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【青森現代アート旅・1】クールな大巻伸嗣に震えた!

最近注目されている青森の現代アート。36度を超える酷暑の青森で、美術館巡りをしてきました。


◆弘前れんが倉庫美術館

まず訪れたのが、弘前れんが倉庫美術館。

この美術館の建物、もとは明治から大正にかけて建築された酒造会社の倉庫でした。

その後、シードル事業会社やニッカウヰスキー弘前工場、政府備蓄米の保管用倉庫などに使われたあと、倉庫の再活用方法が検討されます。

2000年代に、弘前出身の現代美術作家・奈良美智さんの個展が倉庫で開かれるようになり、2020年、美術館として開館しました。

◆奈良さんのワンコ

《A to Z Memorial Dog》

美術館の入り口を入ると、すぐ左手に奈良さんの作品が登場。青森県立美術館にある《あおもりけん》と雰囲気が少し似ていますが、このワンコの作品名は《A to Z Memorial Dog》。

下記サイトによると、2006年に開かれた奈良さんの展覧会「YOSHITOMO NARA + graf A to Z」で、サポートしてくれた地域のボランティアさんに感謝するために制作した作品とのことです。

◆りんごにご縁のある作品

《エデンの結び目》

続いて、企画展へ。その前に、常設展示の華やかな作品《エデンの結び目》も楽しめます。

本作品は、フランスのアーティスト、ジャン=ミシェル・オトニエルさんが制作。はじめて弘前を訪れたときに見たりんごの美しさにインスピレーションを受け、つくられたそうです。

青森にピッタリな、かわいくて美しいりんごアートです。

詳しい解説は、弘前れんが倉庫美術館さんのnoteでご覧ください。

◆「大巻伸嗣ー地平線のゆくえ」

では、今度こそ展示室へ。

大巻伸嗣さんは、インスタレーションやパブリックアートを手がけるアーティスト。

今回の展覧会では、青森県内の風土や信仰などを取材し反映させたインスタレーション作品が展示されています。

《Oak Leaf -the Given-(Right)》

展示は、柏の葉をモチーフにしたブロンズの作品からスタート。

大巻さんは、弘前を取材していたとき、鬼が腰掛けに使ったという伝説のある柏の木に出合ったそうで、本展の最初と最後に柏の葉をモチーフにした作品が登場します。

しかし、このブロンズ作品のあとは、展示空間が真っ暗になり、いくつかの部屋では撮影もできませんでした。美術館スタッフが懐中電灯で足元を照らしてくれて、誘導されながら各作品の前に向かいます。

展示室が暗くて不安でうろたえてしまい、作品タイトルを確認し忘れましたが、天井から大きなシャボン玉のようなものが落ちてきて弾けたり、森の中のような空間に化石のようなものが落ちていたりと、神秘的なインスタレーションをいくつか見ました。

この展示室は比較的明るく、全体がスタイリッシュでかっこいい空間でした。白い部分がゆっくり回っています。ベンチに座って、ずっと作品を眺めている人たちもいました。

いくつか作品を見ているうちに、深い山の中に入ったような、青森の聖域にいるような不思議な気持ちになり、だんだん最初に感じた不安がなくなっていきました。 

途中、岩絵具をグラスに入れたカラフルな作品が並ぶ空間を抜けると、一転して明るい花畑のような世界が現れます。まるで天国にいるような気分になりました。

この花畑のような作品は、地元の人も参加して制作したそうです。

青森そのものを現代アートにしたような、見ごたえある展示でした。

◆英語解説は…

常設展示作品の解説と、企画展の紹介文には英語版がありました。

今回は、公式サイトにある企画展紹介文から、印象に残った部分を抜粋します。

Story after story of rebirth and creation spun by Ohmaki in a museum where the cumulative memories of Hirosaki and its people have been reborn as exhibition space, are sure to open up new vistas in the hearts and minds of viewers.

https://www.hirosaki-moca.jp/en/exhibitions/shinji-ohmaki/

大巻さんが生み出したのは、「再生と創造」の物語だったようです。心が震える展覧会でした。

#美術展
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