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5章-(1) 6/21 バーバラの植物案内

◆旅程:ガイドのバーバラ・ハッチ/運転士のトニーと共にバスで。
・ボーネス→→ウインダミア湖脇を通り、アムプルサイドへ→→ターン・    ハウズ (=small lake)  の景色の良い所へ→→ホークスヘッド・ギャラリー     (ポターの夫君の法律事務所のあった場所)→→ヒルトップ・ファームへ→→ ステイームボート・ギャラリーへ

● 9:30 バス乗り場へ行き、現地ガイドのバーバラさんに紹介された。元小学校教師で、英語に訛りがない。体の大きなエネルギッシュな人で、質問したことには、即応答してくれて、小気味よいほどだった。

彼女の説明によると、湖沼地方は氷河期に削れて、湖が17残った。ウインダミア湖は最長17キロ、最深70mとのこと。このあたりで使われる言葉は英語とは違うのだ、といくつか教えてくれた。                                beck=river/  hows=little hill / dale=valley / carth=community / seater=farm 

●植物をいろいろ教えてくれた。22日と会わせて、20数種類も!

(1)「ジキタリス」=fox gloves →→ 毒性強く、少量なら心臓病に有効だが、2滴になると毒。袋状の中に指を入れ、百万ポンド欲しいと願いを唱えると、願いは叶うが、その指をなめると、一巻の終わり!→→そうなんだ、とバーバラの解説に驚いたり笑ったり!
(この花は、ポターの『あひるのジマイマのおはなし』に6頁にわたって 描き込まれ、フォックス氏の内面に隠した「毒」を暗示していて、効果的。しかも美しい!)

(2)「ワラビ」=bracken →→これも毒あり。秋には鮮やかなオレンジ色になる。青い空、雪の白、常緑樹の濃緑にワラビのオレンジが加わり、絶景の美しさに。昔は家畜の敷き藁に使っていたが、家畜がしだいに弱ってくるので、毒がわかり、今では中止に。あちこちにたくさんあり。      日本では「若芽」を昔から食べている、と話すと、バーバラは信じられない様子。

(3)「キンポウゲ」= buttercup →→ 花びらをあごの下に置き、あごに   黄色く照り返りの色が写れば、その人はバター好き、なのだって。野原一面に広がるバターカップのお花畑があちこちに見られた。

(4)「オーク」= oak →→日本の「かしのき」とは別種のようで、オークとそのまま言った方がよさそう。昔はヨーロッパやイギリスには、この木の森で埋めつくされていたが、開発と放牧で元の5%までに激減。ケルト時代のドゥルイド僧は、オークの宿り木で作った杖を、魔法の力をもつ杖として重用していた。『ホビットの冒険』のガンダルフの持つ杖もそう。(『ハリー・ポッター』シリーズ中のダンブルドア学長の杖も)

オークにはどんぐりが実り、昔は食用で、これがナショナル・トラストの  シンボルに書き添えてあり、多くの物語にオークの木や森は登場する。

(5)「トウカエデ= 鈴掛の木」=メイプルの仲間。アリソン・アトリーの『西風のくれた鍵』は、その実の特徴から生まれた物語。  その種・実は鍵= key の形をしていて、プロペラ状で、遠くまで飛べる。

(6)「灯心草=いぐさ」=rush →→昔は教会の床が土で寒く、緑のイグサを敷き詰めて保温し、汚れると掃き出してあらたに敷いた。エリザベス1世の頃初めて、一般家庭の床にも生イグサを敷かれるように。『時の旅人』に登場。イギリス昔話『イグサのかさ』にも。

その風習を記念して、アムプルサイド (7月初め) グラスミア (8月)に、   イグサ祭= Rush Ceremony が今も行われている。男達がイグサを刈り、   女たちが束ね、晴れ着の子たちがブラスバンドと共に練り歩き。教会で祈りを捧げ、ショウガパンをもらう。  

(7)「西洋サンザシ」=hawthorn= May Blossom → 5~6月に咲き、8月に真っ赤な実がなり、ジェリーや果実酒になる。ビタミンCが多い。9mほどに成長する木は、木工用に小箱などに使われる。非常にタフな木。少し背の高いのが May flowerで、これがアトリーの『グレイ・ラビットのお話』に登場。

(8)「西洋ニワトコ」= elder tree →→5~6月に咲くクリーム色の小花の群花は、マスカットに似た良い香りがするそう。花や果実は、茶・ゼリー・果実酒に向き、風邪によく効く。木全体が薬用になるといわれ、ヨーロッパではよく見られる。

(9)「野バラ」= sweet briar= eglantine →→白から淡いピンク、サンゴ色まで多彩。私たちは6月後半に訪れたので、咲き残った花をほんの少し見られた。8月末に真っ黒な実(=sloe)をつけ。穴をあけて「スロージン(果実酒)」を作る。[『時の旅人』p.296 松野訳「エグランタインの生け垣だのに、どうしてスイートブライァー」などと言うのだい?」とフランシスが尋ねるが、ロンドン出身のペネロピーと、ダービシャーでの言葉の違いなのだろう]

(10)「ハリエニシダ」= gorse =(古語) furze →→針のような棘がびっしりあり、黄色い花が咲いていた。低木のカンボクで、細い枝がいっぱい出ていた。  これもあちこちに群生していた。これが『3匹の小ブタ』に登場する。

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