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【セミナーレポート】VOCを手に入れて「売れ続ける」商品を創り出す方法(7/20,8/31,9/7開催)

はじめに

私どもエンゲージは、これまでお客様とブランド、そしてスタッフとブランドの架け橋となるべくVOC、NPSを活用したシステムを開発・展開してまいりました。

多くのブランドと、その成果を分かち合い、共有していく中で、新たな”想い”が生まれました。

「商品開発・商品企画にこそNPSが必要なのでは?」

お客様の求める商品を企画し、開発していくのは簡単なことではありません。そこにお客様の声を活かすことが出来れば、より良い商品を開発・提供し、需要を見越した企画ができるはずです。

そんな”想い”を集約し、VOCに向き合い続けてきたエンゲージだからこそ開発に着手したのが、今回セミナーにてご紹介した新たなサービス【x-gauge for PX】です。
商品企画に有益なVOCを収集できる、プロダクトに特化した画期的なサービスとなっております。

本セミナーでは、アパレル業界のスペシャリストをお招きし、現状のアパレル業界の商品企画に対する課題と、その解決手法としてのVOCの活かし方、そして【x-gauge for PX】をテスト導入していただき、実際の利用体験や効果などをお話していただきましたので、まとめさせていただきます!

セミナー概要
2023年7月20日(木)16:30〜17:30
VOCを手に入れて「売れ続ける」商品を創り出す方法
~170ブランド、7700店舗のVOCを計測してきたエンゲージが教えます~

登壇者紹介

スペシャルゲスト
 株式会社TSI ストリート&カルチャーDiv ナノ・ユニバース事業部長
 大塚 有希氏

株式会社エンゲージ
 PX事業 プロダクト アドバイザー 米山 真弓
 パートナー コンサルタント 髙野 一朗
 代表取締役 藤谷 拓

x-gauge for PXについて

2023年11月にリリース予定となる、商品企画に特化したVOCを収集することを目的とした新サービスです。
x-gauge for PXの”PX(プロダクトエクスペリエンス)”とは、お客様が商品やサービスと出会い、そこから購入に至るまでの道筋を示すカスタマージャーニーのこと。
直訳すると「顧客の旅」になるこのカスタマージャーニーを理解し、商品企画に活かすために開発させていただきました。
取引先であるナノユニバース様、ライトオン様、PAL様に1年前からご協力いただき、お客様の声を商品企画にどう活かせるかという観点で、テスト導入から、アウトプットの実際の役立て方、【x-gauge for PX】にどのような機能が必要なのか?を徹底的に分析しました。

「商品開発・商品企画にこそNPSが必要なのでは?」という”想い”に何故至ったのか。
現在大きな社会のテーマとなっている「SDGs(エスディージーズ)」に沿い、「脱・廃棄/脱・SALE依存」がアパレル業界にも必要となっています。
商品を需要以上に多く作り、セールを見越して原価を設定し、上代を高くし、抱えた在庫をセールで売る――それでも売れなければ廃棄する……そのような生産体制だと利益が上げづらくなり、結果的に販売員の給料もなかなか上げることができない――。今のアパレル業界には、こんな負のサイクルが多く存在します。
プロダクトNPSを使って、セールに回すこともなく、余って廃棄にすることもなく売り切る理想的なサイクルに変えていきたい、アパレル業界は低賃金だという暗黙の常識を変えていきたい――それは、弊社代表の藤谷の根底にある”想い”でもあります。


こうして、【x-gauge for PX】は誕生しました。

アパレル商品企画における、よくある課題

ファシリテーター…藤谷、パネリスト…米山、髙野

何故【x-gauge for PX】が必要なのか。
商品企画に関して、豊富な知識と経験を持つお二人をパネリストとしてお招きし、アパレルの商品企画の課題をお話していただきました。

