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英検1級を取るには(Part1: 単語力UP編)

今回のテーマは「英検1級を取るための単語の覚え方」です。

* 「長すぎる!」というご意見があったので、慌てて前後編にしました f(^^;)
まとめて読みたい方はこのままスクロールして読んで下さい。8000字近い記事なので、長すぎる〜と思う方は、半分ずつに分けて前後編にしていますので、半分ずつ読んで下さい。

前後編はこちら↓

概要

この記事では「英検1級を取るための単語の覚え方」として、以下のプロセスを詳細に説明しています。

①  仕込みをする(相性の悪い語を選び出す)。
② 隙間時間に何周もして定着させる。
③ まとまった時間は語源学習をし、4つの選択肢から2つにまで絞り込めるようにする。
④ どうしても思い出せない語は、次のような力技で覚える。

・似ている語、他人の空似語
・カタカナ語
・語呂合わせ
・どこかで見た語(ブランド名、ハリポタの呪文)
・絵でイメージを足す
・ストーリーでイメージを足す

⑤ 多読をし、文章の中で繰り返し出会って思い出し、定着させる。


記事の中ではそのまま真似すれば効率的に単語が覚えられるようにステップ・バイ・ステップで単語力をUPする方法を細かく説明しています。ぜひ最後まで読んでください。単語学習方法が詳細にわかります!

では、本文のはじまりはじまり〜。パチパチパチ。


はじめに

私が英検1級を取ったのは子育てまっただ中、上の子が7歳、下の子が5歳の時でした。

赤ちゃんの時ほどこぼしたり散らかしたりしなくなったので、後片付けの忙しさはなくなったんですが、上の子が小学生になり、お稽古ごとに通い出したりしてまた別の忙しさがはじまりました。

結局、子育て中はどんな時期でも時間がないんです。考えてみると、子育て中に限らず、人生で自由に使える時間なんてほとんどないのかもしれない。

人の一生は短いんです。大切なのは、今を精一杯生きるということ。心理学者のアドラーも言っています。「過去を後悔しなくていい。未来に怯えなくていい。そんなところを見るのではなく、いまこの時に集中しなさい」と。

・・・あれ?

思考が大跳躍しました。失礼いたしました。

で、英検の話に戻ると、当時わたしは時間がないと言いながらも、なぜか英検1級を取ろうと思い立ったんですね。それで、過去問を見てみると・・・なんじゃこりゃあ〜!(松田優作風)。見たこともないような難しい単語が並んでいました。でも、単語を攻略しない限り英検1級はあり得ないのです。

そこで、時間がなくても隙間時間(5分)と、まとまった時間(30分以上)に別々の単語学習方法で勉強し、その二つを組み合わせることで効率的に単語力をUPしました。

*この「隙間時間」と「まとまった時間」については私の別のnote記事『子育てしながらの英語勉強法』にも詳しく書いています。単語力UPではなく、リスニングメインの隙間時間の使い方ですが、まだ読んでいない方はぜひ読んでみて下さい。

ただ、残念なことに、単語学習は隙間時間でも「ながら勉強」ではできません。視覚と聴覚(自分で発声した音を聴く)をフルに使って、隙間の5分間、集中して学習する必要があるからです。なので、単語学習の隙間時間は「お茶碗を洗いながら」などではなくて、独りになって集中できる隙間時間、例えば「保育園のお迎えに5分早く着きそうな時、近くのコンビニの駐車場で時間調整する5分間」などです。

それではここから、具体的にどのように単語学習を進めていくかを説明します。


【1】 使う単語帳

英検1級対策には、効率を考えると、やはり英検1級に特化した単語帳を使うべきである。

・旺文社『英検1級でる順パス単』(通称「パス単」)

まずはこれを制覇する!

そして、「パス単」だけじゃ不安だなぁ、もう少し単語力を補強したいなぁという時は

・アルク『究極の英単語vol.4超上級の3000語』

これまで覚えてしまえば、鬼に金棒、弁慶になぎなた、竜に翼を得たる如しである(しつこい!)。


【2】 仕込み=相性の悪い単語の選び出し

効率良く料理しようと思ったら、食材の仕込みが大切である。料理に取り掛かる前に、煮るのに時間がかかる野菜を選び出して小さく切っておいたり、肉に下味をつけておいたりすることで、実際の料理が楽チンになる。これは英語学習でも同じである。(実際にチン!で料理を楽に済ますことも時間を作る1つのワザである。これは旦那様には内緒ね。)

で、ここで行う仕込みは相性の悪い単語を選び出すこと。つまり、覚えるのに時間がかかる単語を先に選別しておくのだ。でもどうしてこの作業が必要なのか?

