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2章-(1) 6月17日 成田空港へ

●4時20分起床。朝食を軽くすませ、予約してあったタクシーで5時10分   西八王子駅へ。運転手に「朝5時は明るいものですね」と声をかけると、「4時から明けてます」と返って来て、知らなかった、長年の朝寝坊がばれた、と恥ずかしい。

5時33分発の東京行き中央線に、常連らしい若い女性、紳士、おじさん方がたくさん乗りこむことに驚き! 私が眠っている間に、世間は皆活発に動き出していたのだ。

一番乗りのつもりで、新宿の「成田エクスプレス」ホームに着いてみると、Sさんが私より30分早く着いていた。「嬉しくて嬉しくて、家にいられなかったの」だって。

●やがて16人がそろい、添乗員の吉松氏の先導で、成田行きへ乗りこむ。荷物はほとんどの人が、前日までに「ABC航空手荷物サービス」で空港に送ってあったので、それぞれリュックやショルダーバッグの身軽ないでたちだった。東京は曇り空の梅雨時だが、イギリスはどんな気候なのだろう。

成田第一ターミナルで下車。会計係のTさんとNさんに、ひとり5万円ずつ預けた。これはイギリスでの「昼食代・夕食代・未払いの入館料など」に当てるためだ。これは1日目の夕食時に、16人が3班に分れて、食事せざるをえなくなり、「だんろの会8人」「おはなしかご4人」「おはなしの花束4人」に分れて、会計係をそれぞれに決めることになった。出費は結局少なくて、途中で5ポンドずつ返され、最後の日には、更に返金されたほどだった。

吉松氏の情報によると、当時イギリスは強気で、現地の方がポンドが高く割が悪いので、成田空港でポンド交換しておいた方がいいとのこと。私は自分用に5万円を両替し、200ポンドと少しのおつりをチョッキのポケットに入れた。1£=248,86円だった。2週前に銀行で準備した人は、238円前後だった由。(ロンドンでは254.86円になっていた)

●搭乗券、出獄券、空港使用権(2400円)をもらい、荷物を預けた後、いよいよ飛行機に乗りこんだ。座席は中央の端。外は何も見えない。

私は10日前に、夫の「ポーランドでの数学学会」に同伴して、帰国したばかりで、まだ時差呆けが抜けていなくて、眠くてならない。そこで足元にリュックを置き、リュックに入れて来た「しっかりした菓子箱の蓋」を取り出し、リュックにかぶせ実に快適な「足乗せ台」にした。「空気枕」と「耳栓・目隠し」もして、ひと安心。

イギリスまでの13時間あまり身動きできないで、時間を過ごしたり眠ったリがどれほど苦しいものか、ポーランド行きで実感していたので、この工夫が具合よく、救われた。離陸・着陸の際の気圧変動で、耳がいたくなるため、「ガムとアメ」も役立った。

この他に、私が持参したもので、感心されたりあきれられたのは、ビニール瓶に詰めた「炒り大豆」と「100頁ある小型メモ帳」と「ポケットがいっぱいついた、何でも入る地厚なチョッキ」だった。炒り豆はのちに長いフットパスを歩くときに、まわりの人に配って、かじりながら歩き、甘くないのと懐かしいのとで喜ばれた。

毎日味噌汁ときなこを欠かさないのに、イギリスでは途切れるし、炒り豆は繊維質不足を補い、よく噛むことで頭をすっきりさせる食べ物は?と考えた末だった。

●100頁のメモ帳には、目についたこと、聞いたことをメモした。自分の記憶力なんてあてにならない。それに同じ場所に2度と来れない、と思って。私には絵が描けないのが残念だったが。「発着の時刻・何を食べたか・物の値段・天候」などは、忘れず記録した。 

このメモ帳には、前もってメモしておいたことがあった。

★行きたい所:・古本屋街(Cecil Court WC2 / City of Westminster--)
       ☆リバテイ・プリントの店 ☆タクシーに乗る                                               ☆地下鉄に乗る
       ・ピカデリーサーカスの中華街 ・コベントガーデン
       ・「パブ」には絶体!
 ・・・結局行けたのは、☆印だけだった。

★食べてきたい物:・ヨークシャープデイング                                                                                ・ランカシャー・ホットポット
         ・スカンピフライ ☆リンゴ色々                                                                    ☆fish & chips         ☆スコーン
         ☆キドニーパイ ・黒スグリ酒 ・ケバブ                                                       ・レバーパイ
 これも☆印のみ。物語の中に出て来て、どんな物か実物を知りたかった。

★探したい本: ・イーニッド・ブライトンの本  (これは山ほどあった)
        ・ジョーン・エイキン ・J.P.ウエルシュ
  ・・・本屋は2店しか入れず、買うにはいたらず。

★訪れる作家の作品群の「オリジナル・タイトル」を書いておいた。

★ちょっとした単語:丘 hill, height, rising ground, hillock, downs .
300m以上が山で、それ以下が丘。しかし常識的には600m以上を山だって。
          川:river, rivulet, stream, flow, brock. creek, current,
                                           run, water-course, channel ・・
style = 踏み越し段(フットバスを歩時時に、持ち主の土地の境界にあった)

ブリトン=ケルト語で「刺青した人々の国」の意。毛髪をハーブでブロンド(金髪)に染め、体を絵の具で青く彩ったので、ローマ人達からそう呼ばれた。先住の青銅器文化の黒髪ケルト人を鉄器文化を持つ金髪ケルト人が征服。混合され「イベリア人」と呼ばれた。
→などなど、予習したイギリスの生活や歴史の本の中から拾っておいた。


   (画像は 欄紗理かざり作)

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