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コレナガに会う

どうもよなかくんです。仕事で「考えてみようか」と言われて考えたことを言ったら「弱いね」と言われて終わりました。強さとは何なのか。その真理を求めて我々はAmazonの奥地に向かった。

さてさて、よなかくんと月曜の理屈
第一一一回は「コレナガに会う」

第一一一回 コレナガに会う

 水曜日、仕事帰りにコレナガに会った。コレナガ、というのは僕の十年以上の付き合いになる友人で、これまでもこれからも僕の人生に登場する「友人」というのは八割がたコレナガのことなのでこの機会に覚えておいて欲しい。

 待ち合わせの池袋。スーツに身を包んだコレナガはいつも通りの僕を見て「そのまんまじゃん」と大爆笑しながらドン・キホーテの前に僕を立たせてフィルムカメラで写真を撮った。何がしたいのかよく分からない。

 それがフィルムのラスト一枚だったらしく、とりあえず一緒にビックカメラの写真コーナーに現像に出しに行った(エレベーターの前でも謎の写真を一枚撮られる)。カウンターでアレコレやり取りしている間、ひまを持て余してコレナガのリュックをまさぐってみたら八つ橋が出てきた。なぜ。「食べていいよ」と言われたのでビックカメラのカメラコーナーで八つ橋を食べた。店員さんがチラリとこちらを見た。

 フィルム三本と写ルンです三個。写真の仕上がりは六月の末になるらしい。多分こいつはそのまま忘れて半年ぐらい取りに来ないんだろうなと思った。馬鹿だから。

 ビックカメラを出て、その日の目的地である紙屋に行く。次の同人誌に使う紙を見に行ったのだけど、店は時短営業中で既にしまっていた。二人でガラスの壁に張り付いて、薄暗い店内をのぞきこむ。
「あの奥の右の棚に、めっちゃいい感じの緑の和紙があったんだよ。」
「見えねえけどな。」

 仕方なく紙屋さんの前で本を交換して帰った。僕が渡したのは「雨は五分後にやんで」の鴨さん、高橋久美子さん、小野美由紀さんの三人のサイン入り本。
「おお!ちゃんとコレナガさんへって入ってる~!」
「ごめんそれは僕が書いた」
純粋に喜んでくれるのが申し訳なくなって正直に言う。油性ペンで書いたら裏うつりしてしまったことは黙っておくことにした。

コレナガがくれた本。吉田棒一の心臓日記。分かってるなぁ。