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(240)合唱

芳子さま
その後お変わりありませんか。あなたのお顔の見えない練習日は、なんと なく味気なく、ひょっこり戻ってきて下さる気がして、入り口のドアを振り返ったりなどしています。このまま、なしくずしに退会なさるのでしょうか。寂しい限りです。

先日、私たちはなんとあの難曲の「落葉松」で、市民音楽祭に参加しました。それも、作曲者の面前で、初めての暗譜で・・。今でも自分が信じられません。なんだか恥知らずの気がしていたほどですもの。

あなたならともかく、私など楽譜にしがみついてさえ、音は不安定、リズム音痴で、何度注意されても、歌詞の心を伝えきれない。お若いM先生がよくまあ辛抱強くお相手して下さると、感じ入るほどの鈍さですから、本番までの2ヶ月の練習期間で、暗譜できるのか心もとなく、出場を見あわせようかとも思いました。

でも当日、それは見事に(!)歌い上げました。めりはりをつけ、詩の言葉に心をこめて・・。こめすぎて涙ぐんでしまったくらい。


嬉しかったのは、作曲者が長々と拍手を下さったこと、そして絶賛の評を頂けたこと。
でも、それにも増して、心をひとつに合わせて何かを仕上げる、大きな深い喜びを味わえたことでした。

音感も記憶力も年々衰え、あちこちミスだらけとしても、貴重な友情と歌う楽しさは、深みを増します。ぜひ、また練習にいらしてね。心からお待ちしております。 加奈子

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