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スカウトされたって!?

それも91歳のヨタヨタしてたおばあちゃんが、ですって!

その話のきっかけから話すと、10月25日に東京の原宿で行われる「最後の鎮南浦会」に、九州鎮南浦会の元事務局長をしていたM氏 (90) が、どうしても出席したいと、私に伝えてくれたのは、7月頃だった。彼は2本の杖を持たなくては歩けないほど脚が弱ってるけど、なんとかして出席したいと、この夏「ナイスデイ」という運動器具を買って、毎日脚の訓練をしている、と前回のTELで聞いていた。昨日、私の受章を知らせたくて、TELしてみたら、彼いわく、「続けてるけど、あとひと月では、東京まで行けそうもないなあ。 最後まで頑張ってみるけど」と言った。
私の受章のことをそれはそれは喜んでくれたのは、同じ鎮南浦から引揚げてきた仲間だし、これまで私の本の英訳本まで、何日もかけて辞書を引き引き読んでくれた人だったから。

「コロナ前には、S さんとよくTELしてたのよ。今あの人の具合はどうかしら?」
と、私は彼に訊いてみた。福岡在の鎮南浦帰りの S さんは、91歳なのだ。

「あの人はTELしても、耳が聞こえないからだめだな。ずいぶん年取って きて、TELするなら、同じ学年でもしっかりしてる H さんがいいよ」

そう言われて、H さんに早速かけてみた。M 氏に S さんよりあなたにTEL
しなさいって言われたの、と伝えると、

「とんでもない! S さんはほんと、私がびっくりしたほど元気になってるのよ!前は腰が少し曲がりかけていて、耳は聞こえなくて、弱って年取って見えたのに、先日お会いしたら、大違いなのよ。背はしゃんとまっすぐ伸びてて、私より先へどんどん歩くの。いっしょにレストランへ入って、おしゃべりしたけど、それは楽しい話をしてくれるのよ。補聴器の新しいのを耳にはめていて、私がマイクを手に持ってお話しすると、その補聴器に声が入って、よく聞こえるんですって。だから、あなたが電話をかけるなら、スマホからかけると、耳のすぐ傍で聞こえるから、大丈夫よ」

そう言った後で、裏話をしてくれた。

「あの人、そんなに変わったのは、スーパーで買物をしていたら、スカウトされたんですって」

ええっ! スカウト? 聞いたとたんに私の頭に浮かんだのは、映画のエキストラとして、老人の、しかも腰が曲がって歩くのもヨタヨタの人を探してた人から、声をかけられたのだと思った。

「それがね。ジムへ通って、脚を丈夫にしませんか、というスカウトだったのよ。あの人、すぐそれにのって、そのジムに通い始めたんですって。      元級長の真面目さんだからね、休まず通い続けていたら、すっかり見違えるほど元気になったのよ」

ああ、そんなスカウトもあるんだ、と私は感心してしまった。そんなスカウトなら、私も誘ってもらいたいくらいだ、と一瞬思ったけど、うむ、私は行かないな。時間や場所にしばられるのは嫌いだから、自分の勝手な時間に、ジグザグ歩きで歩数を増やすくらいでいいわ、と思い直した。S さんのことは M 氏にも伝えて、思いこみを正してあげなくては! 91 歳の S さんが、  そんなに元気を取り戻してくれてるなんて、ほんとに嬉しいニュースだった。すぐにもTELしなくては・・。

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