるが、必ず誰かが最初に値段を決めている

ここでいよいよ今日の記事の核心にいくわけですが、『モノの値段の根拠』を辿っていくと必ず最初の価格設定者に辿り着くはずです。

その人は、いったいどうやってモノの値段を決めているのでしょうか?答えは「買い手の需要」です。

経済原論の初歩として「需要と供給」について学ぶと思いますが、簡単に言えば「売り手と買い手でそれぞれ合致した値段」がモノの値段になります。

この「買い手」と「売り手」が延々と物の売買を連鎖したのち、居酒屋メニューの金額を店主が決めるわけですね。後はお客さんがメニューの金額を見て注文するかしないか、それだけです。



令和6年度になってから益々物価高騰が加速している我が日本。

先ほど今日の記事の核心「モノの値段はモノの需要と供給で決まる」を説明しましたが、日本の物価高騰=価格上昇は需給バランスによるものなのでしょうか?

残念ながらまだその答えに着きません。なぜなら日本国内で流通している物は大半が輸入品に依存しているからです。

日本という国は面白くて、先進国の中でも食料自給率、エネルギー自給率がとても低いんですよね。

言うまでもありませんが人間は食料を得ないと餓死しますし、社会生活を営む上で交通、流通、生活、通信・・・あらゆるものにエネルギーを消費します。

日本はそのどちらも国外から輸入しないといけないのです(まあほかにもいろんなものを輸入しないと産業が成り立たないんだけど)。

そうなると、海外からモノを買わないといけません。さて、例にもれず日本が外国と物の売買をするためには「お金」が必要です。

あれ、でも不思議ですよね。

【この一万円は一万円だから一万円分のモノを売ってくれ】

???????????????

まるでいつぞやの環境大臣みたいなトートロジーが出現しました(笑)。

一万円札を差し出して「これは一万円の価値があるから」と外国に提示しましたが、果たして外国から見て日本の一万円は一万円の価値があるのでしょうか?

ここで外貨為替の話になってしまいますが基本は同じです。要は外国は日本の一万円というモノを需給関係で値段を決めます。

【これはウチの国では62.5US$分の価値しかないからその分のモノを売るね】(1ドル160円)。

【ウチは59ユーロ】(1ユーロ167円)。
・・・以下略。

「一万円は一万円でしょ」と通じるのは日本だけです。毎日外貨為替は変動しますから、特に外国からの輸入に頼る日本では日本国内の通貨より外国通貨に焦点を当てるべきです。

だから、冒頭に上げた質問の正しい模範解答は
「ドルなら62.5US$。ユーロなら59ユーロです」というのが正しい模範解答ではないですかね。そもそも一万円札を見れば誰だって一万円と認識するので「一万円は一万円」という回答はナンセンスなんですよ、誰でも知っとるわ。

ただ、この回答の主旨は「どこを見ているか?」なんです。日本国内だけしか見ない人にとって外国為替なんて気にもならないでしょう。

「私は日本のエリートサラリーマン!そんな私が国外についてなぜ知らねばならんのだ?円安?物価高騰?そんなのは政治が悪いんだよっ!」

ここまで傲慢な人間は現実に見たことないですけど(笑)、大半の日本人はこんな考え方になっていませんかね?

日本はその地政学上、自国だけでは成立しえない国家である以上必然的に海の向こうを気にせずにはいられないはずなんです。

ところが日本の報じる海外といえば
「今度のGWはハワイが韓国がシンガポールがタイが~」
「今この国はなにそれが流行っていまして~」
「弾道ミサイルが~」
「中東のテロが紛争が~」

メディアによるお得意様国家を持ち上げて紹介するか、世界の悪者がまたなんかやっていると不安を煽る・・・もうテンプレ化しすぎてよく飽きないなぁ、と思うような広報ばかりではありませんかね。

筆者もうあまりテレビを見なくなったので代わりにYoutubeの社会系をよく見ますが、全くといっていいほど内容が違います。本当に同じ国の話かと思うくらいです。

当然、経済についても日本のメディアは大したことを言いません。まだ国の借金とかプライマリーバランスとか言っているのですか?

円安円安と騒ぐのはいいですが、円安を解消したら物価高騰は解消されるのですか?いくら介入しても円安は解消しないと思いますし、外為特会で財務省が儲かるだけではありませんか?高騰している時に余った外貨を売ってるだけですから。

まず、国民全体で経済原論のいろはから身に着けたうえで外貨為替チャートと海外の社会情勢を照らしながら見ていけばいいんじゃないですかね。

そうすれば、少なくとも円安の理由が見えてきそうな感じですけど・・・。

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