マガジンのカバー画像

○○○ごっこ

35
親密な関係だった隣家の裏切り行為で、大借金を負い、急遽公立中へ転校、一家は別暮らしとなるみゆきの重い恨みの気持ちが、どう変化していったか。新しい友も悩みを抱え、その隣家の老女たち… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

1章-(1) 隣の一家は?

3月3日、みゆきは小学校から家までの20分の道を、走り通した。嬉しくてはずんでしまうのと…

14

1章-(2) 夜逃げ・父蒼白

時計は約束した4時の5分前だった。やっぱり明美のことが気になってならない。 みゆきはボト…

13

1章-(3) 私の中学は?

2階の自分のへやにかけこんだ。淡いピンクのベッドカバーの上に身を投げる。窓ぎわの机とその…

10

 1章-(4) 翌3月4日

ちらしずしの味がどうだったか、他に何を食べたのか思い出せないまま、 翌朝、みゆきはひとり…

9

1章-(5) 3/10日父の宣告

それからの1週間は、家でも学校でも悪夢のようだった。 みゆきのへやは、ママたちの寝室の隣…

11

1章-(6) 3/29母姉移転

その後の数週間は、天地がひっくり返るような目まぐるしさだった。 父も母も、それぞれの高校…

10

 2章-(1) 中学入学の朝

入学式の朝。トントントン、ふすまをノックする音。どうじに、ガタガタとふすま全体がゆれて、みゆきは目をさました。真っ暗だ。 ここはどこ? 最初に頭に浮かぶのは、このところ決まってそれだ。 首をまわすと、戸のすきまにひとすじ光が走っている。ああ、朝か、ここは〈さくらアパート〉の押し入れの中だった、とがっくりする。 パパとの2人暮らしが始まって数日目だ。 「入学式は9時だったね。遅刻するなよ。夕食は7時ごろかな、焼き肉に しよう。買い物はたのむ」 父のかすれ気味の低い声

2章-(2)許せない怒り

何もかもが、ほんのひと月あまり前の、あの3月3日の大事件の日に つながっているの…

8

2章-(3)友だちごっこ?

「ほうら、大事なもの」 目の前で、カギがゆれていた。さっきのでっかい奴だ。みゆきはカギを…

10

2章-(4)押入れの隠れ家

昼すぎ、みゆきはさくらアパート101にかけこむと、内側からカギと  チェーンを2重にかけ…

9

2章-(5) エンドレス追憶

たぶん、エイがクラス1背が高く、重いだろう。そして1番声高く笑っているのが、栄子自身だっ…

10

2章-(6)スミ伯母は74歳

お姉ちゃんは、今まで通り、好きな清美学園に通って、生徒会長の仕事と ブラスバンドと勉強で…

7

2章-(7) ショッピング

駅の南口にリサイクルショップを見つけたのだと、父は土曜日の午後、  みゆきを連れ出した。…

20

2章-(8) 人生は5分5分

自転車売り場にも、子ども用自転車からママチャリから、マウンテンバイクまで、いろいろある。父はここで念入りにタイヤやブレーキを調べ始めた。 その時、後ろから声が聞こえた。 「ここだ、ここだ、雅彦。こんどこそ盗まれないよう、目立たないのを  選べ」 やっと見つけて、ほっとしたような父親の声だ。さっきの男の子が、ふり むいたみゆきの目に、赤くなって照れているのが見えた。 「え?  知りあいか?」 声をひそめてたずねる父親に、息子の方も小さく答えている。 「1組でいっしょ