最近主流になっている単語の覚え方、また私の尊敬する英語のスペシャリストの方々が実践している単語の覚え方は、「一回で覚えようとせず同じ単語帳を何周もする」というものである。

これには私も大賛成だし、隙間時間にはとても有効な単語学習法である。(詳しくは後述する。)

でも実際やってみるとわかるが、単語には一周で覚えられる相性の良い単語と、何十周繰り返しても覚えられない相性の悪い単語がある。最初は自分の記憶力の悪さを嘆いたりもしたが、今はもう開き直って、「これは単語が悪いんだ。私のせいじゃなくて、単語のほうが悪いんだ!」と思うことにしている。←これ大事

この、何度繰り返しても覚えられない相性の悪い単語を早めに選び出して、繰り返す以外の方法で覚えるようにする。


【相性の悪い単語を選び出す方法】

① 英検1級に特化した単語帳を準備する。おススメは「パス単」。

② 知らない単語にしるしをつける。(しるしの付け方は後述する。)
ここで時間はかけない。1単語10秒以内で知らないかどうか確認していく。1〜5周目までは、複数意味が書いてあっても、一つ知っていれば良い。ぼんやりしか覚えていない単語は知らない単語と考える。声を出して発音して確認していく。←これ大事。

私は慣れるまでは、10秒をメトロノームのアプリを使って測った。私には音楽の素養が全然ないので詳しいことはわからないのだが、60bpm(beats-per-minute)で1小節の拍数を10/4にしておけば、ピッピッピッ・・・ポン!と10秒ごとに違った音で教えてくれた。

また、知らない単語のしるしのつけ方は案外大事である。多くの人が「✓」や「正」の字を書いていると思うが、それだとパッと一目でわかりづらい。なので、私は「四角の中に×」を描いてしるしをつけていくことをお勧めする。

Final_しるし幅狭

この方法だと、2周目、3周目と覚えていない単語だけを確認するのでどんどん数が減っていき、回転が速くなる。また、いつまで経っても覚えない単語だけしるしの黒の面積が増えていくので、どれが本当に覚えていない単語か一目でわかる。

四角にバツ

(* 現在わたしの「パス単」を友人に貸しているため、写真が撮れなかった。↑は残念ながら廃版になってしまった「プラス単熟語」という単語帳である。塗っている場所がずれているが同じ方法でしるしをつけているので、distendが相性が悪く、gaugeとcatnapは知っている単語というのがわかる。)

③ 5周しても覚えない単語は、かなり「相性の悪い単語」である。

「何だか話がかみ合わないな~」と思う程度の、ちょっと苦手な語(相性チョイ悪語)から、「一体私の何が気に入らないの~!」と叫びたくなるくらい、どんなに努力しても覚えられない語(超絶相性極悪語)まである。この単語たちは、「覚えるために特徴付ける作業=書き込み作業」をして覚えるしかない。詳細はまた後述する。

私は出かける時には必ず、単語帳とシャーペンをカバンの中に入れていた。そうすれば、5分時間があればパッと開いて単語の確認ができ、30分以上時間があればネットで調べて、書き込むことができる。


【3】 隙間時間(5分)と、まとまった時間(30分以上)のそれぞれの単語学習方法

仕込みが終わったら、今度は「隙間時間」と「まとまった時間」で別々の学習を行い、単語力をUPしていく。

1)隙間時間(5分)の単語学習方法

上述の1〜5周が終わったら、6周〜8周は全部の単語(とはいえ1〜5周の間に一回もしるしが付いていない単語は知っている単語なので飛ばしても良い)に1単語30秒以内で目を通す。意味から派生語、例文まで、書いてあること全部をサーッと読む。しるしはつけなくて良い。

6周〜8周は次のことに注意する。

① 1単語に複数の日本語訳がついているときは、それを全部知っているか考えながら読む。

② 声を出して発音し、まだ発音を覚えていない単語の上にはカタカナで発音を書く。

③ 例文を読み、そのシーンをイメージする。

detest(〜をひどく嫌う)の例文
Even though he detested fish, his wife often served it.(彼は魚が大嫌いだったが、彼の妻はそれをよく食事に出した。)

夫婦の夕食をイメージし、旦那さんが魚料理の前に座って嫌~な顔をしながらツンツン魚をつついて試している(テストしている←detestのテストの音に結びつける)みたいな感じ。

9周目からはまたしるしをつけて1単語10秒以内で覚えているか確認していく。9周目はしるしの種類に関係なくしるしがついている単語を全部確認、10周目は三角でも四角でも黒く塗られているのを全部確認、11周目は真っ黒に全部塗られたのだけ確認、という風にやっていく。


