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ウェビナーレポート「ルミネが取り組むCX向上施策 & 出店者エンゲージメント施策とは?」【後半】

後半は、弊社中村からルミネの取り組みについて深掘りした質問をさせていただきましたので、お読みください。

ーーショップとの関係が深く、CX向上にも積極的に取り組んでいる印象がありますが、ルミネの企業文化として根付いてきているのでしょうか?

石木田
「私が感じているのは、ルミネの企業理念”the Life Value Presenter お客さまの思いの先をよみ、期待の先をみたす。”という言葉が「販売」というショップスタッフの仕事において非常に通じているということです。この理念は、館のバックヤードにも掲げられていて、毎日スタッフ全員が自然と目にする場所にあります。”お客さまの思いの先ってなんだろう、期待の先ってなんだろう”と考えることに繋がっています。そして、お客さまだけではなく、出店しているショップの方々にも”ルミネに対して、どんな思いを持って、どう期待してくれているのか”といったところまで考えられるようになりました。
そして、フロアマスターが、ショップと一緒に考えを共有して、共に歩いていける存在になることでルミネの企業文化が根付いているのだと思います」

ーーなるほど。そういったそのルミネらしさをショップや販売員の皆様に理解浸透するには、フロアマスターの役割が重要なのでしょうか?

不死原
「はい。一番近くで寄り添って、信頼関係を築きながら改善し、第三者目線も持ちながらサポートできる存在なので、大事な仕事だと捉えております。もちろん、売上を一緒に上げていくということもそうですが、働きやすさや、相乗効果を生む横のつながりを提供していくという点でも重要な役割を果たしていると考えます。」

ーーフロアマスター業務において、顧客の声やx-gauge(エクスゲージ)はどのように活用されていらっしゃるのでしょうか?

不死原
「x-gauge(エクスゲージ)を利用し始めて、ショップの方々と対話をするときに”顧客の声”が共通認識として存在することが大きいと思います。今まで、商品の話やショップ、店頭における話がメインになることが多かったのですがお客さまの声を軸にすえて一緒に考える機会が増えたように感じます。ツールの内容を理解してどうCX向上に向けて動いていこうか、と考えるフロアマスターも増えてきている状況で、顧客起点のコミュニケーションにもつながっていると感じます。」

ーー店頭体験の向上施策につなげていくというところで、x-gauge(エクスゲージ)を使うメリットを教えてください。

不死原
「x-gauge(エクスゲージ)について主にメリットと感じることは、2年間の利用で得られた「体験の見える化」や社内コミュニケーションの質の向上です。具体的なフィードバックが多く提供され、フロアマスターやショップスタッフがこれらを活用しています。導入する前はお電話や直接来店などでいただいたお客さまのお声をアナログ方法で共有し、強化・改善につなげていましたが、x-gauge(エクスゲージ)を通じて、顧客の声を多く聴くことができるようになり、迅速に他店へも情報共有できるようになりました。さらに、ショップのスコアやフィードバックは面談や巡回時のコミュニケーションで役立ち、業務向上に役立っています。」

ーーミステリーショッパーとの違い、メリットデメリットを教えてください。

石木田
「ミステリーショッパー、ルミネでは”専門家診断””店頭診断”と呼んで実施していましたが、フィードバックがまとまるまでに時間がかかるという印象でした。「いつの話?」というような。かつ、ミステリーショッパーは「できている・できていない」といった診断要素で、できていない点を見つけるメリットはありますが、我々が理念として目指しているお客さまの期待や思いを探るにはクイックに、お客さまがどういう気持ちなのかを知ることが重要なので、その辺りが違いますね」

ファシリテーター:エンゲージ中村

ーー年間で83万件と非常に多くのお客さまから声をいただいているとのことですが、本部視点でこのデータの活用について教えてください。

不死原
「x-gauge(エクスゲージ)の導入は2年ほど前からなので、まだ完全に運用が成熟しているわけではありません。しかし、日々多くのアクションが行われており、本社のスタッフも積極的に参加しています。x-gaugeにログインして、良い声が寄せられた際に「いいね」ボタンを押し、その情報を本社内で共有しています。ルミネの社員や店長、幹部もお客さまの声に大きな関心を寄せており、コミュニケーションがとても活性化しています。さらに、多くの声を集めることで、ショップの営業活動が向上し、モチベーションも高まっています。この取り組みはこの1年間で大いに活性化し、成果を上げているところです。」