米山 真弓(PX事業 プロダクト アドバイザー)
…2年前に大手アパレルBEAMSを退職後、今はフリーで小規模なアパレル企画のサポートや、知人のブランドの手伝いをしながら、大小様々な企画の現場を経験している観点から、エンゲージにモノづくりのアドバイスを行っている。

髙野 一朗(パートナー コンサルタント)
…前職の大手ベイクルーズを退職後、モーターホーム株式会社を興し独立。販売・MD(マーチャンダイザー)から始まり、ショップのマネジメント、商品企画の経験を活かし、クライアント(ブランド側)とベンダー(販売元・製造元側)の間に入り寄り添い、コンサルティングを行っている。

米山

アパレルの商品企画は、店頭に並ぶ半年以上前から始まります。そのタイミングで、前年や現在の数字、スタッフの声、そしてコレクション情報などを加味して企画をしていますが、それでも根拠が足りず、どこか企画側のセンスや勘に頼ってしまうものになっているのが現状です。
例えばスタッフからの意見も、個人的な見解が含まれることもあるので、そこから作られたものが果たして本当にお客様が満足するものなのか、リピートしてもらえるようなブランドとなれる商品なのかをしっかりと考えなければいけません。
あとは、企画側はシーズンのテーマ性のある商品を作りたい、でもMDは確実に売れる商品を作りたいなど、型数のバランスをとるのが難しい部分も課題です。
そしてコロナ禍を経て、在庫をなるべく持たずに売れる商品をしっかり作りたいという考えは強くなっていると思います。
ブランドや店舗の規模に関わらず、その辺りの課題は共通していると感じています。

髙野

米山さんの言う通り、例えば早い時期のウールコートダウンだと、9,10月に店頭に並べるものでも1.2月に動き始めていないといけません。本当にシーズンが終わってすぐのタイミングなので、企画やディレクター、店舗スタッフ等いろいろなところから情報を集めて進めています。
そんな中で感じたのが、同じ数字でも「新規なのか顧客なのか」「定価で買ったのかセールで買ったのか」等、より詳しい数字を知りたいということです。
自分で会社を立ち上げてから、様々なディレクションや企画の支援を行ってきましたが、企画側のセンスや勘に頼ってしまっているというところは、現場に居た頃も今も変わっていないという印象です。
在庫に関しても、バブル期で洋服が一番売れていた時期と、あまり売れなくなっている今とを比べると、作られている洋服は今のほうが多いのです。客単価は3分の1になっているのにも関わらず。
SDGsという言葉が作られたり、コロナ禍を経験した今、”作りすぎている”世の中だと感じています。
更に、企画する商品によっては多くの時間が必要となるものがあり、時間と利益のトレードオフが難しいものが多くあるのも課題と言えますね。
そんな中で、今回の【x-gauge for PX】というサービスは、顧客の声を精密に聞くことができるので、企画側にとってありがたいものだと思います。

まとめ

※商品企画に必要な情報が足りず、企画側の勘やセンスに頼っている節がある
※確実に売れる商品と、挑戦したい商品のバランスが難しい
※それ故、物が作られすぎて在庫を抱えることになってしまう

お二人の話を聞いて、リアルな企画の現場の課題を知ることが出来ました。

ナノユニバースに聞くx-gauge for PXテスト導入

そして、実際に【x-gauge for PX】をテスト導入体験していただいた株式会社TSI様より、ナノユニバース事業部長の大塚様にその体験談をお話しいただきました。
テーマごとに分けてまとめさせていただきました。

大塚氏、会社紹介

大塚 有希氏(株式会社TSI ストリート&カルチャーDiv ナノ・ユニバース事業部長)
…大学卒業後、ナノユニバースに入社し18年間、主に店舗とECの垣根をなくし「CX創出ブランド」としてのポジションを確立するべくOMO領域に注力。様々な取り組みを経た後、異業種のコンサルティングを経験。その経験も活かし、今年復職。

株式会社TSI
1999年にナノユニバースとして創業し、リブランディングやロゴの一新を経験し、現在「色気を纏わせる」という新たなメインテーマを掲げているアパレル企業。