2)まとまった時間(30分以上)の単語学習方法

まとまった時間では「相性の悪い単語」に集中して、「覚えるために特徴付ける作業=書き込み作業」をし、覚えていく。

「パス単」には最初から以下に説明するような情報が少しだけ載っているが、それだけでは足りないので自分で調べてドンドン情報を書き込んでいく。


(1)最初は4つの選択肢から2つまで絞り込めるようになるレベルを目指す


英検大問1の語彙問題は4択問題なので、まずは4つの選択肢を2つまで絞り込めるようになること。
そのためには語源を書き込むこと(語源学習)が効果的である。

【語源学習とは】
英単語をパーツに分解して意味を覚える方法のことである。

単語を接頭辞、語根、接尾辞というパーツに分解して、それぞれのパーツの意味を調べて、全体の意味を推測できるようにする。←4つの選択肢から2つまで絞り込めるようになる。

接頭辞、語根、接尾辞にどんなものがあるかを見たい時はネットで調べれば出てくるが、中でも Gogengo! というサイトは素晴らしいので一見の価値あり!
http://gogengo.me/roots


【具体的な語源学習法】


① 単語を接頭辞、語根、接尾辞というパーツに分解して、下線を引く。
「単語がどんなパーツに分解できるか」は、ネットで語源を調べると見つけられる。

duplicateという単語の語源を知りたければ、グーグルで “duplicate 語源”、もしくは” duplicate origin”で調べる。(“ ”は付けないで検索してくださいね。)
すると、duplicateという単語は du  plic  ate に分解されることがわかるので、下線を3つ引いてパーツを3つに分ける。


② 接頭辞、語根、接尾辞の意味を各パーツの下に書き込む。それぞれの意味を足し算して、全体の意味が推測できるようになる。

duplicateでは、各パーツの意味を調べるとdu=duo (2つ) + plic=plico (折る、重なる) + ate (にする)であるとわかる。それぞれの意味を足すと、全体では「2つに重ねる」=「を複製する」を意味すると推測できる。

4つの選択肢から2つまで絞り込めるようになる。


③ 同じ語源で既に知っている語を書き込む。
これもネットで語源を調べると出てくる。

A. 接頭辞、接尾辞が違うだけの親戚語

接頭辞が違う親戚:duplicate(複製する)- complicate(複雑にする)- replicate(レプリカを作る)- implicate(巻き込む)

接尾辞が違う親戚:duplicate(動詞 複製する)- duplication(名詞 複製)

B. 同じ語根だが形が違う親戚語

duplicateの語幹plic(折る、重なる)= ply, pli ple と同じ

apply(申し込む、当てはまる)、imply(暗に示す)、multiply(掛ける)、 explicit(明白な、明確な)、simple、triple、perplex(当惑させる)、employ、deploy(配置する)、diploma(卒業証書)、exploit(利用する、搾取する)等と同じ語幹
* 全部書く必要はない。覚えるヒントになるものだけでOK。



(2)最終的には全部の単語を力技で覚える


4つの選択肢を2つまで絞り込めるようになったら、後は力技で覚える
とは言え、相性が悪い単語はなかなか正攻法では覚えられない。なので、ここでは私が実際にやってみて「使える!」と思った方法をいくつか書いておく。


①  似ている言葉を書き込む 
不思議なことに、似ている単語を1つ覚えると、芋づる式に他の単語も覚えることができる。

A. 意味が似ている語 

duplicate(複製する)
copy(コピーする)
xerox(書類をコピーする)
replicate(レプリカを作る)


B. 形が似ている語(他人の空似の単語ペア)

except(を除いて)–  excerpt(引用、抜粋)
queue(待っている列)–  cue(合図、きっかけ)
course(コース)–  coarse(粗い、粗野な)


②  カタカナになっている語はカタカナを書き込む

カタカナは日本語なので、あまり馴染みのない言葉でも相性が悪い英語よりも覚えやすい。もとの英語と意味が違うことがあるが、英語の意味で覚える

balk(ためらう、しり込みする、急に止める)
カタカナ:ボークをする(野球用語。投げるのを急に止めて牽制球を投げること)

③  語呂を書き込む

実はこれは私の十八番で、本当にどうしようもない語呂をたくさん作った。ネットで検索して収集したものを入れると、1000個近く書き留めている。そのうち、パッと単語帳を開いて目に留まったものだけいくつか例としてあげる。

culmination(カルミネーション=絶頂)
 「軽身な姉さん絶頂気分」 ← サーカスの人とか?
detest(ディテスト=ひどく嫌う)
 「痔テストをひどく嫌う」 ← ノーコメントでお願いします。
divulge(デバルジ=秘密などを漏らす)
 「出張る時で寺の秘密を漏らす」 ← 出張る寺って出っ張ってる寺? 
elicit(エリシット=引き出す)
「エリの嫉妬を引き出す」 ← エリって誰やねん。
incarcerate(インカーサレイト=閉じ込める)
「インカ去れい!と霊をお墓に閉じ込める」 ← なんでインカの霊が日本に?