ーーありがとうございます、次はフロアマスター視点でお聞かせください。

不死原
「一番多いと思うアクションは、個々の声やコメントの積極的な共有が増えてきたことです。例えば、ある館では「ルミネスト」に認定されている経験豊富なスタッフと、フィードバックをもとにどのような応対がポイントなのかなどを一緒に考え、改善や提案を行うような取り組みも生まれました。また、不満の声に対しても改善策を模索し、スタッフからも意見を収集し、共有しています。さらに、担当しているショップの店長(ショップマスター)と、売上などの数量的な側面だけでなく、お客さまの声に耳を傾けながら、お店の目指している部分や改善点について面談や巡回等の機会で対話し、整理していく取り組みも進んでいます。このような取り組みによって、自己成長し、改善ポイントを共有できるようになってきたと感じています。」

ーールミネストが話に挙がりましたが、ルミネストへの活用方法はいかがでしょうか?

石木田
「お買い物アンケートは、本社で全ての店舗のデータを閲覧できます。そのため、お客さまの期待や来店の動機についても重点的に分析しています。また各館でも考えてもらっていますが、ルミネに訪れるお客さまがどのような期待を抱いているかを理解しようとしています。お客さまの体験価値を向上させる方法を共に考え、成長していけるように取り組んでいます。また、ルミネスト認定会の接客ロールプレイングにおいて、お客さま役の設定を考える際に、アンケートの回答やお客さまの声からお客さまの来店動機を分析し、反映するような活用もしています。」

ーールミネはアパレルに限らず飲食や食品、サービスまで幅広い店舗が出店されていますが、それぞれ活用方法など違うかと思いますが何か工夫はしていますか?

不死原
「x-gauge(エクスゲージ)を使用して、物販、食品、飲食、サービス業種で設問を分けております。特に食品ショップを利用するお客さまはデイリーユースの方も多いので、たくさんの声をいただいております。一部のお客さまは毎日回答していることもあるため、率直な「美味しかった」といったコメントが多かったりしますが、スタッフの対応に関するコメントも多く寄せられています。
食品のショップでは、アルバイトスタッフが多いため、デジタルツールを使用してログインし、店長が声をチェックするように伝えモチベーションを高め、気をつけるべきポイントを把握しているそうです。レストランに関しても、お誕生日など特別な日にサプライズサービスを提供して喜ばれる声をいただいており、我々が気づかなかった点に関する声も多いです。ただ、そこを店舗のスタッフがうまく活用し、ルーティン業務にいかに組み込むのかという課題が浮かび上がっています。それに対しても、前向きに取り組むお店も増えており、活用が進展していると感じています。」

ーー現状苦労しているところや課題がありましたら教えてください。

不死原
「月に一度以上、x-gauge(エクスゲージ)にログインして実際に見ていただいているお店は、全体2,000店舗あるうちのおおよそ半数くらいです。もちろん、回答数もお店により異なりますので、毎日ログインしているショップもあれば、二か月に一回というショップもあります。そういったところからも、まだまだ仕組みの理解が追いついていないショップも存在することは確かです。ですので、こうしたお店に対して、詳細な説明を行いながら、x-gauge(エクスゲージ)の活用方法を浸透させていくことに価値があると考えております。また、私たちがこの取り組みを実行していく意義としては、「ルミネの顧客」という対象の声を聴くことができることと、ルミネに出店している他ショップとの交流の中で強化・改善がより活性化する可能性があることだと思います。たとえば、歓迎感に関して課題を抱えているお店がある場合、ルミネ内の他ショップに歓迎感の強化で成功しているショップもあるので、共有することで新しいヒントを得ることもできます。こうした活動を通じて共感の幅を拡げ、ショップ同士をつなげていく取り組みが今後の課題となると考えております」

石木田
「初めに自己紹介をさせていただいた通り、私は事業推進部という部署にも兼務で所属しており、ニュウマン横浜に出店している「2416マーケット」というショップのサポートも行っています。、ルミネが直営店として多くの種類の商品を取り扱っているショップで、食品がメインではあるのですがアパレルの品揃えを拡充する方向に進んでいます。これまで食品が中心であったため、セルフ物販によっていて、x-gaugeによる相関分析からもレジ対応は良いものの、歓迎や声かけなどの項目が課題となっていました。また、フリーコメントを見ると、商品自体は高評価ですが、接客がもう少しというコメントも寄せられていますね。これらの課題を克服し、改善することで売上向上や店舗の雰囲気の向上が期待できると考えています。そうして改善していけば、見本のようなショップになりますし、そうなるように私自身も動きたいし、ショップにも期待を持って活動しています。」

