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生まれ変わり


わたしの曽祖母はわたしが生まれる直前に亡くなったらしい。

30年近く生きてきて最近はじめて耳にした。

親とは昔から付かず離れずの関係だが、わたしは親戚のみんなが大好きだ。血の繋がりとはすごい。どんな状態であろうとただただ愛を持って接してくれる。

全員とても心優しく慈愛に溢れ、お互いに助け合い笑い合って生きている素敵な親類に囲まれている。

このようなファミリーに生まれ、とても幸せだなとおもう。


わたしは曽祖母についてはよく知らない。田舎の仏間に飾ってある写真を見たことがあるくらいだった。

つい最近祖父が亡くなり、曽祖母の話題が出てきた。親戚が口を揃えて"おばあちゃんはあなたに生まれ変わったのよ"と言う。初めて言われたことなのでとても驚いたのだ。

わたしは阪神大震災の直後に産まれたので、震災当時母親は臨月だ。不思議なエピソードもいくつかあるが、それはまた別の機会に。

たんすが倒れてきたがギリギリで当たらず無事だったことだけは知っていた。

しかし数日前、母親がこんなことを伝えてきた。

"わたしが無事だったのはおばあちゃんが守ってくれたからだと本当に思ってるのよ。何もかもぐちゃぐちゃで、布団で寝てたわたしの上にたんすが倒れてきたのに、たまたま壁に突っかかりおなかのすぐ上で止まっていたの。たくさん物があった部屋だったのに全て周りに落ちて、わたしには紙切れひとつ当たらなかったの。"

そんなことがあるのかと。震源地も近く、家も住めなくなりその後すぐ引っ越している。無傷なのは奇跡だとおもう。"震災の年の子"として義務教育を受けたので本当にそう感じる。

周りから母親はとてもおばあちゃん子だったと聞いた。曽祖母も母親を可愛がっていたんだろう。

わたし自身は周りの期待に応えられるような娘にはなれなかったが、なんとか健康に生きてはいる。

昔から何か強い運を持っているし、何かに守られてギリギリ助けられたと感じることがたくさんあった。無茶もしてきたが危ない目に遭う前に助けられてきた。

もしかすると、それが会ったことのない抱かれたことのない曽祖母なのかもしれないと思うと不思議な気持ちになる。みんなに愛された曽祖母がわたしの中のどこかに存在しているのかもしれない。


そんなことを考える冬。

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