なかなか自分で思いつかない時は、語呂で覚える単語の本もあるので参考にすると良い。

最近見た中で、一番私の単語帳(書き込み後)に近かったのが、植田一三さんの『でる単語だけ大特訓 英検1級TOP800 (省エネ合格)』だった。語呂も載っていて、参考になると思う。


④  ~で見た(本とか、ブランドの名前とか)を書き込む

snide(意地悪な)
SNIDELというブランドがある。意地悪な人でもこのブランドの服を着れば性格よく見えるのかも。ガーリーで甘い可愛いイメージの服が多い。
oblivious(忘却)
ハリーポッターの「オブリビエイト(obliviate)」という呪文は相手の記憶を消してしまう「忘れよ!」という呪文。


⑤  絵を描く

galvanize(活気づかせる、刺激して駆り立てる)
イタリアの生理学者Luigi Galvani(ルイージ・ガルバーニ)から。
死んだカエルの足に電気を流してピクピク動かした。→電気で刺激する。→活気づかせる

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ガルヴァーニさんの名前はルイージだったんだ。マリオのルイージ描けば良かった。パパッパピプペッポ♪


⑥ ストーリーを書き込む

これはストーリー仕立ての例文を作っても良いし、語源がストーリーになっている場合は、その話を書き込む。ここでは語源がストーリーになっている例を挙げる。


tantalizing(じらすような、じれったい)

[ストーリー]   Tantalus(タンタロス)はゼウスの子。神々の秘密を漏らしたため、あごまで地獄の水につけられ、渇して飲もうとすると水は退き、飢えて木の実を採ろうとすると枝がはね退き、飢渇に苦しめられた→じれったい。
mesmerize(魅了する)

[ストーリー]   Franz Anton Mesmer(フランツ・アントン・メスマー)は18世紀のドイツ人の医師で、催眠術で病気を治療しようとした。催眠術をかける → メスマーする → mesmerize(催眠術をかける、魅了する)。メスマーさんに催眠術をかけられて、クラクラ~と魅了されちゃうんですね。アイドルっぽかったのかも。キャ~ッ、メスマ~、こっち向いて~!!!


⑦ 多読をする。

これは単語帳とは関係ないのだが、多読をして実際の文脈の中で何度も何度も繰り返し出会うことで、正しい単語のイメージが付いていく。これは長期的に見ると、本当に素晴らしい財産になる。


まとめ

「英検1級を取るための単語の覚え方」

①  仕込みをする(相性の悪い語を選び出す)。
② 隙間時間に何周もして定着させる。
③ まとまった時間は語源学習をし、4つの選択肢から2つにまで絞り込めるようにする。
④ どうしても思い出せない語は、力技で覚える。

・似ている語、他人の空似語
・カタカナ語
・語呂合わせ
・どこかで見た語(ブランド名、ハリポタの呪文)
・絵でイメージを足す
・ストーリーでイメージを足す

⑤ 多読をし、文章の中で繰り返し出会って思い出し、定着させる。


この記事は「英検1級を取るための単語の覚え方」というテーマで書いたが、英検1級を取らなくても、英単語を覚えると英語の世界の見え方が変わってくる

世界の見え方が変わると何が起きるか。この話も、いま書いている「英検1級を取るには」のシリーズが終わって、「TOEIC満点を取るには」を書いて、「通訳という職業」について書いて。。。そのうち書く予定です(また予定か~いっ!スミマセン、気長にお待ちください。)


いかがでしたでしょうか?読んだだけでわかるように、できるだけ詳細に書いたので、またまた長くなってしまいました。スミマセン。

それでは最後に。英検1級を受験する皆さん、試験本番で実力を、いや実力以上の力が発揮できますように!心から応援しています。

英検1級を取ると、新しい未来へのトビラが開きます。私の場合は英検1級を取ったことで英語の専門職につくことができ、今は通訳者として活動しています。
*詳しくは『英語の専門職になるためには』に書いています。ぜひ読んでみて下さい。

では、Good luck! I'm keeping my fingers crossed!

毎日少しづつホソボソと書いています。応援してやろうという奇特な皆様、よろしければサポートお願いします。喜んで書くペースが少し上がります!