ーー不死原さんも、今後の展望などをお聞かせください。

不死原
「先ほどいった課題に取り組んでいくと言うことが主ですが、館内で異なるブランド同士が協力し合い、相乗効果を生み出す環境を築くことが、非常に価値のあることだと考えています。本部のメンバーも、このような機会を通じて、出店者と積極的にコミュニケーションを取り、新しいコンセプトや場を創り出せればと考えています。逆に、ショップの関係者からアイデアを受け取り、成功事例を共有して広める場を提供する取り組みにも挑戦していきたいと思っています。」

参加者からの質問にもお応えいただきました

ーーNPSのフリーコメントにおいて、コロナ前とコロナ後で傾向の変化はありましたか?

不死原
「導入が2年前なので、x-gauge(エクスゲージ)内での比較というのはできないのですが、コロナ前はミステリーショッパーや直接いただいたお声だけが改善のきっかけだったのが、コロナ後はx-gauge(エクスゲージ)の導入からお客さまのお声がたくさん入ってきているため、ショップへのお褒めも多くいただいたり、購入したお客さまのリアルな体験を聞けていたり、という違いはあります。
あとは、ショップスタッフへの配慮や応援の気持ちが感じられるコメントを頂けているなという感覚もあります。」

ーーアンケートの設問内容と設問数を教えてください

不死原
「属性質問が8-9、NPSの質問が1と理由が1、CS(歓迎感や商品提案、会計)で数問、再来店意向と理由があり、計24問です。」

ーーリアル店の営業部の皆様とアイルミネの担当の方とは、どのような連携をとっていますか?

不死原
「アイルミネは弊社のOMO推進部の一つのチームで運営しているので、コミュニケーション自体は本社内で活発に行っています。アイルミネのサービスも、完全なEC事業として分けているというよりは、店頭受け取り連動サービスなどOMOを推進していく中でリアルとの接合を兼ねていますので、共に連携しています。」

ーーx-gauge(エクスゲージ)を入れたことによるOMO推進及びクロスユースの視点や伸び代について聞かせてください。

不死原
「リアルとデジタルのクロスユースといったところは進めております。アプリにおいてはクレジットカードやネット通販「アイルミネ」のIDを連携しており、アイルミネの顧客を動かしクロスユースを産んでいく動きは作っています。
x-gauge(エクスゲージ)は現場への活用で重点的に活用しているのですが、昨年からONE LUMINEのアプリで,フィードバックと顧客情報との紐付けをしました。そういった観点から、今後顧客軸でクロスユースの分析に役立てていきたいと考えています。」

ーーフロアマスターの教育やシステムの活用方法の落とし込みはどのようにしていますか?

不死原
「x-gauge(エクスゲージ)の導入理由や活用方法を全員が理解できているかと言われれば、必ずしもそうではなく、まだ課題はあります。導入開始後、エンゲージさまの資料をルミネ仕様に変え試行錯誤しながらマニュアルを作成しましたが、デジタルツールの利用も含めると「これを読めばできる」というラインまでは難しいところです。オンラインで一からセミナーをしたり、フロアマスターの事例を紹介したり、社内勉強会の機会を定期的に作っています。」

ーーNPSの構想から導入までどの程度時間がかかりましたか?

不死原
「2020年度にコロナで休館を迫られ、さまざまな見直しをしました。そんな中で、お客さまの声をもっと集められる方法はないかと探し、NPSの導入を考えました。そこから半年ほどで来年度の計画を立てなければならず、すぐに稟議を通して進めました。2021年の春頃にエンゲージ様と契約し、3ヶ月くらいで設問を作成し、8月から一部の館・ショップでトライアルを始めて、12月から全店舗導入に至りました。」

たくさんのショップ様を抱えるルミネが、どのようにNPSを活用しているのかを非常に分かりやすくお話しいただきました!
いかにお客様を大事にされているか、お客様の視点に立って考えておられるかが分かるセミナーでした。

今回、ご登壇いただいたルミネ様にご利用いただいているのが株式会社エンゲージの「x-gauge」です。
ご興味のある方は、ぜひ、こちらからご覧ください!
https://en-gauge.jp/x-gauge

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