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堀内誠一 絵の世界(県立神奈川近代文学館)

しばらく前から、「堀内誠一 絵の世界」展のポスターやチラシを何回か見かけていたので、用事で横浜に行ったついでに神奈川近代文学館に行ってみたら、なんと今日が初日だった。もっと早く思い立っていたら、まだ始まってなかったってことか。
神奈川近代文学館に来たのは、2019年の中島敦展以来3年ぶり。

展示会場入り口に、「ぐるんぱのようちえん」モチーフのパネルが幾つか置いてあってそこだけ撮影可。中の展示は撮影不可だったが、どれも保存状態がとてもよくて、素晴らしい展示だった。

最初に、若い頃描いた油絵やデッサンなど。人物像はちょっとモディリアーニっぽく、青基調の色づかいやキュビズムっぽいところはピカソっぽく、風景画は松本竣介風。
弱冠15歳で伊勢丹の宣伝部で仕事を始め、その後デザイン事務所を立ち上げた時期の成果物の展示が色々。どれも恰好いい。
しかし、自分の本分は絵本を作ること、と思い定め、様々な画材や筆致で作られた絵本の原画の数々に圧倒される。どの作品も美しく、優しく、恰好いい。おしゃれ。絵本以外にも児童書の挿画なども。
堀内誠一という作家の名前に気づかずに見ていた本が色々あったことに気づかされる。
様々な作家との交流、ヨーロッパ滞在時に、エアログラムに書かれた手紙とそれに添えられたイラストの美しさ。こんな手紙を貰った友人や家族はさぞや嬉しかったことだろうと羨ましくなる。
そして、マガジンハウスの多くの雑誌のデザイン監修、そして「an・an」「POPEYE」「BRUTUS」「olive」などのタイトルロゴ。堀内さんが急逝していなかったら刊行される予定だった季刊の「ローランサン」という美術雑誌の創刊号の企画案を見て、刊行されなかったことがつくづく残念で勿体ない気持ち。目次のトップが「ケン・ドーンのSydney」という見出しで、うわ、時代だね、バブルだね、と思ったら、これは「Hanako」創刊の前の年の企画で、ケン・ドーンを見つけてきたのが堀内さんだったらしい。
パリ在住時につくっていた「いりふね・でふね」というミニコミ誌なども精緻なイラストとおしゃれな割り付けに感嘆する。

どの作品も唯一無二で、本当に恰好よく、美しいものを見つけ、それを再現する力を持っていた堀内さんの早世が本当に惜しまれてならない。
そして、最初にも書いたように、どの展示物も本当にきれいな状態で保管されていて、ご遺族の愛情とご尽力にも感じ入った。
お母様が遺していた、子どもの頃に描いたイラストのスクラップブックなども素晴らしかった。

https://www.kanabun.or.jp/exhibition/16710/

ミュージアムショップでは絵本何種類か、そして絵葉書、図録、マスキングテープなど。

図録は一般書として刊行されているので、書店等でも購入可能。

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