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ロッキー1から3まで見た

 見たじゃねえよ。今頃なんだよ。
 いやなんか前回クリード見てさ、そういや俺、ほぼ忘れてるなと思って改めて1から見直したんだなこれが。
 まあなんちゅうか、汗と筋肉っていいよね。
 分かりやすいからね。
 これが数学チャンピオンとかロボットコンテストとかだと同じ文脈でも勢い足りないからね、やっぱり。勢い出す方法は幾らでもあると思うんですが。というか別にロッキーシリーズはそれほど試合メインではなく(どうでもいいという訳ではない)人間ドラマがガッツリ絡んでくるので、数学でもロボットでもいいと言うか同じ事はやれると思うんですが。
 まあ、汗と筋肉と痛いのと疲れるのの方が同じドラマでもコスパいいよねって話です。人間には原始人時代の遺伝子が残っている。数学とかロボットとかだと原始人の遺伝子が納得してくれない。

 久しぶりにというか多分、10年以上見てませんよ、ロッキーの1~3なんて。だいたいストーリー知ってるからね。当たり前ですが。ただ俺もロッキー見たのクソガキの時だったから細かいとこ覚えてなくて、まあ俺もいい大人になったので細かいとこに目が行くようになって、その細かいとこが丁寧なのに凄く感心したりしたよ。

 スタローンってなんかそういうとこ繊細というかロマンチストなとこがあって、全盛期はやたらとシュワルツェネッガーとライバル関係勝手に構築されて面白がられていて(俺、あれ日本向けのパッケージだと思うんだよな、どうでもいいけど。他、幾らでもいただろ筋肉。売れてるって話したらあの二人って気もするが)スタローンの泥臭さみたいなの若干、小馬鹿にされてたという印象があるんだけど、なんちゅうか、比べるもんじゃないよなという感じ。
 なんで比べるんだよ、失礼だよ、両方に。
 まあそういうのも話題性って感じで、シュワルツェネッガーの方はかなり意図的に利用してた気がするけど、スタローンは別に俺は……って感じは出てた。そういうのも「逃げてる」って印象に一役買ったのか、当時はシュワルツェネッガーの方が筋肉番付で上、みたいなとこあった。と思う。
 俺の印象だけなのでほんとのとこどうか知らんけども。

 格闘技というかボクシングと一応限定するけど、ストーリーとしては絶対にチャレンジャーの方が話は盛り上がるんですよ、当たり前ですけど。強い主人公がずーっと防衛戦で勝ち続けてどうすんだよって話で。
 そういうまんがありますけど、タイトルは言わないけど。
 もう不良に絡まれるとかそういうのいいから。
 まあ長期でやると仕方ないですしね。毎回、一回負けて雪辱晴らすとかするとなんか茶番感出るし。

 で、ロッキーの場合は1が当然、チャレンジャーでしょ。んで2もそうで、3で負けてまたチャレンジャーだからバランスはいいんですよ。三回くらいだよねって感じで。
 努力して勝ちました、って話なんだけど。
 ロッキーシリーズの場合、努力は当然してるんだけど、結構な部分、人間関係で勝利に結びつけてる脚本が巧くて、例を言えば当然、エイドリアンなんだけど。言うまでもないけど。使い方が凄い巧いというか。
 添え物になりがちだと思うんですよ、特にこの年代のヒロインは。
 脱ぎ要員と言っても過言ではない。
 それをなんか、完全に引きこもりの地味~な内気なキョドってる感じの外見にして、まあ、実のところその辺って「そういう子を強いマチズモで救う」って構図もあるから、今にしてみるとあんま良くないんだけど、それにしたってエイドリアンは思い切った配役だと思う。
 メガネ外しても別に印象変わらないし。
 近眼なんで返してあげて。

 1と2辺りは造りやすかったと思うんですが。ブレアの時に書いたような気がするけど、続編は2までは造りやすいと思う。1にカウンターをきれいに当てるのが目的になっていれば。
 欲かいて2どころか10くらいまで続けるぞ、みたいになると結構、外すことが多い。その辺は制作者側の計算がいかに正しいかみたいなとこあるけど。1でアポロに判定負けしたんだから2は勝つ、分かりやすい。見ていても気持ちがいい。1は勝敗なんか関係ないんじゃ! エイドリアンじゃ! ってとこがいいんですが、なんやかや、勝って欲しいからね。なので次では勝つので良い。

 2はほら、ロッキーのサウスポースタイルが勝利の鍵じゃない? スイッチして敢えて右構えで戦え、今だサウスポー! っていう、例のアレ。
 例のアレ、って言われてもワカランかも知れませんが。
 格闘技モノって「劣勢から挽回して勝つ」ってああ見えて難しいんですよ。いや突然強くなって勝ってもいいんですが。なんか「?」ってなるからね、見てる方は。
 だから「勝てる余地」を温存しておかないと納得出来ない。当然、やり方は色々あるんですが、利き腕関係は幾つか見たと思う。
 ちょこっと説明すると、右利きの人は左足を前にして左手も前にするワケさ。その方が距離稼げるし力も入るからね。んで、ロッキーはサウスポーなので逆。右を前に置く。
 それを敢えて左を前にして戦って、最終ラウンドで「本来の姿」に戻して挽回するワケね。これは何個かあったと思うんですが、すぐ思い出せるのは「軍鶏」ってまんがで、主人公がもう勝てねえ~ってなった時に「そういや俺、左利きだったわ」って言い出して挽回するんですけど。
 いやもうちょっと伏線ちゃんとしてくれよ! って思わないでもないですけど、なんか納得しちゃうんだよな。勝って欲しいからね、読者は。なんやかや言って勝って欲しいから、勝つための口実ならまあまあ引き受けるんですよ、あれロッキーが初出なんでねえかな。

