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微笑まれたのは僕なのに

どうも山ぱんだくんです。あーーーーーーー、うん。

さてさて山ぱんだくんと月曜の理屈
第九十回は「微笑まれたのは僕なのに」

第九十回 微笑まれたのは僕なのに

卒業旅行はカナダのイエローナイフに行くことになった。二年前の海外旅行はアイスランドで、なんでだか寒い国が好きだ。

寒い国の人は感じのいい人が多い気がする。いい人、というか、感じのいい人。教養深くてベッドが気持ちよくて、スープがおいしい。いい国だったなあと思いながら日本に帰った。

「観光で成り立っている国だから、愛想がよかったんじゃない?」

帰ってきてアイスランドの話をすると、そんなことを言われて、ああ、そうか。と灰色の日本で納得してしまった。あの優しさは、そういう類いのものだったか。それはとても寂しいことだけど、それに納得する方が傷つかない気がした。

それからしばらくして、僕はまた寒い国に行く。やっぱりあの微笑みは、そういう類いのものじゃなかったと今になって思う。あれは温かいスープを飲んで育った人たちの国だ。

いい国だったなあと思っていたのに、行ってもいない人からの否定を一瞬でも受け入れてしまったことを今でも後悔している。あの微笑みをもらったのは僕なのに。

アイスランドではオーロラを見られなかった。イエローナイフでは見られるといいな。犬ぞりも乗るし、雪の深い街でボーっとして、あとは美味しいスープがあったら嬉しい。