”VOCを手に入れて売れ続ける商品を創り出す方法”の背景

①時代の変化
テレビや新聞、カリスマ店員等がトレンドを作っていた時代は移り変わり、今はSNSが主となっています。SNSは届くコンテンツや情報がパーソナライズされており、分散され、需要サイズそのものが小さく分割されています。
 更に、コロナがお客様の行動にクリティカルヒットし、今までのデータや分析が通じなくなりました。そこで、カスタマーエンゲージメントを重視しなければならないと決意したのです。

②具体的な3つのNPS
・店頭で購入いただいたすべてのお客様に問う「ストア体験NPS
・特定の商品を購入した方へ、商品開発やアップデートの検討材料をそろえるための「プロダクトNPS
・半期ないし四半期に一度行う、ブランドの現在地を把握するための「ブランドNPS

これらを把握し、リアルなお客様の声を聞きながら常に進化し続けることが、売れ続ける商品を創り出す方法の最適解なのです。

x-gauge for PXでできること

ナノユニバースでは、定番のメンズセットアップである「Damerino」「Adaptation」の2シリーズで、【x-gauge for PX】をテスト導入実施していただきました。
「Damerino」だけでも累計数万点売れているナノユニバースの定番商品です。

■アンケート内容
商品や販売期間、販売属性によってアンケートの設問の切り口は変わり、設問の内容は非常に重要になってきます。
今回は23の設問を用意し、着用の詳細(どのようなシーンで、どのようなアイテムと合わせたか等)と、満足度(素材感、着用感、サイズ感等)を重要項目として実施しました。

■x-gauge for PXによって得られたこと
2つのシリーズで、異なる回答が集められました。合わせる靴がスニーカーだったり、革靴だったり、シャツで合わせるなど、同じセットアップでもカジュアル寄り、フォーマル寄りというお客様の着こなし方を知ることが出来ました。これは今後の商品のアップデート、プロモーションやコンテンツの設計において重要な回答だと考えています。
そして両シリーズともにサイズ感という課題も見つかりました。「お直し」をしている方の満足度は悪くはなかったですが、そこに至っていないネガティブポイントを拾うことができました。どうサイズ展開を広げたり、どう商品に反映できるかを現在検討しています。

まとめ

具体的なシリーズ名もあげていただき、どのような声が集められ、どのようなポイントを拾うことができたのか、そして今後どう活かしていくのかをお話しいただきました。
【x-gauge for PX】だからこそできる、詳細でリアルな収集が良く分かる内容となりました。大塚様、ありがとうございました!

他社の【x-gauge for PX】導入事例

【x-gauge for PX】をテストしていただいた他社でも、重要な示唆を得ることができております。
売れた数字だけではなく、数か月後にアンケートをとることで愛着度を知ることができ、実際に商品を着用してからのお客様の気持ちを知ることができ、今後の改善に活かすことができるのです。
例えば、お客様の身長を3センチ刻みで伺うことで、身長別の売れ筋商品等を知ることもできます。様々なアップデートや改善につなげることができますね。

また、他社の事例では、定番・リピートアイテムの愛着度(その商品を着続けたい意向)を数値比較することで、着ていただいた後のお客様の気持ちのレベルを把握することができました。これは、POS では得る事ができない重要な情報で、意外に売れ方とは異なった数値が手に入りました。これは商品開発における重要な数値となります。

まとめ

今回のセミナーでは、エンゲージの新サービスである【x-gauge for PX】の紹介を含め、アパレル業界における商品企画の難しさ、そして未来をお話しいただきました。
セミナーのタイトルにあるように、”売れ続ける商品”を共に創り続けるお手伝いを、私どもエンゲージは今後も行ってまいります。

このサービスにご興味いただいた方は、オンラインデモと事例共有を行っております。
https://en-gauge.jp/lp/xgaugeforpx
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