 時代性を言うと「リングにかけろ」とかもロッキーの影響あるんかな。あれの場合、利き腕どうこうじゃなくて「努力だけで登ってきたと思ってたらコイツ、マジで天才だった」という豪快な挽回なんですが。
 あれ一応、伏線張られてるからね。伏線の心算だったかどうかは定かでありませんが。まあ一発、恐ろしいアッパーカット喰らっただけで恐ろしいアッパーカット撃てるようになるんだから天才でいいとは思うが。

 話が逸れてきた。
 ロッキーはエイドリアンきっかけで勝利に繋げてくるので、エイドリアンが挽回のキーです。特に最初は単にオドオドしてたエイドリアン、2で「危ないからボクシングやめろ」って言うエイドリアン、3で「やる気出せこの野郎」って発破かけてくるエイドリアン、とエイドリアンの成長もしくは変化の物語でもあります。
 ヒロインの使い方が本当に巧い。
 あとヒロインの兄貴がしょうもない奴なのもいい。しょうもないけど強気の姿勢を崩さないので愛されキャラみたいになってますけど、あいつ一歩でも踏み間違えたら本当のカス野郎なのでそこのバランスも巧いと思います。

 キャラの描き方も絶妙に巧くて、アポロが2で憎まれ役演じてるの、興業を成立させるためなんですけど(だからなんか暴力的な言動が多い)ボヤーっと見てるとホントにイヤな奴みたいに思えてくる。これは演技だから、って念押ししそうなとこ、しないから。したら醒めるもんね。

 3の敵であるクラバーは徹頭徹尾、攻撃的で挑発的で普通に乱暴なイキり野郎なんですが、一回だけ「俺は別にロッキーのことは嫌いじゃない」って一言だけ挟んでくるから、そこだけでフォローが出来てる。というかその手のフォローがロッキーシリーズ結構、わかりにくく配置されていて、ストイックだな~って感じはする。
 フォローは最小限でいいよね。
 あとあんなイヤな奴に負けたら勝って~ってなるからね。ミッキーの死の引き金になったのあいつの粗暴な行動からだしね。単純に言うとミッキーの仇~! ってなってもいいところを「自分との戦い」に落とし込んでるしね。まあミッキーはあれなくても先長くなかったと思うけど。
 ハードボイルドだぜ。

 3でようやく、ロッキーって技巧ボクシングを身につけるんですが、それも技覚えたと言うよりアポロ+ロッキーの悪魔合体みたいなとこあってテンション上がる。単に上手になったんじゃ面白くないからね。アポロを1と2で見せてるから3で効いてくる。その辺も巧い。ロッキーが技を!? って喧嘩稼業の工藤が裏辻使ったような感動がある。
 ジャブ連打で距離を取って打たせない、スウェーで躱す、スリップさせる、全部アポロがやってたからね。アポロが教えてんだからそうなるけどね。むしろよくそれで今まで防衛戦やって来られたな……って気もしますが、それもミッキーが気を遣って格下とマッチ組んでくれていたからだからね。

 まあここまで言ってるものの、人間ドラマとかは正直、ベタですよ。昔のドラマって感じ。エイドリアンに説教される前にやる気出せやというか。ミッキー死んどるから、もう死んどるから。ただそういうのは分かりやすいという利点があるので、上手に使えば見ている方は普通にテンション上がります。
 上がったし。
 俺はこう見えてちょろいからな。

 しかしまー、やっぱ3できれいに纏まっているというのは改めて確認したのですが。4は「ドラゴが面白い」っていう利点はあるものの蛇足感はちょっとある。あと政治的なアピールみたいなのも邪念を感じる。
 ただ4はドラゴが面白いので良しとします。
 5については余り触れたくない。
 ファイナルについてはそもそも無理あるだろ、さすがに、ってなりますが、変なCGのバーチャルゲーム番組が面白いので良しとします。あれ実際にやってくれねえかな。無理か。恣意的になるわ、あんなもん。

 そんなわけで久しぶりに見たら面白かったよ。
 一気見するといいね、ランボーも昔、一気見したけど良かったよ。スタローンの体がどんどん大きくなるところとか。なんでだよ。一番最後が一番強いだろお前。
 ただクリードのスタローンってなんか年相応に見える。
 その辺、なんか不思議。
 
 ということでみなさんもヒマを持て余したらこの手の「知っとるわ」というシリーズを一気に見るなどしてみてはいかがでしょうか。知ってるだけに新たな発見などあったりするかも知れません。
 何度も見てるんだよ! ってのに限って細部を忘れていたりするので。

 しかし「アイオブザタイガー」(ロッキー3から採用された主題歌)って北斗の拳の「キルザファイト」とソックリですね、モロソックリなワケじゃないんですがそっくりですね。どっちがあとかは言うまでもありませんが。俺は「キルザファイト」も好きだよ、歌詞が雑で物騒だから。

 ロッキー2でロッキーが着ていた、背中に虎が描いてあるジャケット、欲しいですね。多分、公開当時もみんな欲しかったと思いますね。買いませんけどね。恥ずかしいから。

 汗と筋肉には説得力があります。
 ロボットや数学よりも説得力が。
 オタクは筋トレしたり格闘技習おうとしたりしますが、屈強な人間は数学覚えたりロボット造ったりしません(完全な偏見)
 体育会系の良さを皆さんも偏見なしに楽しんでみましょうね。

 どうでもいいけどなんでハルク・ホーガンと異種格闘技戦したの。
 あれのせいでミッキーの寿命確実に縮まったと思うのだが……。

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